1月27日に突如として発表されたの活動休止。国民的グループの活動休止というニュースは瞬く間に日本列島を駆け巡り、「やっぱり私生活の自由がないのが原因?」「グループを活動休止しないと結婚できないから?」など、さまざまな憶測の嵐を巻き起こした。



 テレビや雑誌では嵐の大特集を組み、2020年末での活動休止を惜しむ一方、メンバーたちは記者会見同様、仲睦まじい雰囲気でレギュラー番組でもメッセージを残すなど事態の鎮静化を図った。

とはいえ、「なぜ“活動休止”なのか?」「なぜ2年先の活動休止をいま発表するのか?」など、素朴な疑問もいまだ拭えない。ジャニーズ事務所に近しい関係者は次のように語る。

「雑誌やネットではいろいろいわれてますけど、メンバーたちが30代後半に差しかかり、結婚をしたいのは事実。でも嵐ぐらいになると、メンバーが結婚したぐらいでは人気は揺るがない。おそらく大野君は、結婚だけではなくてもっと広い意味での“プライベートの自由”を優先したかったんでしょう。そこにほかの4人も同調したのには、『そのほうが自分たちも結婚しやすい』という“損得勘定”が働いたということはあるでしょう。

 ですが、そこで『解散』とはならず、ほかの4人が『活動休止』という選択をしたのには、もっと別の事情がある。メンバーの40代以降も嵐が“国民的アイドルグループ”として活動を続けていては、いつか関係がギクシャクし、“第2のSMAP”になることは容易に想像できる。最近は関ジャニ∞やKing & Princeなど下からの突き上げもあり、『このまま活動を続けるより、いったんきちんと休んでまた活動を再開したほうが、結果として嵐のブランドが上がる』と判断したんでしょう。今回の活動休止は、再開を前提にしたものだと思いますね」

SMAPと同じ轍は踏みたくない

「活動休止までに一目でもいいから嵐を見たい」。そう思った人が、コンサートのチケットを得ようとファンクラブに殺到。
「活動休止の発表から2日間で約15万人がファンクラブに新規加入」との報道があったように、嵐はさっそく“特需”に見舞われている。

「嵐ぐらいの規模になると、グループ活動を辞めるまでには、2年はどうしてもかかります。それはファンクラブ会員の多さだったり、CMやテレビ仕事の契約だったり、スケールがほかのグループとは違いすぎますからね。ジャニーズ的にも『この2年間で稼ぎまくる』という狙いは当然あるでしょうし。今まで、2年もの準備期間を置いて活動休止したグループは存在しなかったわけですから、今後、“嵐ロス”をおおいに演出し、2年にわたって稼ぎまくるのだとすれば、さすがとしか言いようがない。

 ドラマもバラエティもテレビ仕事をちゃんとこなせて、コンサートやファンクラブでもしっかり稼げる嵐は、SMAPなきジャニーズ事務所では最大の稼ぎ頭。だからこそ、SMAPではできなかった“ちゃんとした終幕”を演出したいという思いは、当然ジャニー喜多川氏をはじめ事務所側にもあるでしょう。伝説のグループとしてどう“有終の美”を飾るのか。そのためにも、2年間程度は絶対に必要だったということです」(前出の関係者)

ジャニーズ事務所は“膿”を出し切ったか?

 確かに、なし崩し的に解散に至ってしまい解散コンサートすら行われなかったSMAPと、今回の嵐の活動休止とでは、実際の状況のみならず、取り巻く世間の雰囲気にも雲泥の差を感じる。いまだ解散の真相を語らないSMAPに比べて、アイドルとしてすべてをさらけだした感もある嵐には、いつも通りの笑顔があった。

 しかし、「嵐の活動休止が後続グループに与える影響は甚大」だと語るのは、同じくジャニーズ事務所に近い芸能関係者だ。

「やはりグループは、10年を超えればどうしても不協和音が出てくるし、それは仕方のないこと。
むしろ20年もよくやったほうだと思います。なので嵐の活動休止は、ジャニーズ事務所における今後のグループマネージメントの基準になるのではないか。今後は、先日引退し新会社『ジャニーズアイランド』の社長に就任した滝沢秀明を中心に新グループを量産し、若いファン層の獲得に専念する。TOKIOやV6ではCDのセールスは見込めず、Kis-My-Ft2やNEWSなど中堅グループも伸び悩むいま、“CDも売れてコンサートに客が入る”グループをつくるのが最優先課題。そのためには、より若いファン層の開拓が急務ですから。

 現時点でジャニーズ事務所が儲かっていないわけではまったくないですが、ここからビジネスをさらに拡大していくためには、新陳代謝をよくする必要があったともいえる。2016年のSMAP解散から始まったさまざまな不祥事や、タッキーの引退、渋谷すばるの脱退など、集中的にいろんな“膿”が出たのは、ある意味において今のジャニーズを象徴していると思いますね」

 アイドル帝国がひた隠しにしてきた“アイドルの膿”は本当に出つくしたのか? “嵐”が過ぎ去るその前に、まだまだ“膿”が出てきそうな気がしないでもないが……。
(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>

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