パートナーがいる人もいない人も、40代になるとなぜか「セックスレス問題」を抱えている割合が多くなる。
小学6年生の子どもを持つある女性は「あの子が生まれてから、一度もないわよ」と笑う。ということは、かれこれ干支ひとまわりほど、レスということだ。
「その間、どちらかがせまったりすることはなかったの?」と尋ねると、「最初こそ、夫がもぞもぞと体を触ってくることがあったけど、当時は育児に家事にと忙しくて全然その気になれなくて、無視してたの。そうしたらそのうち、スキンシップ自体がなくなっちゃった」と笑いながら答えた。
育児と家事に疲労困憊していて、セックスを拒否......という話はよく耳にする。その根底には、夫への根深い不満があるようだ。
「そもそも、夫は仕事を理由に、育児も家事も私に任せっぱなしだった。『俺が養っている』という傲慢な態度まで見せていたし。私がどんなに風邪で具合を悪くしたときも、『大丈夫?』と気遣いは見せたけど、そのあと必ず『ごはんどうする? なんか簡単なものでいいよ』なんて無神経なひとことをさくっと口にしたりするの。
そうじゃなくて、『簡単なものを作るね』とか『出前とるけど、なにが食べたい?』と聞いてほしかった。思いやりと家事は彼のなかでは分離しているのよね。
この話を、40代家庭持ち男性ふたりに伝えてみた。すると、ふたりとも一様にきょとんとした顔をして「それのどこがダメなの?」という反応をしたのだ。男性にとって、仕事で家庭を養って、夜は妻といちゃいちゃする......それのどこがいけないのか、という思考になっている。
「普段から育児や家事を一手に担当している奥さんへの敬意が足りてないから、夜の営みを拒否されるんだよ」と私が伝えても、苦々しい顔をしながら「うーん......日ごろから『ありがとう』と感謝の気持ちは伝えてるけどなあ」「ときどき、家事だって手伝ってるし」と彼ら。
このふたりも、奥さんとは数年セックスレスだという。
あのねー......「ありがとう」なんて口で伝えるだけなら、誰だってできるんだって! 家事や育児の手伝いってどの程度? おそらく数ヶ月に一回食器洗いをやったことを、いかにも毎日やっているかのような気持ちになっているだけでしょ。そう伝えると、ふたりはググッと黙り込んだ。どうやら図星のようである。
それでも男は「それがなぜ、体を拒否する理由になるのかがわからない」と言う。
ここは女性と男性の生理の違いだろう。女性は嫌悪感を一度でも持ったら、気持ちはもちろん体も反応しない。それこそ、側でその人の気配を感じただけで、肌が泡立ってしまう。
ところが男性は「それとこれとは別」と考えがちで、どんなにイラッとくることがあっても、生理的現象は起るわけで、「放出する生理」の男たちは、放出するまで欲求がたまっていってしまうのだ。
こういうボタンの掛け違いで、夫婦間や恋人間でもセックスレス問題はどんどん根深いものとなっていく。
セックスレスは「一ヶ月、体の関係がない状態」と定義されているようだが、たった一ヶ月ほどでレスとするならば、世の中のカップルはどれだけセックスレス状態になっていることやら。
とくに女性には毎月"生理"というやっかいなものがあり、この期間(約1週間)はなかなか体を重ねることができない。残り3週間で、お互いの気持ちの高まりが一致するタイミングなんて、40代カップルに、果たしてどれほどあるだろうか、と思う。
私たち40代は、ではこのまま艶っぽい夜から遠のく一方なのか。いや、そんなこともない。「レスにならないように」と日々の努力をしているカップルの事例を紹介しながら、次回は「年齢を重ねても、心底愛し合えるコツ」をご紹介してみよう。
イラスト/藤田佳奈美
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