木村佳乃主演の連続ドラマ『後妻業』(フジテレビ系)の第7話が5日に放送され、視聴率は前回から0.5ポイント増の6.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区平均)だったことがわかった。
このドラマは、遺産相続目当てで資産家の老人の後妻に収まり、次々と大金をせしめる武内小夜子(木村佳乃)と、小夜子の正体を暴こうとする中瀬朋美(木村多江)の対決をメインとした物語。
前回、「『後妻業』がつまらない原因のかなりの部分は、小夜子や柏木が全然ピンチにならないところにある」とこの欄で書いたが、第7話ではついに彼らにピンチが訪れた。なんと、殺人容疑がかかりそうになったのである。小夜子が狙っていた元開業医の笹島(麿赤兒)が突然練炭自殺したのだが、警察は他殺と疑っているというのだ。
朋美は、小夜子の以前の夫が練炭で死んだことを突き止めており、父の遺産の半分をよこすように小夜子に迫る。応じなければ、マスコミが小夜子の過去をほじくり返すように仕向けるという。マスコミが騒げば、警察も動かざるを得なくなる。仮に逮捕されなかったとしても、小夜子の顔と手口が世間に知れ渡れば、後妻業を続けることは難しくなる。
要は小夜子がカネさえ払えば済むのだから実は全然ピンチでもないのだが、一応は「ついに小夜子も年貢の納め時か」と視聴者に思わせる展開だ。さんざん待ちくたびれたが、ようやくサスペンスっぽくなってきた。
と思ったら、笹島の事件はあっさり解決。なんと、通いの家政婦が自殺を装って殺害したのだという。
せっかく小夜子が追い詰められておもしろくなるところだったのに、これでまたあっさりピンチを脱出。やっぱりこのドラマは、「ここから盛り上がりますよ」という展開を仕掛ておきながらすぐ終息させてしまうのが得意なようだ。ドラマづくりとして根本的に間違っているように思う。
木村佳乃に何度も変顔をさせたり、不倶戴天の敵同士である小夜子と朋美に毎回コント仕立てのドタバタを演じさせたりするのも、ストーリーそのものに力がないことの裏返しだろう。そうでもしないと何ひとつ話題になるポイントがないことに、制作陣の誰もが気付いているのではないだろうか。それが成功しているとは思わないが、「ストーリーにそぐわない演出として笑いものになっている」という意味では注目を浴びているので、まあいいのかもしれない。
毎回「全然盛り上がらない」と書いているようだが、公開された第8話の予告映像は激動の展開を期待させる。小夜子が次のターゲットとして狙っている不動産会社の役員・舟山(中条きよし)がとうとう本性を現すようなのだ。
ただ、予告映像で「次回は舟山に正体がバレた小夜子がボコボコにされますよ」というところまでネタバレしてしまうこのドラマの制作陣には、ちょっと閉口する。そこは、小夜子の正体がバレるのかバレないのか――というギリギリのところで期待を持たせる編集にすべきではないのか。徹底して盛り上がることの反対をやっていくこのドラマ、ある意味斬新である。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)