『鋼の錬金術師』は、時代設定やアメストリスが軍政国家である事から、基本的には男性中心の社会となっています。しかし、作者が女性という事もあり、運命に翻弄される中で男性を支えるといった、男性にとって「都合の良い」女性像は極力排されているようにも見えます。
その中でも、常に戦いの中に自らを置いてきたのが、今回ご紹介させて頂く「リザ・ホークアイ」中尉でした。

⇒リザ・ホークアイとは?(鋼の錬金術師シリーズ)
http://www.charapedia.jp/character/info/5161/

【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】

■軍服でない姿とのギャップ

 軍服を脱いだ彼女は、優しい女性としての面を随所に見せてくれます。行くあてのない子犬を拾って育てたり、笑顔になる事も珍しくありません。自宅でパジャマに近い姿で「エド」と話をした時には、胸の谷間が少し見えるというサービスショット(?)もありました。
同じ女性という事、大切な人を支えるという共通点があるためか、「ウエンディ」ともかなり打ち解けています。

■マスタングとの微妙な関係

 マスタングとの間に、“上官と部下以上の感情”がある描写は随所に見られます。本人たちよりも敵側の方がそれを認識しているようで、「約束の日」の戦いでは「マスタング」に人体錬成を強要する為の人質に取られたりも・・・。第三研究所での闘いで、マスタングが死んだと思った時の彼女の取り乱し方は、単に上官を失ったものとは明らかに一線を画していましたし、「約束の日」でマスタングが彼女を負傷させた「エンヴィー」に対し、「私の大切な部下に何をする」と言い放った彼の表情も鬼気迫るものがありました。マスタングとしては、「大切な部下」ではなく「大切な人」と言いたかったのかもしれません。

■「ダークサイド」からマスタングを救った叫び

 随所でマスタングを支えてきたリザでしたが、もっとも重要な場面のひとつは、エンヴィーへの復讐心にマスタングが我を忘れそうになる場面です。
マスタングに銃を突き付けて「あなたはそちらに堕ちてはいけない」と諭し、「自分を撃った後どうする気だ?」とマスタングに聞かれ、「自分だけおめおめと生き残る気はない」と答えます。これはある意味、自分がマスタングにとって大事な存在だという自信(?)があり、自分の命を人質に説得したようなもの。ともあれ、これが功を奏し、マスタングに「それは困る。君を失いたくない」と言わせるのです。

 ここで自ら為すべきことを再確認したからこそ、マスタングは「約束の日」の後、イシュバール復興に全力を尽くす事になったと言えるでしょう。このように、彼女はマスタングの補佐という形を取りながら、主体的に運命に立ち向かう女性として、とても魅力的に描かれています。


【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】

★記者:ルーデル(キャラペディア公式ライター)