複数の女性との“マイカー不倫”が報じられた、俳優の原田龍二。「週刊文春」(文藝春秋)が「4WD諸国漫遊不倫」などと報じ、謝罪会見に追い込まれたが、会見では自らの“ダメさ加減”をすべて潔く認め、妻や子どもをはじめ多くの人たちに頭を下げた。



 会見を見た人の意見や感想はさまざまだが、「しょうがねぇなぁ」と笑って見た人もいたのではないだろうか。それによって、昨今の不倫騒動にありがちな過度なバッシングは抑えられているように感じる。それはなぜか。危機管理や“男と女の心情”といった観点から考えてみたい。

●笑いを呼んだ「原田、アウト」

「原田さんはすべてを認め、終始殊勝な態度でした。すべて自分の責任だ、と平謝りしたことで、視聴者に疑問や反感を持たせませんでした」

 某企業で危機管理を担当する山崎豊さん(仮名)はこう語る。

「妻を『尊敬できる』、義妹の松本明子を『心の広い人』、ダウンタウン浜田雅功を『お世話になっている』などと周囲の人への感謝を示したことで、“これぐらい許してやろうよ”と多くの人が感じたことでしょう。これが政治家や企業の謝罪会見なら話はもっと深刻になりますが、犯罪にも結びつかない芸能人の不倫騒動です。

『(妻から)“原田、アウト”と言われました』とコメントしたとき、私もそうですが、バラエティ番組での“裸芸”が頭に浮かんだ人が多かったのではないでしょうか。あれで多くの人が笑い、結果的に許す方向へと導かれましたね。ともすれば『そこまで聞くか?』と感じるレポーターの質問にも殊勝な態度を崩さず、それがさらに好感を呼びました。なんの反論もせず過ちを認める姿こそ、謝罪における基本中の基本です」(山崎さん)

 この会見前、原田は自らがMCを務める情報番組『5時に夢中!』(TOKYO MX)でもネタにされていた。
自らの不倫報道を伝える際に「人生でこんな拷問ってあるんですね」とつぶやいたが、すべてを認めたことで同番組は爆笑に次ぐ爆笑に包み込まれていた。

●“アパ不倫”と“マイカー不倫”

「マイカーで簡単に済ませるなんて、確かに女性の扱いがぞんざいよね。タダで遊んだところが失敗の元だったと思うわ」

 こう語るのは、某高級クラブのチーママ・志保さんだ。

「最近ではパパ活なんて言われているけど、金銭的な見返りを渡していたら騒動にはならなかったはず。マイカーで手短に済ませたあたり、簡単な食事や軽い睡眠を取るのと同じようなテンションだったんでしょ。

 でもね、アホ丸出しなんだけど、憎めなかったのよね。不倫がバレても許される男の多くが、家庭を大事にしているのよね。人間だから当然マイナス面もあるんだけど、それを上回るプラス面があれば、“単なる遊び”で終わらせられるの。慎重にやるんだったら、アパホテルぐらい使って、交通費でも渡しておけばよかったのよ。『もう、バカなんだから』となぜかかわいく見えたのは、私だけかしら?」(志保さん)

“アパ不倫”で世間を賑わせた俳優の袴田吉彦と共演して、新たな境地を見いだしてほしいものである。

●キャラを決定づけた「性欲…強いです」

「途中から笑ってしまい、まるでコントのようでした」と語るのは、20年以上不倫を続けてきたライターの稲垣翼氏だ。

「これまで多くの芸能人が不倫で仕事を失ってきましたが、今回は“災い転じて福となす”の可能性を秘めています。
文化人類学や動物学の考え方では、男の不倫は本能に基づく行為です。仕事ができる情熱的な男ほど性欲も強くなり、女遊びをしたくなりますが、今回の原田さんの行為は相手の女性に恋愛感情がなく、不倫というより単なる火遊びでした。

 自分の奥さんを尊敬できる、と語った流れで若い頃の浮気も白状。しかも『性欲……強いです』と語ったことで、私のような“ダメ男”たちからの共感も得た気がします」(稲垣氏)

 今後は、その性欲の強さを芸人にいじってもらうといった展開も見られるかもしれない。原田の不倫は決してほめられたものではないし、そのやり方も雑な印象が拭えないが、少なくとも事後対応は見事だったといえそうだ。
(文=後藤豊/フリーライター)

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