ヒッピームーヴメントの真っ只中、「サマー・オヴ・ラヴ」と呼ぶにふさわしい 1967 年の美しい 6 月の週末、新しいロックとロックフェスの到来を告げた世紀の祭典「モンタレー国際ポップフェスティバル」がサンフランシスコの南、モンタレーで開かれた。チャリティ・イベントとして16日から18日まで3日間に渡って行われ、20万人以上の観客を動員。

69 年に行われるもうひとつの歴史的なイベント、ウッドストック・フェスティバルに先立つ記念碑的な出来事として、その後も長く語り継がれることになった。

イベントの中心人物となったのが、人気フォーク・ロック・グループ、ママス&パパスのジョン・フィリップスと気鋭の音楽プロデューサー、ルー・アドラー。彼らが製作を担当してこの音楽映画史に残る傑作ドキュメンタリー映画『モンタレー・ポップ』が作られ、今回待望の4Kレストア版が上映されることになった。

舞台に登場するのは、まさに新しい時代の到来を告げ、音楽界のレジェンドとなったミュージシャンばかり。ロック・ギタリストの草分け、ジミ・ヘンドリックスはギターに火をつける衝撃的なプレイを見せ、女性のロックシンガーの原点、ジャニス・ジョプリンは全身から声を絞り出すような圧巻のヴォーカルを披露。当時 24 歳だったふたりはこのパフォーマンスから 3 年後にドラッグの過剰摂取のため他界。

当時 25 歳の伝説のソウルシンガー、オーティス・レディングも忘れがたい歌声を聴かせるが、彼は出演から半年後に飛行機事故でこの世を去る。若くして故人となった 3 人の伝説のステージを目撃できる貴重な作品となっている。さらにフォーク・ロック界の雄、サイモン&ガーファンクル、60年代のカウンター・カルチャーの象徴、ジェファーソン・エアプレイン、ブリティッシュ・ロック界の大物、ザ・フーやエリック・バードン&ジ・アニマルズ、インド音楽の名手で、ザ・ビートルズのジョージ・ハリソンも師事したラヴィ・シャンカール。他にも反戦歌で知られるカントリー・ジョー&ザ・フィッシュ、ブルースとロックを得意にしたキャンド・ヒート、南アフリカ出身のトランペット奏者、歌手のヒュー・マセケラなど、時代を背負うミュージシャンや実力者たちが次々に登場する。主催者のジョン・フィリップスもママス&パパスとして舞台に登場。彼はこのフェスティバルのテーマ曲「花のサンフランシスコ」(歌・スコット・マッケンジー)も書き上げ、ルー・アドラーと共に制作も手がけている。
映画の冒頭でも流れるが、「サンフランシスコへ行くならば、忘れないで花の首飾り」という歌詞は、まさに当時、ヒッピーの若者たちが起こした<フラワー・パワー>を象徴する内容となっている。彼らは<Music Love&Flowers>を旗印にして、その頃、激化していたヴェナム戦争への反戦運動を盛り上げた。<サマー・オブ・ラブ>と呼ばれた時代に登場したこのヒット曲や初の本格的なロック・フェスティバルを通じて、60 年代後半のアメリカの若者文化のあり方も伝わり、彼らが夢見たユートピアの姿が描かれる。映画では観客がフェスティバルに熱狂する様子も捉えられる。

監督のペネベイカーは、ボブ・ディランの 65 年の英国ツアーを記録した傑作『ドント・ルック・バック』(67)でもロック界のレジェンドをカメラに収めていたが、その後はデイヴィッド・ボウイの 73 年の記念碑的なステージ『ジギー・スターダスト』(79)も映画化。こうした音楽ドキュメンタリーの草分け的な監督として知られている。

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『MONTEREY POP モンタレー・ポップ』

監督:D.A.ペネベイカー
字幕:George Cockle ザ・サーファーズ・ジャーナル・ジャパン
配給:オンリー・ハーツ
アメリカ/1968 年(2017 年4K レストア版)/78 分/1.33:1
C2002 THE MONTEREY INTERNATIONAL POP FESTIVAL FOUNDATION, INC., AND PENNEBAKER HEGEDUS
FILMS, INC. C2017 JANUS FILMS

2024年3月15日(金)より、渋谷シネクイント・立川シネマシティ他にて全国順次公開

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