私たちはさまざまなフェーズを迎えて生きている。

日々繰り返されるものから、キャリアや人生におけるフェーズまで。

それらに向き合い、自ら調子を整えていくことは、自身のwell-beingのためにとても重要なこと。

well-beingとは、身体的、精神的、社会的に良好である状態。私たちがもっとwellな毎日を過ごすためには、どう向き合って自分自身をケアしていけば良いのか。

生理周期に着目したサプリメントの発売で話題を集めるILLUMINATE 」のハヤカワ五味氏に聞いた。

ハヤカワ五味(ウツワ 代表取締役社長)
1995年東京生まれ。多摩美術大学卒業。高校生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン・販売を実施。大学入学後、ワンピースブランド「GOMI HAYAKAWA」「ダブルチャカ」、ランジェリーブランド「feast」を立ち上げる。2018年にはラフォーレ原宿に「LAVISHOP」を出店。2019年、生理から選択を考えるプロジェクト「ILLUMINATE」をスタート。

生理周期によって変わる心身。生理期間だけの問題ではない

ハヤカワ五味氏。

「ILLUMINATE」は、生理と向き合い「より多くの選択肢を持ち、自由に選択できるように」というビジョンを掲げ、ハヤカワ氏が2019年5月に立ち上げたプロジェクト。もとは生理用品を扱う通販サイトとメディアを運営しており、そこでのコンセプトは“生理期間を快適に”だった。それがなぜサプリメントを開発するに至ったのか。

「ユーザーからさまざまな悩みや意見を聞いて、生理にまつわる悩みはすごく根深いと感じたんです。生理前にイライラしてパートナーにあたったり、生理の後は冷えに悩んだり。生理のある身体はその周期によって心とともに変化するので、生理“期間”だけの問題ではないんですよね。

生理中だけにフォーカスせず、もっと広い視点でできることはないかと考えていた同じタイミングで、私自身が栄養素を補うことによって身体が見違えるように快適になるという体験をしたんです。毎朝起きるのがつらかったのに、『普通に起きれるじゃん』って(笑)。

仕方がないとあきらめていることが、実は改善できることであったり、ケアすれば自分の身体はもっと良くなるということに、気づいてもらいたいと思ったんです」(ハヤカワ)

そして、2020年8月26日にTICKET supplement(チケットサプリ)」を発売。

毎日飲むサプリメントに加え、生理中に飲むもの、生理後から排卵日までの低温期に飲むものの3種類が入っており、生理周期によって迎えるさまざまなフェーズに合わせて「ベストな栄養素をベストなタイミングで」摂ることができる。生理のある身体をいつでもよりよい状態に導いてくれるアイテムだ。

「TICKET supplement(チケットサプリ)」。
生理期間、低体温期、高体温期、それぞれに必要な栄養素が個包装にされている。1箱で1か月分。「パッケージはそのままテーブルにおいて置けるようものにしたくてこだわりました」とハヤカワ氏。 「3days」は、鉄やエクオール、ホワイトウィロー&フィーバーフューなどで生理期間のつらさに対応。「11days」は独自にブレンドしたハーブやビタミン、ローヤルゼリーなどで身体を温めるとともに排卵期に向けた栄養の補給に。毎日飲む「31days」は不足しがちな鉄や葉酸、さらにヒアルロン酸やイソフラボンなどの美容成分が入っている。

このサプリメントを摂ることで心身を良好に保つのはもちろんだが、ハヤカワ氏が強く願うのは「自分と向き合って、気付いたり、考えたりするきっかけにしてほしい」ということ。

「生理周期による身体の変化って、普段意識することは少ないと思うんです。でも、このサプリメントを毎日、毎月摂ることで『いま低温期だな』とか『体温が上がる時期だな』など、自分がどのフェーズにいるのか気付き、向き合ってもらえればいいなと。『illuminate』が意味する通り、気付かなかったところを“照らす”存在になってほしいですね」(ハヤカワ)

自分がダメな状態であることを認める、受け入れる

自分のフェーズに向き合う——女性のみならず、すべての人にとってwell-beingのために大切なこと。ただハヤカワ氏はこれまで、素直に向き合うことができなかったのだとか。

「もともと我慢強いタイプなので、気分が落ち込んだり、体調が悪かったりしても表に出せず、後でつらくなることが多かった。良くない我慢の仕方をしていましたね。

でもやはり、我慢には限界があるもので……。1、2年前に心が折れそうな瞬間が何度もあったんです。その時、『自分で自分を労わらなければ』と思い、きちんと自分の感情や体調と向き合い、ダメな状態であることを否定しない、受け入れることを意識するようになりました。周りに正直に伝えるということも。

また、仕事でもプライベートでも、タイミングによっては自分が動いた方がいい時と、動いてもどうしようもない時がありますよね。どうしようもない時は『今はそういうフェーズだから甘んじて受け入れるしかない』と割り切れるようにもなりました。それからは、日々の過ごしやすさや仕事のパフォーマンスが上がったなと思います」(ハヤカワ)

人生のフェーズが変わったら、それまでのルールに縛られない

大学在学中に起業してから、いくつもの事業を立ち上げてきたハヤカワ氏。人生のフェーズが変わったと感じたのはどんなタイミングだったのだろうか。

「大きな意思決定をした時ですね。これまでに2回あって、まずは大学を卒業した時です。それまでは学業との兼業でしたが、卒業したら専業になる。『大学へ通っているから』という言い訳はもうできません。単純に自分の実力不足なので、自分の弱さや力量と向き合わざるを得なくなりました

もう1回は今年(2020年)の初め。自分が結局何をしたいのかを決めなければならないフェーズでした。『illuminate』を他の会社の下でやるのか、自分の会社としてやっていくのか。言い訳ができる環境に身を置いて自分を守るのか、しんどいけれど言い訳できない状況にするのかの選択でもあります。結局、自分の会社としてやっていくというハードな方を選んだわけですが、だからこそやり切らなきゃと覚悟を決められました」(ハヤカワ)

そして、フェーズが変わる時に心がけていることは「以前と同じルールでやり続けようとしないこと」だと言う。

「その前のフェーズでは正解だったことが、次のフェーズに合致しているとは限りません。ルールが新しくなったら正解も変わるので、過去の成功体験には捉われないようにしています」(ハヤカワ)

私のwellには食事と睡眠。あとはどうにでもなる

では、ハヤカワ氏にとっての「well-being」な状態とは?

「well-beingには色々な定義があると思いますが、私にとっては『心地よく過ごせる』こと。これは『illuminate』でも大切にしていることで、自分が過ごしやすい、心地いいことが一番大事かなと思っています。

私個人がwell-beingでいるために、意識しているのは食事と睡眠です。この2つがしっかりしていたら、あとはどうにでもなります(笑)。特に睡眠はwell-beingに直結していて、睡眠環境が悪かったり、良く眠れなかったりするとQOLがグンと下がりますね」(ハヤカワ)

社会のwellは、心理的安全性があってこそ

個人だけでなく、人々や社会全体を考えるとどうだろう。

複数人のwell-beingを考えると、重要になるのは心理的安全性だと思います。

社会やコミュニティに、『こんな発言をすると否定されるんじゃないか』という不安がない、安心して自分をさらけ出せる環境があるかどうか。具体的には、排他的ではないとか、マイノリティを受け入れる土壌があるということ。こうした心理的安全性が確保されていてこそのwell-beingだと思うのです。

近年LGBTQや女性活躍といったテーマが取り上げられ、マイノリティにスポットライトが当たる機会が増えていますよね。マイノリティへの向き合い方って、自分にはね返ってくるものだと思うんです。なぜなら、明日からマイノリティになる可能性が、誰にだってあるから。

例えば、親の介護をしながら仕事をしなければならなくなったり、事故にあって車椅子で生活することになったりしたら? ある意味マイノリティになるわけですよね。でも、そこへの想像力は意外と働きません。

自分には関係ないと思いがちですが、しっかり向き合って、マイノリティが受け入れられる環境を作ること。それが実は、自分自身の安全性を確保することにもなるのです。個人的にはこういうところから変わってほしい」(ハヤカワ)

「知って、理解して、ケアする」ことは未来への安心

想像力を働かせることで意識は変わり、行動することが社会の“心地よさ”へつながる。それは、個人に対しても同じ。

生理に関しても、困っていない人もいて、一部の女性だけの悩みだと思われてしまうことがあります。でも、それは人生のフェーズによって変わることもある。社会人になってから生理が重くなるとか、ストレスが溜まって生理にまつわるトラブルが起こることも。明日どうなるかわからないわけです。だからこそ『知って、理解して、ケアしておく』ことが大事。それが自分への安心であり、明日の安全性を守ることにつながるのだと思います。他人事ではなく、自分事としてみんなに考えてもらいたいですね」(ハヤカワ)

撮影/キム・アルム、取材・文/上妻靖子

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