お笑い芸人・キートンのツイートが話題となっている。

 1月30日、ピン芸人日本一を決める賞レース「R-1ぐらんぷり2019」に出場したキートンは、3回戦で不合格となったことを受け、その思いをツイートした。



 そこには「私は意図的に落とされたと思っている」「圧倒的にウケた知名度のない芸人を落とすのは絶対にやってはダメ」「この日の私は、謙遜してもベスト5に入る出来」「おもしろくねー奴が、おもしれーと思ってる芸人集めて仲良くコンテストごっこしてれば?」と、怒りをあらわにした内容が書かれていた。

 このツイートは、2月2日時点で「リツイート」が3000を超え、「いいね」も5000に迫る勢いだ。リプライの欄には、批判的なものから「たしかにウケていた」といった擁護するものもあり、特に同業である芸人たちは同情する者が大半のようだ。

「確かに、R-1以外の賞レース『M-1グランプリ』や『キングオブコント』においても、“政治的な力”が審査に影響を与えていると考えざるを得ないことが多々あります。多くの芸人たちは、それを覚悟の上で、賞レースで名を挙げて有名になろうと考えているのです」(お笑い芸人)

 ある程度は承知の上であっても、実際に自分がその被害に遭うと気持ちは収まらないようだ。

 同じ事務所の後輩であるガリガリガリクソンは「キートンさん!!!!!!そうですよ!!!!!!!!クソが!!!!!!!!!」「【犯行予告】来年のR-1は6人で出ます」と、過激な反応を見せている。彼自身、数年前の「M-1グランプリ」で圧倒的にウケたにもかかわらず落とされて怒りを公にした過去があり、シンパシーを感じているのかもしれない。

「R-1」の3回戦を見ていた客に話を聞くと、キートンが圧倒的にウケていたのは間違いがないようだ。しかし、ネタの内容について疑問視する声もある。

「(キートンは)ウケていました。3回戦を通過したほかの芸人さんよりもウケていて、準々決勝に行く可能性はあったと思います。しかし、テレビ的ではなかったなあ。
どんなにウケていても、決勝には行けなかったと思います。タレントとして売れるつもりがないのかな、と思ってしまいました」(3回戦を観覧した客)

 このように、一般人の目から見ても、先に進むのは難しいかもしれないと感じる内容であったならば、規制が厳しくなっている昨今のテレビ業界を考慮すると、運営側としては準々決勝や準決勝に進めることを躊躇するのもわかる。

「実際のところ、賞レースの準々決勝になると、誰が決勝に行ってもおかしくないレベルの実力者が集います。その日の出来やネタの選び方、香盤(観客の座席配置)、客との相性、審査員との相性など、多くの要素の影響を受けます。そんななか、決勝戦のテレビ放送に向かないネタを堂々と披露する芸人を残すというリスクを、運営側はとりづらいのです。『落選』は、当然の判断なのかもしれません」(別のお笑い芸人)

●キートンに批判的な声も

 さらに、キートンの過去の言動を疑問視する向きもある。

「キートンは毎年のように、『R-1』に批判的なツイートを繰り返していました。ネットを介して運営の悪口を世間に発信する人物が上位に進出することを、運営側が快く思わないとしても仕方ないのではないでしょうか。仮に会場を揺らすほどの笑いを取っていたとしても、そんな事情を汲む審査員は高得点を付けにくいでしょう」(テレビ局関係者)

 芸人は、夢と絶望に溢れた職業だが、あくまでビジネスであり、取引する相手を、本人の耳に届くようなかたちで罵るのは得策ではないだろう。

 キートンの所属事務所関係者は、キートンをこう評する。

「キートンは時折視野が狭まり、物事の一側面やごく一部分に焦点を当てて主義主張を展開することがあります。そういった、自分を見ず、他人の意見を聞き入れない性格に、周囲の人間もまいってしまうことがたびたびあります。
無論、キートンの面白さや人柄を認めている部分もあるので、これによって厳しく咎めたり仕事を減らしたりといった処分には至らないでしょう」

 キートンは事務所から「2/1(金)~28(木)オフです」とのメールを受け取ったと明かしているが、これは処分ではなく「いつも通り」だと笑い飛ばしている。

 キートンは以前、自身の給与明細をツイッターに公開し、ライブのギャラが「50円」だったと暴露したこともある。これについて、お笑い芸人はこう苦言を呈す。

「実は、お笑いライブというのは、満席でも大きな利益を出すことは難しいんです。客が少なければ、運営側は当然、大赤字です。それなのに、安易にギャラを公開して、薄給を批判するような行為について、怒りを隠さない関係者もいます」

「R-1」で会場を沸かせつつも落選したキートンについて、同情する意見も少なくないようだが、日々の言動の積み重ねが自身の首を絞めているという側面もあるのかもしれない。
(文=編集部)

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