●子供との思い出のアニメ作品参加に感慨「この仕事をしていてよかった」
近年、女優として存在感を高め、実業家や映像プロデューサーなど、マルチに活躍しているMEGUMI。「40代になって落ち着くどころか逆に加速しています」と自分でもパワフルさに驚いているという。
3Dアニメーション映画『ねこのガーフィールド』(8月16日公開)では、主人公のねこ・ガーフィールドの前に立ちはだかるボスねこ・ジンクス役の日本版声優を務め、力強い声で悪役を熱演。これまで経験した声優の仕事の中で一番難しかったと吐露するも、「難しいほうが燃える」というからたくましい。MEGUMIにアニメ作品や女優業への思い、活動の原動力、そして今後について話を聞いた。

本作は、飼い主のジョンに愛され幸せ太りな毎日を送ってきた家ねこのガーフィールドが、生き別れた父・ヴィックと再会し、悪いねこに追われているというヴィックに力を貸すために外の世界へ飛び出し、冒険を繰り広げる物語。ジンクス役の声を演じたMEGUMIは、ガーフィールドのアニメを息子と見ていたそうで、本作参加に大喜びしている。

「息子が小さい時に毎朝見ていた作品で、私たちの生活のルーティンの中にガーフィールドがあったので、私はご飯作って、子供はガーフィールドを見るという日常がよみがえってきて、とても感慨深いものがあり、感激しましたし、うれしかったです」

昨年公開されたディズニー&ピクサー映画『マイ・エレメント』でも声優を務め、息子から「いい仕事してんじゃん」と言われてうれしかったと舞台挨拶で話していたMEGUMI。本作への反応も楽しみにしているそうで、「今海外に行っているので、帰ってきたら報告したいなと。リアクションに期待しちゃいますね」とほほ笑んだ。

そして、アニメ作品への参加は、息子の存在がとても大きいと語る。

「アニメは息子が大好きで、私と息子の子育て人生の中に色濃く思い出として残っている時間だから、そういう作品に参加させていただけるというのは特別な思いがあります。息子にも自慢できる仕事で誇らしいなと。特にガーフィールドは毎日見ていたものだったので、本当にぐっときますね。
この仕事をしていてよかったと思う瞬間でした」

親子の絆も描かれる本作のストーリーにも親目線で感情移入できたという。

「私も息子がいるので、ある意味弱点というか、息子のことは自分以上に悩むし、感情が揺さぶられるという、親子は本当に特別な関係だなと。この作品はそんな親子の絆が描かれていて、ご家族で楽しめる作品になっていると思います」

ジンクス役を演じる際には特に抑揚を意識して演じたと振り返る。

「ダークな敵役ですが、いろんなことがあってこうなっているというところをちゃんと表現しなきゃいけないと思ったので、ただ怖いだけではなく、チャーミングさも出し、かなり抑揚をつけて演じました。基本ずっと叫んでいるから、酸素がなくなってふらふらに(笑)。この世界に入って一番叫んだ仕事かなと思います。フランス語で歌を歌うシーンもあり、とても難しかったですが、難しいほうが燃えるので気合が入りました」
○さまざまな挑戦を続ける中で武将感がより強く

ジンクスの強さとは違うが、MEGUMIも強くてかっこいい女性というパブリックイメージがある。自分ではどんな性格だと捉えているのだろうか。

「『全部責任取るから!』というようにリーダーシップをとる武将感な部分と、すごく細かいことを気にするくよくよした部分と、 対局なものが共存していて、面倒くさいなと思います(笑)」

さまざまな経験をしていく中で武将感はより強くなっていると語る。

「もともと体育会系なので、できるかわからないことでも『できます!』と言ってしまって。年々、企画のスケール感が大きくなっていますが、やると言ったからにはやらないといけないから、そうやって自分を追い込んで達成し、強くなってきた気がします」

いろいろな挑戦をする中で、「できないことはないんだな」という気持ちにもなってきたという。

「もちろんそのプロセスは超大変だし、くよくよした性格が出てくることもありますが、目標に向かって頑張るぞ! という感じはすごく好きだし、実際に達成していくことで、やればできるんだという気持ちになってきたと思います」

今回のジンクス役も、これまでやってきた声優の仕事の中でも「特別に難しかった」と苦戦するも、だからこそ成長を感じることができたと語る。


「難しいほうが悩むし、いろんなことを試すから、自分にとってはすごくいい時間だなと。それを乗り越えると、また筋肉がつくというか、チャレンジすること自体すごく好きですし、ジンクス役も大変貴重な経験になりました」

出産を機に目指した女優業 多くの作品に出演している現状「幸せ」


MEGUMIはもともと歌手になりたいと思って芸能界に飛び込み、顔を知ってもらうためにグラビアに挑戦しブレイク。トーク力を生かしてバラエティ番組でも人気者に。近年は数々のドラマや映画に出演し、女優の印象が強くなってきているが、2009年に長男を出産した際に、女優業を目指そうと決意したという。

「子供を出産した時、これからは仕事の仕方を変えていかなきゃいけないなと、今後について考えたんです。そして、自分が本当にやりたいことは何だろうと考えた時に、女優としてやっていきたいという答えが出てきたので、当時はバラエティやグラビアがメインでしたが、女優を目指すようになりました」

もともと映画が好きで、その世界に入ってみたいという思いはずっとあったものの、その時に覚悟が決まったと振り返る。

「当時は今よりももっと、テレビに出ている人と映画に出ている人の距離が遠くて、映画に出たいなんて言っちゃいけないと、自分で自分の気持ちにふたをしていましたが、やりたいという気持ちに忠実になろうと腹をくくりました」

女優としてやっていくと覚悟を決めるも「10年ぐらいは女優の仕事はなかった」と言い、さまざまな作品に出演できるようになった今の状況にとても喜びを感じている。

「お芝居のレッスンを受けて勉強していましたが、経験がないので全然仕事がなくて。でも、その時期があったからこそ、今、一緒にやりたい監督とご一緒できたり、好きな俳優さんとご一緒できていることが夢のようですし、やりたいと思っていたことができて、『めっちゃ楽しい!』と思えていることが何よりも幸せだなと思います」
○プロデュース業にやりがい「一生やっていきたいと思うくらい惚れている」

自身の個人事務所やカフェの経営という実業家の顔も持ち、美容本が大ヒットするなど“美のカリスマ”としても注目を集め、映像プロデューサーとして映画やドラマの制作にも取り組んでいるMEGUMI。

現在42歳。年齢を重ねてますますパワフルさが増しているが、MEGUMI自身も「強すぎますよね。40代になって落ち着くどころか逆に加速して、どうしちゃったんだろうと自分でも思っています」と笑う。

「息子が海外に行って子育てがひと段落したというのもありますし、今までコツコツ準備してきたことが世の中の目に留まったのかなと。
女優業もプロデュース業もコツコツやってきたし、美容も10年以上やってきたし、それが一気に皆さんに届き、お話をいただく機会も増えました。一緒にやってきた人が力を持ち、スピードアップしてやりたいことが実現できているというのもあるので、点がつながってきたような感じがしています」

今後については「海外で仕事がしたい」と抱負を述べ、「自分がプロデュースとして作った作品を海外に届けて、映画祭にノミネートされたり、海外の作品に自分が出ていくのか、とにかく海外の方と一緒に仕事がしたいです」と語る。

海外に惹かれている理由を尋ねると、「概念が全然違うんですよね。今、スペインと合作しようと準備していますが、マインドもペースも違って、やりたいことだけが同じという、その中で歩み寄っていく作業がとてもエモーショナルだなと感じています」と答え、さらに、「日本の作品はとても可能性があるけれど、海外に届けようと本気で思っている人がそんなに多くないのでチャンスだなと。日本はスタッフのクオリティも脚本のクオリティも高いので、韓国のように、もっと海外に届けていけるチャンスがあると強く思っています」と目を輝かせた。

また、一生やっていきたいと思うほどプロデュース業のやりがいを感じているという。

「いいなと思った企画をもう1人のプロデューサーに話して、賛同してくれて、そこから仲間がどんどん増えていき、撮影して、それが世の中に届き、『感動しました』『楽しかったです』と言ってくださる方がいるというのは、なんてエモーショナルなんだろうと。いつもは1人で活動しているので、チームで作り上げていくことがすごく楽しいですし、それが世の中に伝わっていくという、この一連は、一生やっていきたいと思うくらい惚れています」

プロデューサーを務めるようになって、どれだけ多くの人が作品に関わっているのか知ることができ、女優として現場に立つ時の意識にも変化があったと明かす。

「裏でいろいろあるというのがわかるようになったので、『何待ち!?』と言わなくなりました(笑)。撮影に至るまでにどれだけみんなが準備しているのか。裏には膨大な人たちがいて、私たちが立たせてもらっているので、背負っている感はとても強くなりました」

「世の中の女性にエールを」“自分のため”から“人のため”に変化


活動の原動力を尋ねると、「すべての仕事に対して『世の中の女性にエールを送る』というのを掲げています。MEGUMIまた新しいことやっているなと思っていただいて、皆さんも新しいことをやってみようと思ってもらえたらいいなと思って活動しています」と回答。


女性のために活動すると掲げたのは40代になってから。

「ニュース番組に出演した時に、日本人女性の自己肯定感が世界最下位だというニュースを見て、『え!?』と思ったのと同時に、理解できるなと思ったんです。女性は声を上げにくかったり、子育てをすると女性に負担になって社会復帰が難しかったり、もちろん男性も大変だというのは理解していますが、自分は女性で母親で、仕事もずっとやってきた身として、女性の皆さんに共鳴しつつエールを送ることを生業にしていこうと思いました」

自分のためではなく人のために頑張るほうがパワーが湧くという。

「それまでは『売れたい』『目立ちたい』という気持ちが強かったですが、自分のためにやるのはもう限界だなと。人に喜んでもらえることが自分の喜びであり、一番の原動力だと、そう感じられるようになってから活動しやすくなりました」

今後もさまざまな活躍を見せてくれそうなMEGUMI。ファンに向けて「私はいろんなことをやっていくことがすごく好きなので、また何かやっているなと面白がっていただけたらと思います」とメッセージを送った。

■MEGUMI
1981年9月25日生まれ、岡山出身。2001年にデビュー。雑誌やテレビ番組のほか、多くのドラマや映画に出演。2020年2月に「第62回ブルーリボン賞」助演女優賞を受賞。近年は美容情報の発信にも力を入れ、“美のカリスマ”として注目を集めている。また、個人事務所や金沢のカフェ「たもん」の経営も行っている。
現在フジテレビ系ドラマ『ビリオン×スクール』に出演中。
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