子どもの送迎時や家の前を通りかかった時、ママ友の車を見かけることがあるでしょう。そんな時、ママ友が高級車に乗っていたら、「もしかして高収入なのかな」と気になってしまうものです。
たとえば、国産の高級ミニバンとして人気の高い「アルファード」なら、年収がどのくらいあれば乗れるものなのでしょうか。この記事では、アルファードの価格や購入する際の選択肢、そして、アルファードが無理なく買える年収についてご紹介します。

■アルファードとは? 値段はどのくらい?

アルファードとは、2002年に誕生したトヨタを代表するラージサイズミニバンです。高級感のある見た目や広い室内が魅力で、特にワンランク上のミニバンを求めるファミリー層から絶大な人気を集めています。

アルファードは何千万円もする超高級車ではないものの、同じくトヨタの「ヴェルファイア」などとともに高級ミニバンと言われており、高価格帯の車として知られています。

もし、ママ友がアルファードに乗っていたら、「高収入」という文字が頭に浮かぶ人は多いのではないでしょうか。
もしくは、持ち家で子どもが2~3人いるママ友がアルファードに乗っていたら、「家や子どもにもお金がかかるのに、どうやってやりくりしているの? 」と不思議に思ってしまうかもしれません。

では実際、アルファードの値段はどのくらいなのでしょうか。アルファードのグレード別のメーカー小売価格は以下の通りです。

<アルファード グレード別 メーカー小売価格(全て税込み)>

・Executive Lounge

ハイブリッド車 2WD…850万円
ハイブリッド車 E-Four…872万円

・Z

ハイブリッド車 2WD…620万円
ハイブリッド車 E-Four…642万円
ガソリン車 2WD…540万円
ガソリン車 4WD…559万8,000円

新車でアルファードを購入する場合、グレードによって540~872万円かかり、一般的には、気軽に買える金額とは言えません。ただし、中古車の場合、グレードや年式を気にしなければ100万円前後で購入できるアルファードも販売されています。そのため、他の車と比べて特別手に入れにくいわけではないようです。

■アルファードは年収いくらあれば買える?

では、新車でアルファードを購入したい場合、どのくらいの年収があれば無理なく買うことができるのでしょうか。まずは、マイカーローンを組んだ時の月々の返済額から、必要な年収を割り出してみます。

たとえば、「頭金100万円・5年返済・ボーナス返済なし・金利3.8%」という条件でローンを組んで540万円のアルファードを購入する場合、月々の支払額は約8万円となります。また、ローンの一般的な返済比率は、「年収の25~35%以下」ですので、返済比率を年収の25%に抑えるとすると、年収は約380万円必要になります。

ただ、年収380万円を単純に12ヶ月で割ると、月収としては約32万円です。手取りとしてはさらに少なくなることを考えれば、そのうち8万円をマイカーローンの返済に充てるのは現実的ではないかもしれません。


そこで、生活費にプラスして毎月8万円のローンを支払い、さらに可処分所得(実収入から直接税や社会保険料などの非消費支出を差し引いた額)から20%の貯蓄ができる収入を考えてみます。

総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の生活費(消費支出)は約32万円です。これに車のローンを足すと約40万円、可処分所得から20%の貯蓄をするとなると、必要な月収は50万円になります。

つまり、生活を圧迫することなく貯蓄もしながら540万円のアルファードを買うには、年収600万円程度は必要と言えるでしょう。また、一般的に、新車を購入する時の価格の目安は、「年収の半分程度」とされています。540万円のアルファードを買うなら、年収1,080万円は必要ということです。


家計に負担をかけ過ぎず、無理なくアルファードが買える年収としては、比較的手頃なグレードの車両を買う場合でも、「600~1,080万円程度は必要」と考えておくといいでしょう。
■アルファードに乗る方法は他にもある

前項では、一般的なローンを組んでアルファードを購入する場合の年収の目安をご紹介しましたが、マイカーローンの中には一般的なローンのほかにも「残価設定ローン(残価設定型プラン)」というものもあります。これは、あらかじめ将来の下取り価格を設定しておき、車両価格から下取り価格(残価)を差し引いた金額をローンとして支払っていく方法です。

たとえば、車両価格が540万円のアルファードで、5年後の下取り価格(残価)が340万円と試算される場合、車両価格から残価を差し引いた200万円を5年間の分割で支払っていくのです。

5年後に車両を返却すれば、これ以上ローンを支払う必要はなくなりますが、もし、5年後以降も引き続き同じアルファードに乗り続けたい場合は、残価の340万円を支払うことになります。

このように、残価設定ローンを利用すれば、将来の下取り価格が引かれる分、一般的なマイカーローンより支払いを大きく抑えることができます。


また、最近では車のサブスクサービスも普及しています。アルファードを販売するトヨタでは、「KINTO」で車のサブスクプランを提供しており、アルファードには月々約5万円からのプランが用意されているようです(税金や保険、点検などの維持費込み)。

「必ずしも購入にこだわらない」という人は、こうしたサブスクサービスの利用も検討してみると、乗りたい車に乗るための選択肢が増えるでしょう。
■車を買う際は、購入後にかかる費用にも目を向けよう

一般的なマイカーローンを組んで540万円のアルファードを購入する場合、年収は600~1,080万円程度は必要と考えられますが、アルファードに乗るには、中古車の購入や残価設定ローン、サブスクの利用などさまざまな方法があります。ちなみに、アルファードユーザーの4割は、一般的なマイカーローンより負担の少ない残価設定ローンを利用していると言われています。

そのため、ママ友がアルファードに乗っていても、必ずしも高収入とは限らないでしょう。
なお、車は車両を買って終わりではなく、その後は税金や保険料、車検代やガソリン代など多くの維持費がかかります。「自分も憧れの車が欲しい」と思ったら、車両代金のみならず維持費の支払いにも目を向け、慎重に購入を決めましょう。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら