俳優の水谷豊岸部一徳檀れいが出演するBS朝日のスペシャルドラマ『無用庵隠居修行7』が、9月28日(19:00~)に放送されることが7日、明らかになった。

直木賞受賞作家・海老沢泰久原作の短編時代小説「無用庵隠居修行」を、時代劇「だましゑ歌麿」シリーズの水谷豊✕吉川一義監督のコンビでドラマ化した痛快エンタメ時代劇シリーズ第7弾。
今回からは半兵衛(水谷)・奈津(檀)夫婦の同居生活がスタート。仲睦まじいところを披露するが、その一方で用人の勝谷(岸部)にも変化が? そして江戸では火事が頻発、使い番に出世した半兵衛の息子・新太郎(田中偉登)も対応に追われる中、焼け出された町民や貧しい生活に苦しむ農民たちに寄り添う半兵衛にも火事にまつわる奇妙な相談が持ち込まれる。火事の災害の裏で暗躍する巨悪が? いざとなれば巨悪に対して牙を剥く、半兵衛たちの痛快な戦いがドラマをクライマックスへと導く。

出演は、水谷、岸部、檀のほか、半兵衛の悪行退治に力を貸す元御庭番衆・藤兵衛に田山涼成、半兵衛なじみの料亭女将のお咲に中山忍、半兵衛の息子で使い番・日向新太郎に田中偉登、その妻・おふみに松風理咲、奈津の父・松田清四郎に橋爪淳、その妻・郁に市毛良枝、半兵衛の理解者でもある火付盗賊改・長谷川平蔵に榎木孝明、半兵衛を高く評価している老中・松平定信に杉本哲太など、おなじみのレギュラーキャストが今回も集結する。さらにゲストとして大友花恋前田吟河相我聞小川菜摘、山口良一、橋本マナミ金田明夫らが出演。大友はある事情を抱えた町娘・花枝役でドラマに華を添え、前田は半兵衛の“隠居の師匠”幸之助役を、そして河相は新太郎の部下・定火消の平九郎役を、金田は材木問屋の商人・茂蔵役を演じ、それぞれに個性を発揮する。


コメントは以下の通り。

■水谷豊

――「無用庵隠居修行」も7作目となりました。撮影に入られての感想は?

この『無用庵』が始まった頃でしょうか、時代劇がテレビで見られなくなってきた時代に入ってきて寂しかったんです。ですから面白い楽しい時代劇ができないものかと、吉川監督とお話をしていたんですね。その中でこの作品が実現して、今思えば、それがここまで続いたということは面白い時代劇ができているのかなと思います。

――その吉川一義監督と今回もご一緒された感想は?

吉川監督とは『無用庵』が始まる前の『だましゑ歌麿』でもご一緒でしたからお付き合いは長いんです。
ある時、(岸部)一徳兄さんにぜひ次にやる時は吉川監督なので、なんとかスケジュールを空けてご一緒してくれないかと言ったんです。吉川監督に会って欲しいというお話をして。そういう経緯で出て頂くことになったんですが、1作目を終えた時に一徳さんが本当に喜んでくださった。それが吉川監督のすごいところなんですね。僕の思いが伝わって嬉しかったですね。

――今回の撮影で印象に残ったことはありますか?

最近は鏡で見るよりも撮影しながらモニター越しに自分の顔を見た方がカッコいいなと思えてきて(笑)。
いや、7作目にしてそういう余裕が出てきましたね。ただ、これは映像にするスタッフがいかに素晴らしいかということだと思いますね。それが言いたかったんです(笑)。

――今回から半兵衛と奈津が夫婦として生活するようになりましたね。

実は僕、結婚していたことをすっかり忘れていたんですよ。(檀さんに)半兵衛さんひどいですね、と言われたんですが(笑)。
そうですね、僕も檀さんもお互いに落ち着きが出てきたような気がします。

■岸部一徳

――「無用庵」も7作目ですが、時代劇がここまで続くことへの思いは?

面白い時代劇がなにか一つちゃんと残って、それが続いていくということは大事なことだなと思います。もちろん、みなさんが面白いと思っていただいて初めて続けていけることなんですが。ただ、時代劇というジャンルは関係なくドラマという捉え方をすると、『無用庵』にはドラマづくりのものすごく大事なものが満載されているような気がして参加しています。ここの現場に入るといい仕事に出会っているなという実感が常にあるんです。だから、これも続いてくれればいいなと思っています。


――そう思われるのも吉川監督のお力かと思いますが、吉川監督については?

一言で言うと素晴らしい監督ですね。年齢とか、キャリアとか、そういうところを見られがちですけど、吉川監督はどの若い監督よりも勝っていますね。それはカットであったり、時代の中の家族構成の作り方だったり、毎回驚かされます。よくこんな発想が出てくるなと。それぐらい素晴らしい監督だなと実感しています。

――半兵衛と奈津が夫婦として生活される姿をご覧になっていかがでしたか?

半兵衛と奈津さんが仲良くしているところに僕が入っていくんです。
そんなところに入りたくないですよ(笑)。でも、見ていていいシーンだなぁと思いましたね。いや、いいシーンでした。

――水谷さんがおじいさんに扮装されるシーンがありますが、ご覧になってどう思われましたか?

衣装部屋の入り口のところに立っているおじいさんを見たんです。ちょっと水戸黄門みたいな人だな、誰だろうな? と思って。おじいさんが何をしに来ているんだろうと思ったら水谷さんだったので(笑)。遠目に見て、それぐらいわからなかったですね。こんなおじいさん出てたかなって。びっくりしました(笑)。

■檀れい

――7作目の「無用庵」となりました。ご感想は?

毎年、変わらずみんなで集まって撮影出来るというのがうれしいですし、ここまでやってきて大人の方から『楽しいね』という声はいくつも届いていたんですけど、今回まだ小学生の姪っ子が『あの時代劇大好きなんだ』と言ってくれたんです。こんな小さい子もこの作品の面白さをわかってくれる、時代劇を楽しんでくれているんだな、というのをすごく感じて、この作品に出て良かったなと思いました。小さなお子さんから大人世代までが楽しめるドラマなんだと、改めて認識しました。

――今回も吉川監督との撮影でしたが、いかがでしたか?

回を重ねるごとに、本当に素晴らしい監督さんだなという思いが強くなります。メインのストーリーを追うだけではなくて、その世界に生きている人々の生活までもストーリーとともに描かれるんですね。私たち3人がいろいろな話をしているときでも必ず動いているんです。私がお茶碗を洗っているとか、お茶を入れているとか。そうしながらもストーリーを追っていくようなセリフで会話劇が続いていく。それを長回しで撮るので、お芝居をしていてもとても楽しいですし、セリフを言っていない人の表情もテレビの前の皆さんはご覧になることが出来て楽しんでくれるような画作りになっていると思います。吉川監督とご一緒すると、お芝居の面白さをしみじみ感じます。

――今回の撮影で印象に残ったシーンなどはありますか?

『無用庵』では毎回誰かが変装するんですけど、今回は私と半兵衛様とで年の離れた貧しい夫婦をやらせていただいたんです。そのときの半兵衛様のおじいちゃんぶりがすごくて、水谷豊さんだと誰も気づかないぐらい変わりましたよね(笑)。なので、お芝居もちょっとおじいちゃんっぽい表情をされたりして、そのシーンは私も一緒に出ていたんですけどオンエアが楽しみです。

――半兵衛と奈津が夫婦として生活を始められて関係性も変わられたのでは?

今までは私が(半兵衛に)近づくと照れて嫌がっていたんですね。でも今回、半兵衛様が台から落ちそうになったところを私が抱きとめるシーンがあって、もう離しませんと言ったら逆に抱きしめてくれたんです。夫婦になったからこそ、嫌がらずにうれしそうな顔をしてギューッとしてくれましたね(笑)。