近年では、世界的な名声と成功を収めた2人の女性が招かれました。2008年に『ハリー・ポッター』の著者J.K.ローリングが、そして2013年には女優やトークショーホストなどさまざまな顔を持つオプラ・ウィンフリーがスピーチをしています。
共に貧困を経験しながらも著作とトークショーで、つまり言葉のもつ力で現在の成功を築いたことが、2人の共通点です。
デビュー前のローリングが、本人が「ホームレス一歩手前の貧しさ」と表現した生活苦を経験したことはよく知られています。社会保護を受けながらシングルマザーとして子育て、そして鬱病にも苦しみながらも『ハリー・ポッターと賢者の石』を書き上げたのです。
2008年のスピーチでローリングはこう言いました。
人生には、避けることのできない挫折があります。何かに失敗せずに生きることは無理なのです。ものすごく用心深く生きれば、失敗することはないかもしれませんが、それでは生きているとは言えません。それでは、戦わずして負けているのと同じなのです。
失敗からは、自分について学びました。他の方法ではとても無理だったでしょう。自分が強い意志をもっていること、そして思っていたよりも自制心があるのだとわかりました。宝石よりもずっと価値のある友達を持っていることにも気づいたのです。
「Harvard Gazette」より翻訳引用
どん底と思える環境でも、友人の存在が支えになったと言います。
オプラ「上へ行けば行くほど落下もあるのが人生」貧しいシングルマザーの元に生まれたオプラの子ども時代は、信じられない辛苦の連続でした。ろくな服も持たず、9歳から性虐待を受け、14歳で出産、産んだ子はすぐ亡くなります。
しかし、聡明な彼女に備わっていたのが、人の心を動かす並外れたスピーチ力。高校時代にはスピーチコンテストで優勝し、奨学金を得て大学へ進みます。その後は、TVのレポーターやキャスターを務め、スピルバーグ監督の『カラーパープル』で女優デビュー。
25年間も人気を誇ったトーク番組『オプラ・ウィンフリー・ショー』が特に知られていますが、他にもさまざまな事業やチャリティーも行っています。
そんな経緯を知る聴衆に、オプラは語りました。
どのぐらい上へ行けるかは問題ではありません。ハードルを上げ続けていけば、いつかはつまずくこともあります。自分を上へ上へと押し上げ続ければ、イーカロスの神話を取り上げるまでもなく、落ちるときも必ずあるというのが平均の法則なのです。そして、落ちたときには、このことを思い出してください。挫折というものは存在しないのだと。挫折というのは、人生が私たちを別の方向へ動かしているだけなのです。(中略)
ポイントは、過ちのひとつひとつから学ぶことです。経験や出会い、そして過ちがあるのは全て学びのためで、より自分らしくあるようにと、強いてくれるのです。
「Harvard Gazette」より翻訳引用
自らを鼓舞するためにも、一番言いたかったことなのでしょう。
キャリアウーマンこそ、この言葉を励みに卒業式のスピーチは、もちろんこれから社会にでる人に向けたものです。でも、経験や実績のあるカフェグローブ世代にこそ、こんな言葉が励みになるのではないでしょうか。
キャリアがあるがゆえに、それを失うかもしれない挫折や失敗を恐れがちになるからです。
[Harvard Gazette1, 2, Community Table]
photo by Getty Images
(ぬえよしこ)
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