ニューヨークのラグジュアリーキャリアの一日を追う連載5回目は、ムーブメント・アーティストの小川真帆さん。

元々ワークアウト熱が高いニューヨーク。

セントラルパークでのジョギングやアウトドアでのヨガ、高級アパート内ジムでのパーソナルトレーニングなどはこの街の当たり前。最近では、スポーツウェアを日常に昇華した「アスレジャー・ファッション」も大人気です。いかにフィジカルが整っているか。それがニューヨーカーとしての成功を左右する条件とさえ思えてきます。

そんなフィットネスの分野で人気なのが真帆さんの指導する「ピラティス」。摩天楼を見下ろすスタジオで、しなやかな身体を追求する彼女の一日とは?

小川真帆(おがわ・まほ)
◇ 職業:ムーブメント・アーティスト(Suiso Co.(スイソコ)主宰)/ピラティス・インストラクター
◇ 住まい:マンハッタン、ミッドタウン
◇ 家族構成:写真家の友人とスタジオシェア

7:05am

起床。朝はハイラインかチェルシーピアを40分ほど散歩。スタジオの中にいることが多いので、なるべく自然に触れるようにしています。日によってはクライアントの出勤前に早朝の出張レッスンをすることも。

仕事着は、肌触りの良い「オルタナティブ」や「ルルレモン」がお気に入り。

8:10am

朝食はデカフェのコーヒーと、Grape-Nuts(グレープ・ナッツ)というシリーズのシリアル。

身体を動かすのでたんぱく質を摂るようにしていますが、このシリアルはプロテイン多めでグッド。

それをチアシードやフラックスシードと混ぜ、アーモンドミルクをプラスするのが定番です。

9:03am

自分のストレッチを1時間くらい。その後スタジオの掃除を済ませてレッスンの準備。その日に会う生徒さんの目標、エクササイズ、レベルをふまえたプログラムも作成。

10:00am

レッスンスタート。個人レッスンのほか、マタニティや産後のママとハイハイ前の赤ちゃんのグループクラスも人気。アメリカ人、日本人に関わらず、ワークアウトに対する意識が高いNY。

ピラティスは、ただ減量や汗をかくエクササイズとは違うため、働いている人が身体のメンテナンスとして長く続けるパターンが多いそう。

また、激しい運動で身体を痛めた人がもっと自分にあったものを求めてピラティスにたどり着くパターンも。

12:00am

ランチは近所のスーパー『ブルックリン・フェア』の惣菜。お弁当のようなセット、プロテインパック(肉か魚を一種類、野菜を2種類チョイス)をよく利用するとか。惣菜はマッシュルームやサーモンのソテーがお気に入り。

炭水化物は体質的に食べ過ぎると湿疹が出るので1日1食に。また、砂糖抜きを続けたところ頭痛が治った経験から、糖分控えめを心がけているとか。

1:25pm

フィールドワーク(パフォーミング・アーツに関するワークショップ)のリハーサルのため、チャイナタウンのスタジオへ。ワークショップ自体は週に1回、シアターで開催されます。

観客に見せるというより、作品を深めるのが目的。プレッシャーはありますが、パフォーマンス後のディスカッションで客観的に評価してもらうのは非常に参考になるとか。

また、アドバイスではなく、率直な意見を交換するといったアメリカ式のコミュニケーション法は、今後、自分のカンパニー内でも取り入れていきたいもののひとつ。

4:30pm

出身校であるピラティス・スタジオ、Kinected(キネクテッド)でマシーンを使った自主トレーニング。

6:00pm

自宅に戻り、事務仕事。ダンス作品の企画書を作成したり、フリーランスなので自分でチャンスを探してリサーチ。競争率は高いですが、NYは日本に比べて機会には恵まれているそう。

7:00pm

サラダにチキンを載せて、野菜とたんぱく質の夕食。

パーティなどイベントのときは気合いを入れて料理します。お好み焼きをキューブにカットして、フィンガーフードとして出すとアメリカ人にも好評。友人と出かける際は『Oovina(オーヴィナ)』というタパス・バーによく行きます。

10:25pm

就寝前のリラックスタイム。こちらはチャンネルが多いのでテレビが楽しい! 最近ではHBOのドラマ『Girls』にハマっていたそう。読書をするなら振付家のDeborah Hayの著書『Using the Sky』。表現の言葉の勉強になるとか。

11:00pm

8時間睡眠を心がけて、11pm前に寝るように。日本にいたときは寝なくても頑張れましたが、NYでは2つの言語を使い、脳が疲れています。昼寝をすることも。自分のペースを守らないと仕事に影響が出るため、睡眠の確保は重要。

日本人の身体は素晴らしい。
作品を通して自信を広めていきたい

人種のメルティングポットであるNYで活動する真帆さん。だからこそ気づいたことがあります。

「アメリカ人をはじめ、インド、ロシア、フィリピンなどさまざまな国の人、そしてその身体に接しました。そこで改めて日本人の身体の良さに気づくことができました」。

ダンス作品を通して、日本人の無駄がない動き方や身体を世界にアピールしたい。また、クラスにその良さを取り入れていきたい、という真帆さん。

自信のある人が多いアメリカでも、高い評価を受けている日本人。その評価に対して、日本人自体がもっと自信を持っていいのでは、と言う真帆さん。今後は日本やアメリカで、技術のみならずコミュニケーションの方法も含めて、彼女がNYで経験したものをシェアしていきたいそう。

理想のスタイルはひとつではないのだから、違いに自信を持ったほうが、より社会が明るく楽しくなる、というのが真帆さんの願いです。

足が長く、背が高い......。わたし自身、そんな人たちに囲まれると思わず後退して縮こまっていました。

「日本人の身体はミニマムで芯があるのが強み。それにピラティスはインナーマッスルで無駄なく動く、機能美を表現したエクササイズです。日本人に合っていますよ」。

ネガティブイメージを持ちがちな日本人体型を明るく前向きに語る真帆さん。自信をもって自分の身体と向き合う勇気をもらえた気がしました。

2016年11月17日、18日 Suiso Co.(スイソコ)ソロ公演開催予定(企画:Domestic Performance Agency)。

[Suiso Co.(スイソコ), Kinected, Oovina, Domestic Performance Agency]

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