『新世紀エヴァンゲリオン』の登場人物で人気投票をおこなえば、必ずと言っていいほど上位に食い込む「渚カヲル」。特に女性からは絶大な人気があります。
しかも、その出番はTV版では第弐拾四話のみであるにも関わらず、一番人気をかっさらっていくのです。今回は、少ない出番で強く印象に残る「渚カヲル」の魅力についてご紹介いたします。

⇒渚カヲルとは?(新世紀エヴァンゲリオン)
http://www.charapedia.jp/character/info/2865/

【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】

■自らの運命から開放されるために

 彼には使命がありました。エヴァ「第5の適格者」であるばかりでなく、第1使徒アダムの魂を持つ第17使徒であり、ネルフの奥深く眠るアダムの肉体と接触することでサードインパクトを引き起こす為、ゼーレの命により送り込まれたのです。
しかし、彼にとって“生”と“死”は等価値で自由に選択出来るものであり、彼はシンジの手で葬られる事を望みます。

 ベートーヴェンの「第9」が流れる中、初号機がカヲルを握ったまま、約40秒の間、映像が完全に停まるという前代未聞のシーンは、カヲルを殺すまでのシンジの葛藤を示しています。そして、歌詞が「幾万の人々よ、跪くか?(Ihr sturzt nieder, Millionen?)」に差し掛かったところで、シンジは決断するのです。

■シンジのATフィールドを安々と突破!?

 自ら望んだ事ではないとはいえ、初号機で友人の「鈴原トウジ」を傷つけてしまった傷心のシンジ・・・。そこに現れた謎めいた少年が「渚カヲル」でした。初対面でファーストネームで呼び合う事を提案し、ネルフでは半ば強引に一緒にお風呂に入ります。
そこで彼はそっとシンジの手を握ったりも・・・。そして「好きってことさ」といきなりの告白・・・。シンジは彼と目が合うだけで頬を赤らめる始末。シンジの心の障壁、ATフィールドはマトリエルのものよりも脆く崩れ去るのです・・・。

■もう一人のシンジ

 この回の日本語サブタイトルは「最後のシ者」です。有名なネタバレですが、「渚」という漢字はさんずいの「シ」と「者」に分解できます。
また、「カヲル」は五十音で1つずつ後ろにずらすと「オワリ」となります。つまり、彼の名前は「シシャ オワリ」、つまり「最後の使徒」という事を意味します(だから「カオル」でなく「カヲル」なのです)。全てを達観し、全てを許容するカヲルの姿は、「自由意志の天使タブリス」にふさわしいものですが、何も分からず、分かろうともせずに拒絶するシンジを裏返した姿でもあります。ともあれ、このアニメが記憶される限り、「渚カヲル」の人気も衰える事はなさそうです。

【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】

★記者:ルーデルさん(キャラペディア公式ライター)