日本人は世界でも群を抜いて人助けしない――そんな調査結果がネットで注目されている。調査はイギリスのチャリティー団体「Charity Aid Foundation(CAF)」が、2010年から発表している「世界寄付指数」と呼ばれるもの。

2018年の結果では144か国を対象に調査を行った。


調査では、過去数か月の間に、



・「外国人や見知らぬ人を助けたかどうか(人助け指数)」
・「慈善団体に寄付したか(寄付指数)」
・「組織的なボランティアに時間を割いたか(ボランティア指数)」


を聞いている。日本は総合値が128位、「寄付指数」が99位、「ボランティア指数」が56位だった。「人助け指数」は142位。先進国の中で最も低かった。


「これはガチ。

俺が気分悪くなって道で助けを求めてもみんな素通りだった」


調査が発表されたのは昨年10月だが、7月10日頃からツイッターで話題になった。2ちゃんねるでもスレッドが立ち、議論が巻き起こっている。調査結果に納得する人は、



「知らない人に声掛けたら不審者扱いされるもんな。最近は見て見ぬふりするようになったわ。以前は他人に善行するのは気持ちよかったから進んで声掛けてたわ」
「これはガチ。俺が気分悪くなって倒れて動けなくて通行人に助けを求めたけどみんな素通りで、介抱してくれたのは外国人のコンビニ店員だった」
「日本は自己責任の国だからな。

困ってるのはそいつの努力が足りないせい」


などの投稿を寄せていた。


日本の「人助け指数」は過去数年の調査結果を見ても、2018年同様、後ろから数えたほうが早い。過去数か月で「人助けをした」と答えた割合も減少傾向で、2015年は28%だったが、2016年には25%、2017年と2018年には23%に下がっている。確認できる範囲では、23%はこれまでで最も低い数値だった。


「人助け指数」上位には政情が不安定な国も 日本の順位の低さはどう捉えるべきか


一方、調査項目が日本の文化になじまないという指摘や、「日本人はこういったアンケートに自己主張しないだけ」などと反発する声も多い。


ITジャーナリストの井上トシユキさんも調査に疑問を持つ一人だ。

井上さんは、外国人観光客に道案内している日本人を多く見かけたり、自身も道案内を複数経験していることから、



「人助けをしていないというより、どこから人助けと言って良いのかという線引きが、外国人と日本人で違うのでは」


と指摘する。助ける対象が日本人だったとしても、「日本人は、生活保護受給者やホームレスなどを助けないと人助けにならない、と捉えている人が多いのでは」とコメント。言葉の定義の違いが順位の低さに繋がっているという見方を示した。


とはいえ、ここ最近の日本では「自己責任論」が度々議論されている。一億総中流と呼ばれた時代は遠くなり、格差は固定され階級社会化したと唱える社会学者もいる。自分がいつアンダークラスになるか分からない、余裕のない社会で、他人を助けようという気持ちが起きにくくなっていると見ることもできる。


「人助け指数」のトップ5は上から順に、リビア、イラク、クウェート、リベリア、シエラレオネだった。政情が不安定な国がいくつか入っていることを考えると、日本の順位の低さを問題と捉えるべきなのか、迷うところではある。