イギリスの実業家でヴァージン・グループ創始者・会長のリチャード・ブランソンが、すぐに使えるビジネス術を教えます。
起業家の成功は、生産性にかかっています。
僕はたくさんの会社を経営してきたので、このことをよく知っています。そして生産性を上げる手っ取り早い方法として、時間を守ることが重要だと明言できます。
時は金なり。時間厳守のためには何でもやる1日をできるだけ有効に使うためには、始まりをしっかりやる。つまり、行かなければならない場所に、時間通りに到着することです。僕はずっと、時間厳守を優先してきました。それがもとで、時間に遅れないためには何でもやると知られています。渋滞した道で車から飛び降りることも(安全は確かめる)、地下鉄に乗ることも、次のアポに向かってひた走ることすらあります。
僕は遅れるのが嫌いです。自分の計画が狂うだけではなく、相手に対しても失礼この上ない。
早起きと無駄の削減で時間を有効に使う
時間厳守を貫くうちに、いくつか身につけたテクニックをお教えしましょう。
まず半世紀以上事業をやってきてわかったのは、早起きをすれば1日にこなせる仕事量がずっと増えるし、従って人生でこなす仕事量が増すということです。僕はいつも朝5時ごろには起きるようにしています。ちょっと運動して、家族と過ごし、ニュースをチェックする。これによって仕事を始める前に、自分をとてもいい状態に持っていけます。始まりに余裕があれば、その日やることをしっかり把握して、効率的に1日の計画を立てられます。
それから仕事のやり方は、シンプルにしておきたい。PowerPointのプレゼンや、長ったらしい売り込みは好みません。わざとらしい業界用語の入っていない短い説明でコンセプトが理解できれば、そのほか大概のことはついてくるものです。
次に仕事を簡潔にする方法として、僕はたくさんの会議を立ったまま行ってきました。座らない会議では、意思決定や契約締結が加速します。
でもいつもタイトなスケジュールの中でせかせかやってないと時間が守れないかというと、そんなことはありません。効率的にコミュニケーションして管理すればよいのです。アポイントメントに間に合わないときは、相手の時間を無駄にしてがっかりさせるより、はっきり伝えて謝るべきでしょう。誰か代わりの人を送って話を聞いてきてもらえれば、なおよしです。
プライベートにも良い影響が会議であれフライトであれディナーであれ、行くと言った時間にそこにいることが大事なのです。これが古めかしいアドバイスだということは知っていますが、僕の実証済です。ビジネスでは自分の評判が命だから、約束を守ることは極めて重要です。
それから時間厳守のいいところは、ワークライフバランスが取りやすくなることです。スケジュールに遅れが出なければ、1日を効率的に管理できます。
ビジネスリーダーとしての僕にとって、生産性の鍵となるのが時間厳守です。そのおかげで、カイトサーフィンやテニス、サイクリングなど大好きなスポーツをする時間も、家族と過ごす時間もとれてきました。仕事と生活の調和をとるのは、綱渡りにも似ています。片方に傾げば、落っこちてしまいます。そのバランスをとるため、時間を守ることから始めるといい。
ぜひやってみてください。生産性、評価、私生活の全部にプラスになることを、僕がうけあいます。
リチャード・ブランソンイギリスの実業家で、ヴァージン・グループの創設者・会長。ヴァージン・レコードを筆頭に、航空産業、携帯電話、出版、金融から、飲料水、宇宙旅行まで幅広い分野で事業を展開。気球で太平洋横断に挑戦するなど冒険家としても有名である。鋭い洞察力、ユーモアに富んだ発言と自由な生き方で世界中に根強いファンを持つ。
© 2017 Richard Branson, Distributed by The New York Times Syndicate
[原文:Punctuality is the Key to Productivity / 執筆:Richard Branson]
(翻訳:スマキ ミカ)
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