同賞では、演劇界の巨星・菊田一夫氏の名を冠し、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する。
○■第49回菊田一夫演劇賞 菊田一夫特別賞を受賞した前田美波里
故・菊田一夫さんとの関わりも深い前田が、今回菊田一夫特別賞を受賞。「15歳の時『ノー・ストリング』というミュージカルが芸術座でかかることになりました。当時私はクラシックバレエをやろうと東京に出てきておりました。とあるマネージャーが、菊田一夫先生がエッセイで『あと10年するとハーフの人間がミュージカルをやって生きてるだろう』と書かれたのを読んで、私をなんとかして菊田一夫先生に会わせたいと思いまして、東宝の門を叩いたことになります」と振り返る。
「『全て終わってるけれどもオーディションしてみよう』と、当時本当にミュージカルが定着してないので、芸術座のステージに丸を8つを書かれまして、次の丸までの間に自己表現をし、 歌ってもいいし歌ってもいいしセリフを言ってもいいと。私は当時何もできませんでしたので、クラシックバレエの“パ”(ステップ)を1つずつやって、なぜか1位になりました」と芸能生活の始まりを明かす。「最後に『君の名前を言ってくれ』と言われ、『前田美波里です』『ちっちゃいぞ、その声。舞台人になるならもっと大きな声で言え』『はい、すいません。前田美波里です』『芸能人みたいな名前だな』と菊田先生がおっしゃったのを覚えています」と貴重なエピソードを披露した。
前田は「先生が『1年やっても無理。10年やって1年生だと思わなくちゃ舞台はやっていけないよ』と。60年経ちました。
○■受賞一覧
・菊田一夫演劇大賞
ミュージカル『ラグタイム』上演関係者一同
・菊田一夫演劇賞
柿澤勇人(『スクールオブロック』デューイ・フィン役、『オデッサ』青年役)
宮澤エマ(『ラビット・ホール』ベッカ役、『オデッサ』警部役)
三浦宏規(『のだめカンタービレ』千秋真一役、『赤と黒』ジュリアン・ソレル役、『千と千尋の神隠し』ハク役)
ウォーリー木下(『チャーリーとチョコレート工場』『町田くんの世界』の演出)
・菊田一夫特別賞
前田美波里