●芸能界で叶えたかった夢「SMAPに会う」
グラビアアイドルでタレントの夏本あさみが6月30日、1st写真集『夏本あさみ 1st写真集 ラストシーン』(KADOKAWA 3,300円)を発売した。同作は、今月1日に30歳の誕生日を迎えた彼女の20代最後の姿が収められ、夏本の代名詞である“軟体ボディ”を惜しみなく披露している。


彼女にとって、「ほとんど諦めていたところもあった」という念願の写真集。アイドルグループ「放課後プリンセス」の候補生ユニット「放プリユース」を卒業後、グラビアアイドルとして確かなキャリアを築きながら、なぜ初写真集がこのタイミングになったのか。その背景には、グラビアの仕事を始めたときから貫き通した決意があった。

○■すごい現実主義なんです(笑)

――夏本さんのデビューから振り返らせてください。芸能界入りのきっかけはスカウトだったそうですね。

エステの専門学校に通っていた頃に、大阪の心斎橋OPAの前でスカウトされました。
元々アイドルに憧れがあったのでうれしかったんですけど、学校に通っていたら上京できないじゃないですか。そのことを伝えたら、「待ちます。学校を卒業したら、上京してください」と言ってもらえて。

すぐにでも上京したい気持ちはありましたが、ちゃんと卒業してからのほうがいいなと思ったんです。芸能一本で一生食べていくのは絶対無理やし、手に職をつけてから上京しようと。めっちゃ現実的なんですけど(笑)。


――しっかりとされている(笑)。

すごい現実主義なんです(笑)。「卒業まで待つよ」とは言ってくれてたけど、東京にはかわいい子もいっぱいいるだろうし、「やっぱりもういいです」と言われるんじゃないかなって不安ももちろんありました。でも、そうなったらそうなったで仕方ないと思ったので、​​東京に行くなら、ちゃんと資格をとってから行こうって。

――同世代のアイドルたちの活躍が気になることもあったのでは?

NMB48の結成がちょうど私が高校生の頃で、関西で同世代の人たちがアイドルとして頑張っている姿をテレビで見ていたので、専門学校を卒業して、二十歳になってから上京しても遅いんじゃないかなっていう焦りはもちろんありました。

でも、絶対に学校はちゃんと卒業すると決めていましたし、事務所の方から「卒業するまで待つよ」と言ってもらったことは自分の中ですごく心強かったです。


――自分の中で決めたことをしっかりと全うして、上京されたんですね。当時、ご家族の反応はいかがでしたか? 関西からアイドルになるために上京するとなると、余計に心配されそうだなと。

「アイドルになりたい」とはずっと伝えてなくて、専門学校を卒業してから、半ば家を飛び出す形で上京しました。今は応援してくれてるんですけど、地方にいると芸能界ってより遠い感じがするというか、「スカウトも怪しい話じゃないの?」と思っちゃうし、家族からは「芸能界で成功する人なんて限られるんやから」と言われていました。私自身もそう思ってはいたので、だからこそ、ちゃんと資格をとってから行こうと思ってたんですよね。
○■原動力になった夢の存在

――実際に上京してみて、東京でのアイドル活動はいかがでしたか?

もう、全部が新鮮でした。
有名なテレビ番組に出られるようなお仕事はないんですけど、どんな小さなお仕事でも楽しかったです。地方出身の私からすると、「東京で芸能活動できてるんや!」と思えるだけで、めっちゃうれしかったんですよね。

――夏本さんがアイドル時代に受けられたインタビュー記事を取材前に読んだのですが、本当に充実していたんだろうなと思っていました。

(インタビュー記事をパソコン画面で見て)うわ、めっちゃ若い(笑)! インタビューで何を話していたかは全然覚えてないんですけど、アイドル活動は本当に楽しかったです。私、変わってるかもしれないんですけど、「売れたい」って全く思ってなかったんですよね。ただ1個だけ夢があって、そのために東京で頑張っていたので。


――その夢というと?

SMAPに会う、です。その夢を叶えるためだけに芸能界に入ったところがあって、たとえ売れなくても、SMAPの番組にちょっとでも出られたらいいなって。なので、どうしたら売れるんだろうってことよりも、どうやったらSMAPに会えるかな、中居(正広)くんの番組に出られるんかなってことばっかり考えてました。

――同じ芸能界にいたら、共演のチャンスもありますもんね。しかも、アイドルも楽しかったと。

そうなんです! だから、ずっとめっちゃ幸せでした(笑)。
そういう意味では苦労しなかったですね。アイドルとしての活動は楽しいし、なんで売れないんだろうって落ち込むこともなくて、どうやったら中居くんに会えるんかなってことしか考えてなかったから。

もちろんアイドルをやる限りはCDを出して、1位をとりたいっていう気持ちもあったので、メンバーとどうやったら自分たちがもっといいものを作れるのか話し合っていた日々も青春って感じで、全部が楽しかったです。

写真集発売を「諦めていた」理由とは

○■グラビアアイドル転身後に夢を実現

――そしてアイドル活動を経て、グラビアアイドルに転向されましたが、ここにはどのような経緯があったのですか?

アイドルとして活動しているときに体調を崩してしまって。ステージに穴は開けられないので、グループから卒業することを決めました。そのあと、半年ぐらい休養していたんですけど、まだSMAPに会うという夢も叶えられていないし、芸能活動は続けたいなと考えていたんです。

そのタイミングで、今のマネージャーさんから「グラビアをやってみませんか?」と声をかけてもらって。グラビアアイドルになったら、SMAPとバラエティで共演できるかもしれないと思って、「ぜひお願いします!」とお返事をさせてもらいました。

――SMAPへの思いは本物ですね。ちなみに、グラビアアイドルになって夢は叶いましたか?

叶いました! グラビアアイドルになって3年くらい経ってから、オーディションで『中居くん決めて!』(TBS系)という番組の出演チャンスを勝ち取れました。そのあと、今度は「エステができるグラビアアイドル」ということでオファーを頂いて、「『ぷっ』すま」にも出ることができたんです。ユースケ・サンタマリアさんにエステをさせてもらいました(笑)。

やっとたどり着けた


――上京を先延ばしにして専門学校を卒業したことが、そんな形でも役に立ったんですね(笑)。夢を叶えることができて、芸能活動におけるモチベーションが下がることはなかったんですか?

それこそ、グラビアアイドルになってから出来たもう一つの夢が、写真集を出すことだったんです。

――なるほど! 改めて、1st写真集の発売おめでとうございます。夏本さんのグラビアアイドルとしての活動を考えると、今回が初写真集だということは驚きでした。

ありがとうございます! やっとたどり着けたという感じです。ほとんど諦めていたところもあったので。

――諦めていたというと?

これまでにも何度かお話を頂くことはあったんですけど、自分が「100%やりたい!」と思うような内容ではなくて。写真集を出すときって、どのくらい露出するかが一つポイントになるじゃないですか。グラビアアイドル以外の方でも写真集を出すときは頑張られているところなので、グラビアアイドルがそれを求められることはもちろん理解しています。

でも、私は「自分がやれるところはここまで」という基準を決めてグラビアのお仕事を始めたので、写真集のお話もお断りさせていただいていたんです。だからこそ諦めてた部分があったんですけど、今回、KADOKAWAさんから「夏本さんの作りたい写真集を作りましょう」と声をかけていただいて、本当に信じられないくらいうれしかったです。

念願の1st写真集「限界ギリギリまでやり切りました(笑)!」

○■ポーズや構図を自らも提案

――そうだったんですね。それでも十分セクシーな内容でした(笑)。

自分にできることは全部、限界ギリギリまでやり切りました(笑)! 写真集を出すことは、グラビアアイドルにとって目標の一つで、その夢を叶えさせてもらえる……。私に声をかけてくださった思いに応えたいという気持ちでいっぱいです。

撮影も和気あいあいとした雰囲気でやらせていただいて、私から「こういう構図とかポーズどうですかね?」というふうに提案もさせていただきました。

――夏本さんが提案したのは、どのカットなんですか?

例えば、チョコを胸元にこぼしちゃってるカットとか。実はこれ、自分が食べようと思ってコンビニで買ってたチョコなんです。撮影中に「あのホワイトチョコ使ったら、かわいいんとちゃうかな?」と思いついて、スタッフさんに急きょ溶かしてもらって。食べたくて買ってたチョコなんで、もちろんちゃんと食べました(笑)。

――そこもしっかりと(笑)。

あとは、パンストを脱ぎかけのカットも私がやりたくて提案させてもらいました。線の感じがすごい生々しいというか、すごいお気に入りのカットです。グラビアにはもちろんセクシーさも大事なんですけど、「それだけじゃないよね?」っていうのが私の好みなんですよね。20代のかわいい感じと30代の大人っぽい感じのちょうど間を表現できたんじゃないのかなと思います。

○■本当に幸せな20代でした

――過度な露出を受け入れなくても、こうして自分のやりたいことを詰め込んだ写真集を作れていることは、他のグラビアアイドルの人たちにとっても心強いだろうなと思いました。

激しい露出をするグラビアを否定しているわけではもちろんなくて、やりたくないのに無理にやるっていうのは違うなって。本人が納得して、やりたいからやるっていうのはめっちゃいいと思うんですけど、一つの例として、私みたいに「これ以上はやりません」と決めた上で、写真集も出すことができたことは、今からグラビアを始める方や、どうしようかなって悩んでる方の励みに少しでもなったらうれしいです。

――全てがキラキラと輝いていたアイドル活動、大好きな人との番組共演に加えて、グラビアアイドルとして譲れないことを貫き通して写真集も出すことができた20代。ご自身で改めて振り返ってみて、いかがですか?

京都から東京に出てきて、大好きな中居くんの番組に出るという夢と、グラビアアイドルをやるからには出したいと思っていた写真集も出すという夢。2つも夢を叶えさせてもらった、本当に幸せな20代でした。

正直なところ、芸能界にずっといたいかというと今はまだ分からないんですけど、私のことを応援してくださっているファンの方のことが私は大好きで、すごく大切なので、そのファンの方たちが応援してくれている間は続けさせていただきたい。それと同時に、最近競馬カフェを始めたのですが、他にもエステの仕事も形にしたいし、30代も自分のやりたいことを実現していきたいです。

■プロフィール
夏本あさみ
1993年7月1日生まれ。京都府出身。2015年、アイドルユニット「ハート×ストリングス」のメンバーとして、アイドル活動をスタート。その後、アイドルグループ「放課後プリンセス」の候補生ユニット「放プリユース」を経て、現在はグラビアアイドルとして活躍中。2023年6月30日、1st写真集『ラストシーン』(KADOKAWA)を発売した。