●配信作品にやりがい「より多くの人に届くのでは」
「2023年は急激なスピードで世界のいろんな方に知ってもらえた年でした」。俳優・新田真剣佑は海外での反響に確かな手応えを感じている。
『聖闘士星矢 The Beginning』でハリウッド映画初主演を務め、Netflixシリーズ『ONE PIECE』ではロロノア・ゾロ役を演じ、海外でも注目を集める存在に。そして、ドラゴン乗りの英雄・アクタ役を演じたディズニープラス「スター」の『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』も世界配信がスタートした。新田の演技に世界中の人たちから熱い視線が注がれた2023年。俳優業のやりがいをより感じていると新田は語る。

日本発オリジナルファンタジー・アドベンチャー『ワンダーハッチ』は、実写で描く現実世界「横須賀」と、アニメで描くドラゴンが棲む異世界「ウーパナンタ」の2つの世界が舞台。中島は、横須賀に住む空想好きな高校生・ナギ役、奥平は、ウーパナンタからやって来た落ちこぼれのドラゴン乗りの少年・タイム役を務めた。
また、ナギの親友・ソン役をエマニエル由人、タイムが憧れるドラゴン乗りの英雄・アクタ役を新田真剣佑、謎のコンビニ店員・柴田/スペース役を森田剛が演じている。

新田は、実写とアニメで2つの世界を描く今までにない作品に興味を持ったそうで、「2つの世界を同時に生きられるキャラクターという、やったことがない役だったので楽しみだなと思いました」とオファーを受けたときの心境を明かす。

実写とアニメの両方でアクタを演じ、この作品ならではの難しさを感じたという。

「同じ役を演じるわけですが、やはり実写とアニメでは違って、アニメの中で通用することが実写の世界では通用しなかったり、その逆もあったり、そういった難しさがありました。その調整に関しては、監督頼みですね。相談しながら作り上げていきました」

アクタはウーパナンタではヒーロー感があふれているが、現実世界に飛ばされてそこで暮らす人々の荒んだ声に絶望してからは、ヒーロー感は消えて別人のように。
新田は「アクタの変化が大きかったので、そこは演じる際に意識しました」と振り返る。

俳優として本作で学んだことを尋ねると、「ドラゴンの乗り方を覚えました。初挑戦だったので」とお茶目に答えた。

「ドラゴンに乗っているときの剣さばきなど学ばせていただきました。うまく乗るコツは姿勢です。乗馬はけっこうやっていますが、乗馬ともまた違って、ドラゴンはドラゴンの乗り方があります。
またドラゴンに乗る機会があるかわかりませんが、経験としてやっておいてよかったなと思います」

また、本作で改めて声優のすごさを感じたという。

「声で演じるというのは本当に難しくて、毎テイク『ダメだな』と痛感して。OKをもらえたので作品として大丈夫なものになっていると思いますが、改めて声優さんってすごいなと感じました」

○サウジアラビアでも役名で呼ばれ「驚きました」

そして、配信作品に出演する喜びややりがいを尋ねると、「それはもうめちゃくちゃあります」と即答。

「見てくれる人の数が違うし、見たい時に見たい場所で見られるというのがいいですよね。さらに、いろんな国の人が見られるから、より多くの人に届くのではないかなと思っています」

ゾロを演じた『ONE PIECE』で海外での知名度が高まったと感じたという。

「みんなが『ゾロだ!』と言ってくれて。
サウジアラビアに行ったときも呼ばれて、サウジアラビアの人にも知られているんだって驚きました。どこに行っても知られているってすごいですよね。その分、隠れることはできませんが、ありがたいなと感じています」

『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』も昨年12月20日から世界配信がスタート。「『アクタだ!』と呼んでもらえたらうれしいです」と笑顔を見せた。

ハリウッドで「4~50代で主役ができればいいなと」


改めて2023年が自身にとってどんな年になったか尋ねると、「急激なスピードで世界のいろんな方に知ってもらえた年でした」としみじみ。海外の「コミコン」に参加した際に特に反響を感じたという。


「8カ国ぐらい『コミコン』に行ったのですが、そこでも『ゾロだ!』と言ってもらえて、多くの方に知ってもらえているんだなと実感できる年になりましたし、俳優という仕事は本当にやりがいのある仕事だなと改めて思いました。より多くの人たちに知ってもらえるようにこれからも頑張りたいです」

また、「マーベル作品に出演したい」という思いもあるそうで、「『出たい』と言っているので、そのうち絶対に出してくれると信じています」と期待している。

マーベル作品では「準主役」を務めたいと言い、「主役はまだ早いです。主役の器ではないので」と冷静に今の自分を見つめる。

そして、「ハリウッドは大人の世界。日本は10代が主役を張れる世界ですが、アメリカは40代から80代が主役を張れる世界だと思っているので、まだまだこれからいろんなことを学んで、4~50代で主役ができればいいなと思います」と今後の展望を語る新田。


海外で主役を務められるようになるためには、「人間としての深み、経験、場数」が必要だと言い、「それが演技に生きてくると信じています」と目を輝かせた。

最後にファンに向けて「『ワンダーハッチ』は2つの世界が同時に見られるという、なかなかない作品なので、楽しんでいただきたいです。そして、来年、再来年と、さらに皆さんに楽しみにしてもらえるような作品にどんどん出ていきたいと思っているので、頑張ります! 期待していてください」とメッセージを送った。

■新田真剣佑
1996年11月16日生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身。『ちはやふる -上の句-/-下の句-』(16)で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。主な出演作は、映画『ちはやふる-結び-』『パシフィック・リム:アップライジング』(18)、『十二人の死にたい子どもたち』(19)、『カイジ ファイナルゲーム』『サヨナラまでの30分』(20)、『ブレイブ-群青戦記-』(21)、『るろうに剣心 最終章 The Final』(21)、『鋼の錬金術師』シリーズ(22)、『聖闘士星矢 The Beginning』(23)、ドラマ『同期のサクラ』(19)、『イチケイのカラス』(21)、Netflix『ONE PIECE』(23)など。

写真提供:Jonny Marlow, The Walt Disney Company