JTは1月29日より、低温加熱型のたばこ用デバイス「プルーム・テック・プラス」と、高温加熱型のたばこ用デバイス「プルーム・エス」を、Ploomオンラインショップ及び全国Ploom専門店で販売開始する。これにより、JTが販売する加熱式たばこ用デバイスは、発売中の低温加熱型の「プルーム・テック」と合わせて3ラインアップの展開となる。



 これまで、加熱式たばこは紙巻たばことの比較のなかで、「健康懸念物質が少ない」「燃焼に伴う煙がない」といった点で、「低温加熱型」と「高温加熱型」とにかかわらず、ひとくくりに捉えられていた。しかし、同じ加熱式たばこでも、加熱する温度によって、特徴は大きく異なる。JTでは、特徴の違いによってユーザーが加熱式たばこ製品を選択できるように「低温加熱型」と「高温加熱型」の2つのカテゴリーの製品をラインアップした。

 発売にあたり、JTはたばこ事業本部商品開発部の高橋正尚部長が「RRP(リスク低減製品)事業戦略」を、同部の岩崎譲二ブランドマネージャーが新製品の説明を行った。

 近年、たばこの楽しみ方が多様化しているなか、JTはたばこの選択肢を広げ、愛煙家が最適な製品をいつでも選択できるということを重視している。そのため、「多彩で魅力的な選択肢を提供していく」とのスタンスを取る。

 たばこ業界では、紙巻きたばこのほか、世界的にRRPが拡大している。日本たばこ産業をリードしてきたJTは、RRP事業にも注力し、紙巻たばことRRPのトータルで国内リーディングカンパニーとしてのポジションを維持・強化し、持続的な利益成長を目指していく。

 現在JTは、RRP製品について2つの重点ブランドで投資を行っている。加熱式たばこでは「プルームブランド」で日本を中心に、電子タバコでは「ロジックブランド」で欧米を中心に、それぞれ展開している。「2つの中核ブランドで重点市場でのプレゼン最大化とグローバルでの地位的拡大を図り、JTの持続的成長をけん引する」との方針で、たばこ事業でのグローバル化をさらに展開する。

 特に加熱式たばこは、日本が世界でもっとも大きな市場であり、先進国でもある。
その意味では、日本での加熱式たばこの戦略は重要で、グローバル全体の成功につながるといえる。「中期的にはRRPカテゴリー内でもシェアNO.1を目指していく」とし、シェア奪還に意欲を強めている。

●たばこは温度で選ぶ時代に

 従来、加熱式たばこは、「健康懸念物質が少ない」「燃焼に伴う煙がない」などとひとくくりに捉えられてきた傾向にある。しかし、同じ加熱式たばこでも加熱する温度によって特徴は異なる。

「そこで、加熱式たばこを“低温加熱型”と“高温加熱型”の2つのカテゴリーに分類し、これからは“温度で選ぶ時代”になると確信し、製品ラインナップを揃えました」(高橋部長)

 JTの低温加熱型は、たばこの葉を燃やさず、高温で直接加熱もしないことにより、紙巻たばこと比較して「におい1%未満」「健康懸念物質99%以上カット」を実現している。周囲に非喫煙者がいる際は、配慮しながら楽しめる製品だ。一方、「高温加熱型」は、紙巻たばこと比較して、においや健康懸念物質をカットしつつ、際立つたばこの葉のうまみを実現している。従来のプルーム・テックに加えて今回、低温加熱型「プルーム・テック・プラス」と高温加熱型「プルーム・エス」が製品ラインナップに加わった。

 加熱式たばこは、先行製品の優位性を生かしたフィリップ・モリス・インターナショナルが展開する「iQOS(アイコス)」が優勢。JTはアイコス追撃のラインナップを揃え、勝負をかける。低温・高温の両方に新製品を同時投入し、低温カテゴリーのさらなる拡大と高温カテゴリーにおけるシェア奪取の獲得を目指す戦略だ。

 従来のプルーム・テックは、「においが少ないため、髪や服ににおいがつきにくい」「部屋の空気や壁紙を汚しにくい」といった定評がある半面、「より吸いごたえを強化してほしい」という要望もあった。


 そこでプルーム・テック・プラスでは、「におい1%未満」「健康懸念物質99%以上カット」はそのままに、クリーンな特徴に高い満足度が得られつつ、体験したユーザーの90%以上が吸いごたえと大人の嗜好品を楽しめる満足感があったという。実現した背景は、たばこ葉とたばこペイパーを増量した点にある。

 岩崎マネージャーは、ユーザーの「吸いごたえがあるのに、においが少ない。まさにこれを待っていた」「パワーアップしてパンチがある」との声を紹介した。飲食店等の周囲に人が多い場所や自家用車の中などでも、周囲に配慮しながら愉しめる。メンソールタイプ2製品、レギュラータイプ2製品、合計4製品を用意した。

 もう一方のプルーム・エスは、国内紙巻たばこシェアNO.1の「メビウス」が持つ味わいを実現した。低温加熱型と比較すると、ややにおいや健康懸念物質は上昇するが、それでもにおいは5%、健康懸念物質は90%以上カットしている。前身の「マイルドセブン」時代から長くファンを獲得してきたメビウスの味わいと高温特有のにおいを低減することで、加熱式たばこ戦国時代での勝利者を目指す。

 プルーム・エスの製品は、レギュラーが1つ、メンソールタイプが2つの合計3製品。

「加熱式たばこが長くユーザーから愛されるために、忘れてはならないことがあります。それは、機能だけではなく嗜好品であるということです。
私たちは、本質的な価値を高めていきたい」(岩崎マネージャー)

 JTでのRRP事業の拡大や収益基盤強化に向けた投資の注力は、今後の核心的な戦略の位置づけになる。これからの加熱式たばこ事業の拡大を競ってシェア拡大を目指していくことになるが、進化するJTの戦略に対して関心が集まる。
(構成=長井雄一朗/ライター)

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