地方都市の理想像「"共鳴都市"名護」を目指す活動を本格化
名護スマートシティ推進協議会は2022年1月に設立され、官民の連携や先端技術の効果的な活用により地域課題の解決や街の魅力を高める「スマートシティ名護モデル」を創出し国内外へ発信することを目的に活動を開始した。協議会には社員企業合計7社が参画し、連携しながら名護市におけるスマートシティ関連事業を推進している。
同市は2023年4月にスマートシティ推進の基本計画である「スマートシティ名護モデルマスタープラン」を公開、その中で、市が目指す姿を「"響鳴都市"名護」として定めた。その基本的な理念は、人や企業でにぎわい、街の歴史や自然などの地域資源が最新技術と共にそれぞれの力を発揮し、互いに響鳴させてその力を最大限に引き出すような都市の姿だ。
名護スマートシティ推進協議会はこれまで、市内におけるスマートシティ推進のマスタープラン策定や推進体制の確立を進めてきた。今後は本格的に活動を開始し、市内を主なフィールドとした先行実証事業に取り組む。
今回新たに設立された名護スマートシティコンソーシアムは、名護スマートシティ推進協議会の配下に位置する会員制のコンソーシアムであり、健康・福祉、子育て・教育、産業振興など、各課題に応じたワーキンググループとして活動する。各ワーキンググループは市の原課と連携を取りながら活動を進める。
なお、同コンソーシアムは希望する企業が参加できるようなオープンな組織として運営する方針。県内外からの参加企業および団体を広く募集し、今年度中に110会員ほどを目指す。
名護スマートシティ推進協議会の代表理事を務める林優子氏は「名護市やその周辺の県北部には、さまざまな課題が山積している。
アマゾンウェブサービスジャパンのパブリックセクター官公庁事業本部で本部長を務める大富部貴彦氏は「クラウドには、AIやIoT、セキュリティなどの最先端の技術を日本のどこにでも届けられる強みがある。地域の方々と共にスマートシティの実現に貢献したい」と期待を述べていた。
なお同日の記者会見には、ゆがふホールディングス、シスコシステムズ、デンソー、西日本電信電話(NTT西日本)、JTB沖縄、KPMGコンサルティングなど、名護スマートシティ推進協議会の社員企業から代表者が参加していた。最新技術を用いた地域の活性化について、改めて方針や思いを同じくしている様子だった。
イノベーションの"場"となる「Nago Acceleration Garage」を市内に開設
KPMGコンサルティングは同日、多くの人や企業が集まる活気ある地方都市の理想像「"響鳴都市"名護」の実現を支援するため、オープンイノベーションセンター「Nago Acceleration Garage」を市内に開設した。
この施設は、コンソーシアムに参加する企業が持つ先端技術を体験する場としても機能するという。地域の企業だけでなく、行政や学生、市民らが技術に触れ、知識や情報の不足を解消できる環境を目指す。
また、コンソーシアムではこうした体験を通じて、スマートシティを実現するための街づくりやビジネスアイデアの創出を促す。これまでには無かった地域や社会と人材の関係を促進して、Nago Acceleration Garageが創造創発拠点となることを目標としている。
さらに、同施設では、求心力のあるコンテンツを持続的かつ自立的に創出するための5つのプログラムを展開する。
名護市長の渡具知武豊氏は「当市が掲げる"共鳴都市"名護を実現するためには、市内の課題を自分事のように考えられるプレイヤーを呼び込んで、地域ビジネスを売り出して地域経済を活性化する必要がある。また、地域住民の不便を減らして利便性を向上し、市民の生活満足度を向上する必要もある、行政だけでそうした取り組みを広げるのは限界があり、民間企業の協力が必要だ。スマートシティ名護モデルの実現に取り組むとともに、ここでの取り組みを国内外に広く発信して、街づくりの取り組みを広げていきたい」と語っていた。