東京商工リサーチは、2023年度の「エステティック業」倒産状況の調査結果を4月5日に発表した。本調査は、日本産業分類の「エステティック業」(脱毛、痩身(そうしん)、美肌などを含む)の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析したもの。


2023年度のエステティック業の倒産(負債1,000万円以上)は95件(前年度比69.6%増)と前年度の1.7倍に急増。2004年度以降の20年間では、2019年度の76件を超えて最多を記録した。

対面サービスを基本とするエステティック業は、コロナ禍の営業制限や感染リスクの回避で来店客が減少。一方、自宅で施術が可能なセルフェステが注目されたこともあり、コロナ禍の収束後も客足の戻りが鈍いという。これを裏付けるようにエステティック業の「新型コロナウイルス」関連倒産は、2023年度は34件(前年度26件)と増勢が続いている。

倒産状況として、負債額別では、負債1億円未満が83件(構成比87.3%)と9割近くを占めているが、1億円以上も12件(前年度5件)と増加し、中堅規模にも広がっている。
また、「1千万円以上5千万円未満」が79件(構成比83.1%)と8割超を占めた。「10億円以上」と「5億円以上10億円未満」が各2件で、最大の負債総額は約80億円だった。

原因別にみると、最多が「販売不振」で77件(構成比81.0%)と8割を占めた。コロナ禍から客足が戻らず、業績が回復しないまま事業継続を断念したケースが多いという。

形態別は、最多が消滅型の「破産」の91件(構成比95.7%)。一方、再建型の「民事再生法」は3件(前年度6件)にとどまり、3件はすべて個人企業の小規模個人再生手続だった。


資本金別は、零細規模の「個人企業他」が最多の43件(構成比45.2%)。エステティック業倒産の約半数を占めた一方で、資本金1億円以上は1件(前年度ゼロ)で、幅広く発生した。

従業員別は、「5人未満」が84件(同88.4%)、「20人以上50人未満」と「5人以上10人未満」が各3件と続き、5人未満が約9割を占め、エステ業界の身軽な体質を象徴しているという。