春先になると例年のように大量オンエアされていた「レオパレス21」のテレビCM。「夢中で 頑張る君へ エールを~」といった有名なテーマソングに合わせて、広瀬すずがレオパレス21の物件で新生活を始め、アルバイトをし、先輩に胸をときめかせる……といった連作CMシリーズを一度は見たことがある者も多いだろう。

それが、いまだに解決の糸口が見えない「レオパレス21 不正施行問題」の影響で、この春からCM自体の放送がなくなったのだ。あるスポーツ紙の記者は次のように語る。

「施工不良問題自体は2018年春に表面化しましたが、施工不良物件からの住人の転居も完了しておらず、この4月10日には新たに3784棟で不備が見つかったと発表。これで施工不良は1万4599棟に拡大したことになり、事件収束の目途はまるで立たず、5月10日には創業家出身の深山英世社長の退任が発表されました。

 広瀬さんの出演CMに関しては、『広瀬の所属事務所サイドが、レオパレスに対しCMを止めてほしいと訴えた』という報道がありましたが、ここまで社会問題化してるわけですから、当然ですよね。あの軽快なテーマソングと共に毎年広瀬さんの成長を見守ってきた我々からすると、一抹の寂しさがあります」

 実際、耳馴染みのよいテーマソングと、女優として旬を迎えた広瀬すずの新生活と恋模様を描き続けてきた一連のCM「恋するレオパレス編」を楽しみにしていたという者は意外と多い。

「広瀬さんがこのCMに登場したのは2015年から。2018年は15社のCMに出演し、いまや『CM女王』との呼び声も高い彼女ですが、レオパレスのCMは、まだ今ほど売れてなかった彼女をCM女王に押し上げたエポックメイキングな作品ともいえます。田舎でバスケットボールをしていた広瀬さんが大学受験を経て、片思いだった先輩を追っかけて上京してくるというストーリーなのですが、ウェブムービー版もしっかりと撮影されており、広瀬さんが得意とするバスケのシーンも見れますし、何より等身大の広瀬すずを見ているような雰囲気を醸し出しており、非常に好評でした。先輩役を演じる無名の俳優が広瀬さんと同じ事務所所属で、いわばバーター出演だったということもご愛嬌。同様に所属事務所が一緒の勝地涼との三角関係を匂わすところで終わってますが、『このあとどうなるの?』と気になっている声がネット上で散見されるのもうなずけます」(前出のスポーツ紙記者)

●CM再開の見込みはナシ

 4年にわたって結末を引っ張られ続けた、広瀬すずによる“恋物語”の結末は確かに気になるところだが、とはいえレオパレス21のCMが再開される見込みは非常に薄いという。あるマネー誌のライターはこう語る。


「レオパレス21の施工不良問題はあまりにも規模が大きすぎるため、まったく収束する気配がありません。株価はストップ安を記録し、同社の2019年3月期の連結決算は最終損益が686億円の赤字。施工不良の調査はまだ半分残ってるので、今後の調査次第ではさらに不備が見つかる可能性も高い。いまだ経営危機状態からの脱却の見込みは立たず、工務店などの連鎖倒産も引き起こしかねない状況です。こんな状況であのCMが再開される見通しなど立つはずがないですし、広瀬すずの所属事務所がレオパレス21側に違約金を求めたという報道さえあった。その後どうなったのか真相は定かではないですが、事務所としては、一刻も早く“黒歴史化”を図りたいのだと思いますね」

 現在、広瀬すずは、NHK朝ドラ『なつぞら』が高視聴率を獲得中で、女優としてさらなる飛躍を遂げようとしている。“夢中で頑張る君へ~エールを~”送る必要は、今のところはなさそうだ。
(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>

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