作品に入る前は毎回緊張「できるかなって不安になる」

数々の作品に出演し、現在放送中のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の語りとしても注目を集めている綾瀬はるか。ドリームワークス・アニメーション最新作『野生の島のロズ』(2月7日公開)では、主人公の最新型アシスト・ロボット、ロズの吹き替え声優を務めた。女優として約24年活動を続ける綾瀬にインタビューし、仕事に対する思いや今後の抱負など話を聞いた。


本作は、野生の島に漂着した最新型アシスト・ロボットのロズが、動物たちと共に生き、島の危機を乗り越えていく物語。ロズは、キツネのチャッカリとオポッサムのピンクシッポの協力のもと、雁(ガン)のひな鳥キラリを育てるうちに心が芽生え、怪物として彼女を拒絶していた動物たちも、次第に島の“家族”として受け入れていく。

綾瀬は、ロズに心が芽生えてからの話し方の変化に言及。

「最初はプログラムされているしゃべり言葉で『~ですか』みたいな感じだったのが、母性みたいなものが出始めてから、人間のようにしゃべり言葉も『~だわ』『~なの?』と敬語ではないオリジナルの話し方になっていく、その過程が難しいなと思いました。声のトーンも前と後では違うなと」

心が芽生えてからのロズは少し落ち着いた声に。

「最初は感情を持ってないロボットなので、低い声というより『~しましょうか!』みたいな明るいイメージで演じていました。でも感情が出てくると、発声ということよりも心で演じるようになって、そこが大きな違いかなと思います」

ロズをはじめ登場するキャラクターたちの変化も見どころの本作。綾瀬に、芸能界で活動を続けてきた中での自身の変化を尋ねると「20年以上やっていて経験は増えるけれど、作品に入る前は毎回緊張するし、できるかなって不安になるし、『成長してるのかな!?』って……」とほほ笑む。

続けて、変わらず大切にしていることを聞くと「演じる役を誰よりも大好きになって、この役に自分が生まれ変わりたい、生まれ変わっているぐらいの気持ちで向き合っています」と回答。

ヒロインを演じ大きな注目を集めたTBS系ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)で、役を愛し、役になりきる大切さを実感したという。

「10代の頃に『世界の中心で、愛をさけぶ』で初めて大きなドラマに出演させていただき、亡くなっていく役を演じたのですが、中途半端に向き合うと絶対にできない役で、自分が役と向き合えば向き合うほど、役と自分が重なり合う瞬間が出てきて、どうせやるんだったら100%全力でやった方が自分も満足できるし、後悔もしないなと思いました」

一番喜びを感じる瞬間は「自分の成長を感じたとき」

そして、作品作りの過程にとてもやりがいを感じていると語る。

「現場で監督から全然OKがもらえないということもありながらやっていくんですけど、自分が役と1つになれたり、想像していた以上のことができたりすると、自分もハッピーだし、監督もハッピーだし、作品作りは楽しいなって。
一個一個の作品がすごく挑戦で、それは毎回変わりません」

また、女優業において一番喜びを感じる瞬間は「自分の成長を感じたとき」とのこと。

「人が一番うれしいときって、自分が成長したときなのかなと。年齢を重ねて経験が増えてきて、さらに違う自分の引き出しってどこにあるんだろうと探したときに、新しいものが引き出されるとうれしいです。大谷(翔平)選手も、自分の成長を感じるときがうれしいとおっしゃっていて、『やっぱそうか!』って思いました(笑)」

『野生の島のロズ』での自身の成長は「まだ感じられていません」と言うも、「チャッカリみたいな役を演じる時に、こういう声を出したら面白そうだなとか、いろいろ課題は見つけたので、未来の成長につながるということですよね」とにっこり。

予告映像で、ロズが「ここが私の居場所」と発するシーンが収められているが、綾瀬にとっては芸能界が居場所に。「必要としてもらえているなと感じられたり、支えてくれている人たちもいて、居場所になっているのかなと思います」と話した。

今後の抱負を尋ねると「まずは健康でいられたら」とした上で、「一つ一つ丁寧に向き合っていけたらいいなと。先のことは全然思い描いてないですが、みんなが『楽しいね!』ってなれるところをいつも目指したいなと、それはすごく思っています」と語っていた。

■綾瀬はるか
3月24日生まれ、広島県出身。2001年に女優デビューし、数々のドラマや映画に出演。2013年、『八重の桜』でNHK大河ドラマ初出演にして初主演を務める。現在放送中の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で語りを担当している。


スタイリング:中澤咲希 ヘア:ASASHI(ota office) メイク:Asami Taguchi(home agency)
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