TikTokの存続はアメリカ次第か?

トランプ大統領は情報流出への懸念からTikTokの利用停止、またはアメリカ企業への米国事業の売却をTikTokの運営元であるバイトダンス社に求めています。これを受けて、米マイクロソフト社がTikTokの買い手として候補となっています。トランプ大統領による中国企業への締め付けは今後も継続しそうです。


TikTokがアメリカで情報流出の懸念が生じたのは、2019年にアメリカの児童オンラインプライバシー保護法に反して、13歳以下の子供から個人情報を収集しているとアメリカの連邦取引委員会が指摘したことに端を発しています。それいこう、米中の摩擦が強まる中でTIkTokがユーザーの個人データを奪う可能性があるとアメリカ政界から批判を受けてきました。こうしたことを背景にトランプ大統領は8月6日、アメリカ企業に対してTikTokを運営するバイトダンス(ByteDance)との取引を45日以内に止めるよう命、また米国事業を売却しなければ利用を禁止すると圧力をかけています。


こうしたトランプ政権によるTikTokの利用制限に対して中国外務省は市場経済の減速に反していると強く反発しています。当事者であるTikTokを運営するバイトダンス社は8月3日に社内向け文書において「あるIT企業と協力について検討している」と述べ、トランプ政権の意向に基づいてアメリカ事業の売却について模索しています。


トランプ大統領の発言から動き始めたアメリカ企業

2020年7月の時点でアメリカ国内で4540万人のユーザーを抱えるTikTokへの買収に向けて、トランプ大統領の発言がきっかけとなり、アメリカ企業が動き始めています。どの企業がTikTokの買収に名乗りをあげ、また実際に買収するのか、今後の展開に注目が集まっています。


8月21日時点でTikTok買収に名乗りを上げている有力企業がMicrosoftです。トランプ大統領はTikTokの買い手の条件として「大企業で、安全な企業、米国らしい企業」を挙げていますが、この条件に合致し、かつ数兆円ともみられる買収資金を用意できる企業は限られています。最もシナジー効果が期待できる企業はFacebookであるものの、現在Facebookは米国議会におて反競争的な行為について追及を受けてばかりであり、TikTokの買収は反トラスト法(独占禁止法)に抵触するリスクが高いと考えられています。そこで、IT大手であり反トラスト法に振れる可能性も低く、資金に余裕があるMicrsoftが有力な買収候補先として挙がっています。


TikTokの買収への参加が困難なFacebook社はInstagramにおいてTikTokと類似の新機能「リール」を提供することで対抗しようとしています。Instagramの新機能「リール」では15秒の短尺動画を作成でき、タブ機能によってその動画を発見・拡散させやすくなっています。

アメリカ国内で1億円を超えるユーザー数を抱えるInstagramにおいてTikTokと類似のサービスが展開されることによって、TikTokにとっては巨大なライバル企業が登場することとなりました。


対中国政策を強めるトランプ大統領

中国に対して強硬な態度をより強めているトランプ大統領ですが、その背後には中国政府による貿易協議における約束の反故や新型コロナウイルスへの対応への不信感があります。また、大統領選挙に向けて保守層の取り込みを狙った「中国たたき」との見方もあります。


トランプ大統領は8月11日に「穀物の輸入の約束を中国が守らないなら、中国経済を切り離すだけだ」と述べ、中国政府による米中貿易への対応に不信感を露わにしています。また、トランプ大統領は5月20日に「世界規模の大量殺人を引き起こしたのは『中国の無能さ』以外の何物でもない」と主張し、中国政府による新型コロナウイルスへの対応を批判しています。トランプ政権が進める経済政策がこうした中国の対応によってとん挫したことによって、トランプ政権は中国政府に対して強い不信感を抱き、対中批判を強めています。


トランプ大統領の対中強硬姿勢は大統領選に向けたパフォーマンスだという見方も存在しています。大統領選挙の対立候補である民主党のバイデン候補が中国よりの姿勢をとっていることから、トランプ大統領は米国内で生じている問題の原因を中国へと帰属させることで、バイデン候補への批判へと繋げてもいます。こうした中国の対応だけでなく、大統領選挙が続く限り、中国への強硬姿勢は続きそうです。