日本の約半数の夫婦がセックスレス状態である。

そんな驚愕の実態が、一般社団法人日本家族計画協会の調べで明らかになっています。

ですが一方で、同意のない性的言動による被害は、日々メディアが取り上げているだけでも後を絶ちません。

日本においてセックスを取り巻く現状は、ひとつの社会課題として、多方面からの解決が必要とされているのです。

今回、MASHING UP vol.1にも登壇頂いた“セックスの革命者” シンディ・ギャロップさんに、セックスを通じたベッドの中でのコミュニケーションの重要性についてメールでインタビューしました。

シンディ・ギャロップ(Cindy Gallop)さん/Make Love Not Porn創始者
ブランド構築、マーケティング、広告が専門。米国の広告業界の第一線を30年以上も走り続けているカリスマ起業家。1998年に広告代理店Bartle Bogle Hegartyの米国オフィスをニューヨークで立ち上げ、2003年にはAdvertising Woman of the Yearに選ばれる。今ではTwitterの「広告業界でフォローすべき人物30名」の1位になるほど絶大な影響力をもつ。Twitter @cindygallop

ビジネスと同様、セックスだってコミュニケーションが大切

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──ベッドの中でのコミュニケーションは良い関係を作るために大切だと思いますか?

シンディ・ギャロップさん(以下:シンディ):私のスタートアップ事業「Make Love Not Porn (以後、MLNP)」(ポルノじゃない愛のあるセックス)は世界初のソーシャルセックスのオンラインプラットフォームで、一般の人がセックスを閲覧出来るだけでなく、普通の人達の普段の営みを動画で共有するサイトです。

ポルノではなく愛のあるセックスの大事さを伝えるだけでなく、セックスについてもっとオープンに、そして正直に話せる社会をMLNPを通して創りたいと思いはじめました。

きっかけは偶然なんです。

それまで34年間、コミュニケーション戦術を得意とし、広告業界で働き、散々クライアントやチームには「良いコミュニケーションなしでは良い結果は生まれない」と伝えながら多くのプロジェクトを世に生み出してきました。

そして年下の彼とのセックスを体験したときに、セックスにおいてもコミュニケーションが重要だと実感。彼らにとってのセックス教育はポルノ映像が基本になっていると気付いたんです。

セックスは大切に思うパートナーと素敵な時間を過ごしたいと思う気持ちが根本的にあります。

自分はどうしたいか? 自分はどのようにして欲しいか? そして、どんなことをして欲しくないか? という気持ちをきちんと伝えて、パートナーの気持ちも聞くことが二人にとってより良いセックスへの第一歩だと思っています。

パートナーも、実は不安に思っている

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──自分の気持ちをパートナーに伝えることはハードルが高いと思うのですが..... .。

シンディ:日常的にパートナーとセックスについてオープンに話さないことで、自分のセックスについて不安に思うのは当然のこと。合わせて、セックスにおいてのコミュニケーションはとても繊細。実際に営みの最中に自分の気持を伝えることは誰にとっても難しいことです。

雰囲気を壊したくないし、パートナーに嫌われたくないと思っていることもあり、話を切り出さずに我慢することが多いですね。

ここで、皆さんに伝えたいのは、パートナーもあなた同様に不安であるということです。

パートナーは、覚えたテクニックや体位を良かれと思い、試行錯誤しながらお互いに気持ち良くなるために工夫をするはずです。しかし、正直に自分の気持ちを伝えないとパートナーがあなたの気持ちを知ることができるはずはありません

伝えないで——つまり無言でセックスしていれば、徐々に幸せを感じず、パートナーと夜を一緒に過ごすことが億劫になり、気づいたら気持ちが離れてしまっているかもしれません。

出会って愛おしく思った相手です。怖いかもしれませんが、自分の気持ちをストレートに伝えることが関係性を保つ秘訣ですし、オープンなコミュニケーションを持つことで相手も素直な思いを伝えてくれると思います。

今夜から使えるコミュニケーションのヒント

シンディさんの50歳の誕生日パーティより。

1. 静けさは何も生まない / Silence is not golden.

映画、テレビ番組、本などで描写されるセックスがセックスの全てではありません。しかし多くの人が「標準的なセックスだ」と思っており、自分にも当てはまると信じていますが、そんなことはありません。誰しも性的スポットは違います。だから恥ずかしからずにオープンに相手に伝えることが重要です。もう一度言います、相手もあなたと同様に不安なはずです。

2. ユーモアのセンスを持とう/ Have a sense of humor.

ベッドの中では予測不可能なことも起こりますよね。内容によってはとても恥ずかしいことかもしれませんが、予測不可能な出来事を一緒に笑ってみるのはどうでしょうか? セックスが中断されてしまう! と思うかもしれませんが一緒に笑うくらいの余裕があるとよりリラックスでき、オープンな雰囲気になりますよ。

3. お互いを好きなところを褒め合う/ Compliment each other.

パートナーの好きな部分をオープンに伝えてみましょう。私は男性の前腕部分をとてもセクシーに感じ、彼にも良く伝えていましたし、ベッドの中でもいかに素敵な男性か相手に伝えていました。パートナーも褒めてもらうと嫌な気持ちにはならないはずです!
また、関係が長いほど褒めることが少なくなる傾向がありますが、感謝の気持ちを忘れずにパートナーの好きなところを改めて伝えてみてはどうでしょうか?

4. 嫌なことは伝える / Say what you don't like.

嫌なことは伝えることが大切です。パートナーは良かれと思ってしている行為や体位かもしれません。

だから「ちょっと痛いから止めてもらってもいい?」とストレートに伝えるのは難しいことですよね。そんな時には「足がつったから、一旦ストップして」と伝えてもいいのではないでしょうか? 心地よくないセックスは誰にとっても良くないことです。

5. 好きなことを伝える / Say what you do like.

好きな行為や体位を伝えることも大事なことです。パートナーもオープンに伝えてもらうことを嬉しく思うはず。

6. ベッド以外でのコミュニケーション / Communicate outside the bedroom.

日常的にパートナーとセックスについての会話をすることをおすすめします。写真やビデオだけでなく、昨夜の素敵なセックスの思い出をテキストで送ったりするのもアリです。パートナーと一緒にセクシャルな映像を見て、こんなことしてみたい。と伝え合うこともオープンなコミュニケーションには欠かせないですね。MLNPもソーシャルセックスのプラットフォームなので、カップルが新しいアイディアを得るために二人で見ているというメッセージをもらいます。

7. 女性のための便利なフレーズ / Useful phrases for women.

一人の女性として女性がベッドでのコミュニケーションに使える3つのフレーズを紹介します。

“もう少しゆっくり”
”もう少し優しくして”
”私が言うまで勝手に触らないで”

男性向けのフレーズはぜひ男性のエキスパートに聞いてください(笑)。

シンディさんが何度も強調している通り、自分の思いを伝えることは恥ずかしかったり、難しかったりするかもしれません。

しかし、気持ちを伝えずに我慢することで大切に思っているパートナーとの間に溝を生みだしてしまっては誰も幸せにはなりません

大切なパートナーだからこそオープンなコミュニケーションをとって、より素敵な関係を築いてみませんか?

もっと見知らぬ人にも心を開いてみない?/外国人観光客30人にコミュニケーションについて聞いてみた

MASHING UP(マッシングアップ)/私が日本人を変えてみせる/カリスマ起業家 シンディ・ギャロップ

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