Text by 金子厚武
Text by 今川彩香
音楽ライター、金子厚武の連載「up coming artist」。注目の若手アーティストを紹介し、その音楽性やルーツを紐解きながら、いまの音楽シーンも見つめていく。
大学の軽音部で結成、2024年から名古屋を拠点に活動しているTrooper Salute。「シンフォニック」が表すように、小宮颯斗(Key)、ムサシ(Vocal)、ロン三元(Bass)、梅村祈穏(Drums)、岩井純成(Guitar)の5人で、音を重ねている。2026年の年明けには音楽番組『EIGHT-JAM』の「プロが選ぶマイベスト10」で川谷絵音に選出され、いっそう注目を集めているバンドだ。
今回は、ボーカルであり、バンドのアートワークとしてイラストも描いているムサシと、主に作詞作曲を担当している小宮がインタビューに答えてくれた。そのルーツや世界観を、幼い頃から聴いていた楽曲や、シンパシーを感じている現代のバンドなど、影響を受けてきた音楽からじっくり紐解いていく。
音楽は好きだけど、最近、新しいアーティストに出会えていない……情報の濁流のなかで、瞬間風速的ではない、いまと過去のムーブメントを知りたい……そんな人に、ぜひ読んでほしい連載です。
—2人はもうすぐ大学を卒業するんですよね。大学生活を振り返って、どうでしたか?
ムサシ:もともとTrooper Saluteは軽音部から始まって、バンドばっかりやっていたので、学校の勉強はあんまり身が入ってなかったです。でも好きなことをずっとやれたので、そういう意味では充実してましたね。
—外のライブハウスに出るようになったのが2年生の冬だから、最初の2年と後半の2年でガラッと変わったでしょうね。
小宮:僕は最初の2年はむしろ学業をめっちゃ頑張ってたんですけど、3年からはバンドのことしか考えられなくなって、大学に行くのが全然楽しくなくなっちゃって。
Trooper Salute(トルーパーソリュート)
名古屋発、シンフォニックインディロックバンド。小宮颯斗(Key)、ムサシ(Vocal)、ロン三元(Bass)、梅村祈穏(Drums)、岩井純成(Guitar)の5人で、2024年1月からstiffslack venueやK.Dハポンを中心にライブ活動中。
—まずは2人のバックグラウンドを聞かせてください。小宮くんは実家がピアノ教室で、小さい頃からクラシックピアノを習っていたそうですね。
小宮:そうです。小6までは週1でヤマハに通っていて、家でも泣きながら練習して、1回だけ全国大会に行くなど、真剣にやってました。でも中学校で反抗期が来て、ピアノを弾くのは好きだったんですけど、習うのは全然楽しくなくなっちゃって。それで親にも「それならやめていい」と言われて、やめました。
—曲はいつ頃からつくっていたんですか?
小宮:『JOC(JUNIOR ORIGINAL CONCERT)』っていう、その地域のヤマハに通ってる子たちが集まって、自分のつくった曲を披露する発表会が年に1回あって。初めて作曲したのはそのときですね。それからもちょこちょこつくってはいたけど、高校生で初めてiPadを買って、DAWを使ってちゃんとつくるようになりました。
—Trooper Saluteの曲にはオルタナティブロック的な側面と、昭和のアイドル歌謡や渋谷系など、ちょっと懐かしいポップスの側面が同居していると思うんですが、それぞれどんな順番で好きになったんですか?
小宮:初めてクラシック以外の音楽をちゃんといいと思ったのがサカナクションで、それが小学3、4年くらい。そこからゲスの極み乙女、米津玄師さん、amazarashiとかを聴いて。中学からインターネットに触れるようになったので、中学の3年間はボーカロイド文化にどっぷり浸かって。高校になるとサブスクを使うようになり、長谷川白紙さん、Tempalay、King Gnuとか、ロックからの分岐ではあるんですけど、いろんなジャンルを聴くようになりました。
大学に入る前に1年浪人して、浪人期間は娯楽が音楽を聴くぐらいしかなかったので、ここでインディーズの、月間リスナー数が3、4桁のバンドも聴くようになって。で、大学で軽音楽部に入ると、とがった先輩に「お前これ知らないの?」みたいなことを言われて、そこからオルタナティブロックをちゃんと聴くようになって、大学で一番衝撃だったのはマスドレ(MASS OF THE FERMENTING DREGS)でした。そんな流れでいまに至ります。
—昭和のアイドル歌謡や渋谷系とはいつ出会ったんですか?
小宮:渋谷系は浪人時代、最初にCorneliusから入って、そこからピチカート・ファイヴとかサディスティック・ミカ・バンドとかを聴くようになって。昭和歌謡は、大学の近くに昭和歌謡しか流れてない居酒屋があって、一時期入り浸ってたので、そこでいろいろ知りました。
—親が聴いてたとかではないんですね。
小宮:親はクラシックしか聴いてなかったです。もちろん、歌謡曲でも有名な曲は知ってたんですけど、ちゃんと聴くと「アレンジやば」「歌うま」みたいな。
—Trooper Saluteは大学の軽音部で結成されて、最初は別のボーカルがいたけど、その子が抜けて、ムサシさんが二代目として入った。小宮くんとムサシさんはもともと何つながりだったんですか?
ムサシ:大学にボーカロイドが好きな人とかが集まるオタサーのようなものがあって、私も絵を描いてたので、そこに流れ着いて。小宮とはそこで知り合ったんですけど、異様なオーラの人間がいるなというか、なんか変なやつだな、みたいな感じで仲良くなって。その頃にもう小宮はサンクラ(SoundCloud)に自分の曲を載せていて。
小宮:ほとんど誰も聴いてないけど、ポートフォリオとして載せてました。
ムサシ:それを聴いたり、Twitterのスペースで弾き語りをしてて、それがすごい良かったり。なので、「この人は音楽がすごい人なんだな」とは思ってたんですよ。
—で、一緒にカラオケに行ったときに、ムサシさんが吉澤嘉代子さんの“泣き虫ジュゴン”を歌ったのを聴いて、バンドに誘ったと。ムサシさんはもともと吉澤さんが好きだったんですか?
ムサシ:そうですね。そこまでいろいろ聴いてたわけじゃなかったんですけど、YouTubeのおすすめで吉澤嘉代子さんのアルバムのティザーが流れてきたり、(倉橋)ヨエコさんの動画が流れてきたりして、「あ、いい曲」みたいな、そういう感じで音楽を聴いていました。
—吉澤さんもヨエコさんも歌謡曲っぽさがありますよね。
ムサシ:私の場合は、親がそういう音楽をすごい聴いてて。お父さんが音楽オタクで、車でオザケン(小沢健二)がずっと流れてて。
—渋谷系も聴いてたと。ムサシさんの場合はもともと音楽に軸足を置いていたというよりも、ずっとイラストを描いてたんですよね。小さい頃からアニメや漫画が好きだった?
ムサシ:そうですね。もともとあんまり活発じゃないというか、友達が多いほうじゃなかったので、必然的に部活を選ぶときも文化系の部活を選んで、自然とそういう方向に行った感じでした。ちっちゃい頃から読んでたのは『銀河鉄道999』で、その独特な死生観や時間の感覚がすごく好きだった覚えがあります。
—それこそイラストという意味では、メーテルにもハマったり?
ムサシ:本当にそうですね。「人間の造形とはまったく違うかたちをしてるのに、こんなに美しいものがあるんだ」みたいな。理想的なものとリアリティのバランスっていうのかな、そういうのがいいなと思って。
—Trooper Saluteのアートワークとしてムサシさんが描いている女の子のキャラクターにも、たしかにそのバランスを感じます。
ムサシ:あとは、宮沢賢治の本や童話を読んでいて、それも理想的なものというか、現実感のない世界観みたいなものが好きでした。
—それはTrooper Saluteの楽曲の世界観にも通じるような。ほかのインタビューで「実体験や本当のことは歌わない」と話しているのを読みました。ムサシさんの話は小宮くんにも当てはまるところがあるんでしょうか。
小宮:自分はむしろ漫画やアニメにはあんまり触れてこなくて、本も全然読まないんです。歌詞を書くにしてもたいてい音楽を参考にしていて、ちゃんとした文章を読んでないから……説明くさくない感じというか、ちょっとナンセンス的な文脈になってるのかなと思ってます。
—曲の登場人物は女の子が多くて、少女漫画っぽい世界観があって、それがムサシさんの描くアートワークとも通じるものがあり、Trooper Saluteのひとつの色になっていると思うんですが、そこに関しては?
小宮:自分の個人的な感覚として「男が主人公だとポップじゃなくなっちゃう」というのがあって、男の子よりも女の子のほうがミステリアスな生物だと思っているんですよね。なので、「ゴリゴリな感じ」を避けるべくしてそうなっているというか……。
ムサシ:小宮の言う「女の子」は、特定の誰かっていうより、理想像に近い「想像上の女の子」みたいなことだよね。男の子が主人公だと、少女漫画じゃなくて『ジャンプ』みたいに熱血になっちゃう、みたいなところなのかな。
小宮:これは統計を取ったほうがいいと思うんですけど、自分の経験則として、男が主人公の曲のほうが生々しくリアルなことを歌ってて、女性目線の曲のほうがファンシーで奇天烈なことを歌っていませんか……? 自分が好きなのは後者なんです。
—それこそ吉澤嘉代子さんも魔女など、妄想の世界を歌にしていますもんね。
小宮:そうですね、おっしゃるとおり。
ムサシ:自分から距離があるからじゃないの? 男である自分から見てというか、わかっちゃうものよりは、わからないものを書きたい、みたいな部分がある気がする。距離が近すぎないほうが、空想の幅というか、隙があるのかもしれない。
—ムサシさんは小宮くんの書く歌詞の世界観や女の子をどう感じてますか?
ムサシ:基本的にはそんなに理論的ではないというか、ひらめいたり、空想したりしたことを詰め込んでいる感じがする。でもどの曲にも人恋しさ、懐かしさ、寂しさみたいな、そういう要素がちょっとずつ入ってる気がして、それがすごくいいなって。
ただ奇天烈なだけじゃなくて、人とつながるためのものっていう感じがする。偶然ですけど、その感じが私の好きだったものや描いているイラストの雰囲気とも重なってっていて、メッセージとして届きやすくなっているところはあるのかなと思います。
—ムサシさんはもともと友達が多いタイプじゃないという話もありましたが、人とつながるためにイラストを描いている部分もあった?
ムサシ:そうですね。それこそ私がイラストを描いた“野菜生活”のMVにはそれをすごく感じてて。歌詞がトンチキというか、「ギロッポン」みたいな、ちょっと変わった言葉がバンバン出てくるけど、サビのメロディーとかコードとか、じつはちょっと寂しげな感じの曲でもあって。視覚的な補助があることで、真意が伝わりやすくなるというか、補完できている部分もあるのかなと思います。
—プロフィールには「シンフォニックインディロックバンド」というキャッチコピーがありますが、この言葉はいつから使ってるんですか?
小宮:初めてラジオに出たときに、「キャッチコピーをつけてください」と言われて、「そんなのないぞ」と。お世話になってるライブハウスの店長さんに相談したら「シンフォニックインディロックどう?」と言われたので、それをそのまま使っています。だから自分たちで考えたわけではないんですけど、周りの人から見たときに、「音の重なりでみせていくバンド」みたいなイメージがあるんだなって。
ムサシ:つけてもらった当初は「そうなんだ」と思ったけど、あとから考えると割と納得感のあるネーミング。楽器の重なりや声の響きの交響曲的な部分、“不治”などからそういうところをくみ取ってくれたのかなと思います。
—小宮くんのバックグラウンドにクラシックがあるから、そういう意味でも「シンフォニック」は似合うし、いま言ってくれたように、5人のアンサンブルを大事にしてますよね。初期は小宮くんがDTMでデモをつくって、それを再現する感じだったけど、最近はスタジオでつくるようになって、メンバーそれぞれの色も出るようになったそうで、よりシンフォニック感も出るようになったのかなと。
ムサシ:それはほんとにそうで。みんな最初の頃は自分がつくってないフレーズだと弾きにくい面もあったようで、カチカチな感じだったけど、最近は伸び伸びやってる感じがするかな。
小宮:レコーディングまでは、みんなが何を弾いてるか細かい部分はわかってなくて、「あ、そんなの弾いてたんだ」みたいなことも最近増えてきました。
—音楽番組『EIGHT-JAM』で、Trooper Saluteを紹介した川谷絵音くんもそういうつくり方なんですよね。がっちりデモをつくるんじゃなくて、スタジオで指示を出して、メンバーがそれに反応してっていう。もともとゲスの極み乙女も聴いてたそうだけど、川谷くんのつくる音楽からも影響を受けていると言えますか?
小宮:めちゃくちゃあると思う。
ムサシ:うちのドラムもすごい好きです。
小宮:ゲスは最初知ったときに、聴いたことないジャンルの音楽をやってるなと思って。CMで初めて聴いて、梅田のタワレコでCDを買って聴いたら、途中でクラシックの曲を入れてたり、コーラスでも変なことをやってたり、曲にもよりますけど、鍵盤が前にガンガン出てて、ギターがそんなに主張してないのも衝撃でした。
—間違いなく通じる部分はありますよね。オルタナとポップスが混ざってるのもそうだし、鍵盤が前に出てて、ジャズっぽい要素も入ってたり、途中でプログレ(※)な展開をしたり。ムサシさんも聴いてましたか?
ムサシ:私はゲスは有名な曲しか知らなかったんですけど、軽音部でジェニーハイをコピーした経験もあって、川谷さんがつくった曲には割と触れてました。
私は小宮みたいに音楽に詳しいわけじゃないですが、そういう人間にもわかるキャッチーさがあるというか……じつは変なことをやってるんだけど、誰が聴いても耳馴染みがいい、そのバランスはすごく好きです。いまになって“夏夜のマジック” “私以外私じゃないの”をめっちゃ聴くとか、そういうのがいつでも成立するバンドだなって。
—変なことをやってるのにちゃんと普遍的。Trooper Saluteもそういう音楽だと思う。
ムサシ:目指していきたいよね。
小宮:目指したい。
—「シンフォニック」を構成するほかのメンバーのことも聞かせてください。
小宮:ドラムの(梅村)祈穏はもともとヒゲダン(Official髭男dism)など、メジャーなロックバンドが好きで、大学に入ってからcinema staffとかが好きになって。
—名古屋の先輩ですもんね。
小宮:なので、the cabsとかも好きですね。
ムサシ:超絶技巧、みたいなドラムの曲が好きだったりする。
小宮:堅実なプレイで支えるっていうよりは、前に出て、フィル(※)もガンガン入れまくって、「俺を見ろ」みたいなドラムがめちゃくちゃ好き。もうちょっと支えてほしいと思うこともあるんですけど(笑)。
ムサシ:プレイは我が強いけど、人柄としてはすごく気遣い屋さんで、機材の搬入搬出とかでもいろいろ気を回してくれます。
—ベースのロン三元くんはどうですか?
小宮:根暗なおしゃべり。
ムサシ:麻雀大好き。
—音楽的には?(笑)。
小宮:ロンさんもゲスが好きで、(ゲスの極み乙女のベースの)休日課長を一番に尊敬してる。あとはボーカロイドとか、インターネット由来の音楽もめっちゃ聴いてて、音ゲーも好きだから、ナムコオリジナルの曲とかも詳しい。
ムサシ:低音がドンドン効いてるような曲もよく聴いてる。
小宮:ドラムンベースの曲とかハイパーポップとかめっちゃ聴いてる。
—じゃあ、ギターの岩井(純成)くんは?
小宮:RADWIMPSが大好き。
ムサシ:あとはセカオワ(SEKAI NO OWARI)とかフレデリックとか。
小宮:僕が聴いてこなかったものを全部聴いてるかも。バンプ(BUMP OF CHICKEN)も好きだし。
—ちなみにアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)は? Trooper Saluteよりちょっと上の世代、kurayamisakaとかの世代はみんなアジカンをルーツに挙げるイメージがあるけど、やっぱり微妙に感覚が違うのかな。
小宮:僕はアジカンは大学生になってから聴きました。アジカンって、僕らの世代では『NARUTO』を見てたかどうかなんですよ。『NARUTO』好きは全員アジカン聴いてるけど、そうじゃないとアジカンに触れるタイミングが『ぼっち・ざ・ろっく!』ぐらいまでなかったかも。
あと、僕らの世代は高校時代にコロナ禍があって、やることがないからギターを始めた人も多くて。うちのギターもそうなんですよね。
—これまでEPを2作出しています。最初のEPは意図的にポップなものとしてつくって、この先でオルタナなアルバムを出そうと思ってるから、2作目はファーストとアルバムをつなぐイメージでつくったそうですね。なぜそういうアプローチをしようと思ったんですか?
小宮:初めてライブハウスに出ることになって、それなら一曲くらいレコーディングをしておいたほうがいいかと思ったときに、一番曲として完成してた“美人”を録ったんです。なので、最初のEPをつくるってなったときも、“美人”に合う曲を選ぼうと思って。
5曲だけだとしても、いろんなジャンルがごっちゃになってる作品はあんまりつくりたくなくて、ある程度世界観を通したかったというか——それこそkurayamisakaがそうだったと思うんですよ。最初のEPを出したときに、ちゃんとストーリーラインがあって、それに沿った曲が入っていて。自分もこれをやりたいと思って、世界観を統一させられる曲でまとめたのが最初のEPでした。
—なるほど。
小宮:そこで選出されなかった曲、要するにオルタナな曲を集めたアルバムを、大学卒業前のタイミングにつくろうと思っていたんですけど、ファーストの反響がそこそこあったから、いきなりオルタナなアルバムを出したら、ファンの人がびっくりして離れちゃうんじゃないかと思って。だったらあいだにもう1枚あったほうがいいかと思って、セカンドではうまくグラデーションをつけられるようにしようと。
“不治”はもともとTrooper Saluteとして活動する前からあった曲で、結構オルタナな、それこそマスドレからめちゃくちゃ影響を受けた時期の曲なんですけど、一応恋愛の曲で、アルバムには恋愛の曲を入れたくなくて。
—統一感を持たせるために?
小宮:そういうことです。でもアルバムのあとで“不治”を出すのは寝かせすぎだと思ったので、セカンドは“不治”で締めくくれるようなEPにしようと思ったんです。
—オルタナが自分たちの本質とか、逆にポップなほうが自分たちの本質とか、そういうことではなくて、作品ごとの世界観を大事にしたくて、この順番になったと。
小宮:そうです。
ムサシ:小宮はひらめきとか瞬発力で出す曲がポップな雰囲気になりがちで、もともと持ってるセンスでつくると、もうちょっと落ち着いた、“忘れてしまいそう”とか、そういう雰囲気の曲になるイメージ。だから、違った側面が出ているとは思うけど、かけ離れたものだとは私はあんまり思わなくて。
オルタナティブな曲といわれる曲のなかにもポップなメロディーセンスはあるし、“美人”みたいなポップな曲のなかにもオルタナティブな要素もあるし。だから、より効果的に届けるために、雰囲気ごとに作品にしたのは良かったかなと思ってます。
—さっきkurayamisakaの話があったように、いまはライブハウスでオルタナなバンドが盛り上がってるから、すぐにオルタナに行っても、それはそれでリアクションがあった気がする。でも自分たちの世界観を順番に見せてきたから、そのなかで埋もれることなく、Trooper Saluteの独自性をちゃんと提示できてる感じがします。
ムサシ:もともとオルタナ畑っていう感じでもないし、仮にオルタナティブな曲を先に出してしまえば、ポップスの行きどころがない感じもあったかも。そういう意味でも、一番最初に録った曲が“美人”だったのは私のなかで納得感のある選択でした。
—いまのTrooper Saluteは独自のポジションにいるように見えるんですけど、シンパシーを感じるバンドはいますか?
小宮:揺れるは幽霊は、やってることはオルタナだと思うんですけど、メロディーを分解するとキャッチーなメロディーのつくり方になっていて。ライブも何回も見ていますが、意外とダンスミュージックと相性いいのかなと思う瞬間があったりして。
小宮:カラコルムの山々も、彼らは絶対ZAZEN BOYS好きだろうなと思って聞いたら、本当にZAZEN BOYSのコピバンから始まったらしくて。でも彼らも自分の聴いてきたものを別のフィールドにちゃんと落とし込んでいて、そういう意味では自分たちとやってることが近い部分もあるなと思います。
ムサシ:私は同じ名古屋のスーパー登山部が——『EIGHT-JAM』でも一緒に選出されましたけど——やっぱりポップなだけじゃないっていうところにシンパシーを感じる。人と違うことをやるけど、それをみんなに届くかたちでやる。オリジナリティーと普遍性の両立みたいな、それがやっぱりいいのかな。
小宮:挙げようと思えばキリがないけど、いまの3組が結局のところ一番近いのかな。
ムサシ:一緒に頑張ってる感じがある。
小宮:そうそう。同世代っていうのも含めてね。
—3月29日に単独公演「門出」が名古屋のstiffslackで開催されます。なぜこのタイトルをつけたのでしょうか?
小宮:言い方はよくないかもしれないけど、最後の「身内ノリ」だと思ってて。ありがたいことにライブの規模もだんだん大きくなってきたなかで、stiffslackというライブハウス自体に対してもそうですけど、ここまで見届けてくれた名古屋という土地に対してのお礼というか、まつりごとというか(笑)。
単独公演「門出」フライヤー
—なぜstiffslackでやろうと思ったんですか?
小宮:そもそも外のライブハウスに出るきっかけがstiffslackだったんです。stiffslackで部活のライブをしたときに、店長のタピさんが「外出たほうがいいよ」と言ってくれて、それをきっかけに初めて外に出て、いまに至っているんです。
ムサシ:なので、このタイミングで名古屋でやるならstiffslack以外はないねって。で、ここからは広い世界に出てみるよ、行ってきます、みたいなライブ。
小宮:それが要するに「門出」っていう。
ムサシ:「卒業公演」にしようかと思ってたけど。
小宮:ギターは薬学部で6年制だから、まだ卒業しないので(笑)。
—では最後に、この先の活動の展望を聞かせてください。
小宮:今年はとにかく多くの人にライブを見てもらえるように頑張りたいと思っていて。たぶんアルバムも出ると思うので、まだ自分たちのことを知らない人にも聴いてもらえるチャンスを広げていきたいし、フェスにもめっちゃ出たいし、アルバムのツアーもあると思うから、それもちゃんと成功させたい。
そして来年の3月までには、自分たちがこれまで経験したことがない、大きい会場に挑戦したくて。そこをゴールとして、1年頑張りたいと思ってます。
ムサシ:毎回ちゃんといいライブをして、自然にいろんな人が聴いてくれるようになったら、それが理想のかたちだなと思う。だから、いい音源をつくるのももちろんですけど、いいパフォーマンスを通じて、Trooper Saluteの曲がいろんなところに届いていったらいいなっていうのが、私の希望です。


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