森は総合4位もリードで圧巻の登り ガンブレットが五輪連覇【パリ五輪|女子ボルダー&リード】
パリオリンピックのスポーツクライミング競技最終日となった10日、女子ボルダー&リード決勝が行われ、スロベニアのヤンヤ・ガンブレットが五輪2連覇を達成した。2位はブルック・ラバトゥ(米国)、3位はジェシカ・ピルツ(オーストリア)で、ともに五輪で初のメダルを獲得。
ボルダーラウンドはダイナミックな第1課題を8人中6人が完登。各選手がスタート直後とゴール取りのランジを次々と決めていき幸先のいいスタートを切った。森はスタートポジションへのジャンプが一度も届かず、ノースコアに終わってしまった。
第2課題はじわじわとした動きで進むバランス系の内容。観客側に反転しながら、あるいは反転せずに完登のムーブを起こした6人が連続完登した。バランス能力に長ける森はここを登り切りたいところだったが、2つ目のゾーン攻略に時間を要してしまい、突破はしたものの時間切れとなった。最後に登るガンブレットは慎重に足先を伸ばすなどして完登した。
第3課題は4人を終えて完登なし。ここで挽回したい森は両手での持ち替えや見事なポジション取りで中盤を突破すると、レストも挟みながら冷静にムーブを起こして会心の完登を決めた。その後はラバトゥ、ガンブレットも完登。ガンブレットは一撃するも左手を気にする素振りを見せ、表情がこわばるなどいつもと違う精神状態であることをうかがわせた。
コーディネーション系の第4課題は、各ゾーンの獲得が一筋縄にはいかず、さらに飛び出した後に複雑な手順のムーブが待ち受けるゴール取りも難度が非常に高く、誰もトップホールドにはたどり着かなかった。ボルダーラウンドを終えてガンブレットが84.4点で首位。しかし2位ラバトゥとはわずか0.4点の差だった。3~6位は59点台で、森は39点で7位。得意のリードでごぼう抜きも可能な位置につけた。
リードラウンドでは、結果的にリードを得意とする選手が1手につき4点を得られる最後のセクションに次々と達していった中で、5番手の森が違いを見せる。大舞台での完登を目指して順調に高度を上げていくと、60点を超えても長いレストは挟まず、抜群の保持力、持久力で一手を重ねていった。
完登に近づくにつれて声援も大きくなっていく中、トップホールドにあと一手まで到達。最後は繰り出した右手が決まらず、落下してしまったが、会場はスタンディングオベーションで森を迎えた。しかし本人は完登を逃したことで悔しい表情を見せた。
96.1点を加え、総合1位へと浮上した森だったが、残り3人が高得点でメダル圏内に入っていく。ラバトゥ、ピルツは東京オリンピックで成し得なかったメダル獲得が確定すると涙を流した。
3位はピルツで147.4点。4位の森との差は12.3点だった。惜しくもメダルには届かなかった森。しかし、彼女のその登りは観る者を魅了したに違いない。
<女子ボルダー&リード決勝|総合成績>
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)
168.5pt(B 84.4pt/L 84.1pt)
2位:ブルック・ラバトゥ(USA)
156.0pt(B 84pt/L 72.0pt)
3位:ジェシカ・ピルツ(AUT)
147.4pt(B 59.3pt/L 88.1pt)
4位:森 秋彩(JPN)
135.1pt(B 39.0pt/L 96.1pt)
5位:エリン・マクニース( GBR)
127.6pt(B 59.5pt/L 68.1pt)
6位:ソ・チェヒョン(KOR)
105.0pt(B 28.9pt/L 76.1pt)
7位:オセアニア・マッケンジー(AUS)
104.8pt(B 59.7pt/L 45.1pt)
8位:オリアーヌ・ベルトン(FRA)
104.5pt(B 59.5pt/L 45.0pt)
※上段左から総合順位、氏名、所属国
※下段左から2種目の合計ポイント、各種目のポイント(B=ボルダー、L=リード)
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