パナソニック ホールディングスは5月9日、グローバルで10,000人規模の人員削減を発表した。国内で5,000人規模、海外で5,000人規模を想定しており、2025年度に実施される予定。
各国・地域の労働法、規則、規制に則って実施されるという。

今回の発表は、同社が2025年2月4日付で告知した「グループ経営改革」の進捗発表に基づくもの。「グループ経営改革」では社員一人当たりの生産性を高めるべく、“グループ各社で営業部門・間接部門を中心に業務効率の徹底的な見直しを行うとともに、必要な組織・人員数を再設計する”ほか、“収益改善が見通せない赤字事業の終息や拠点統廃合も進める”としていた。今回の人員適正化において、国内グループ各社では早期希望退職プログラムを実施するという。

合わせて、収益改善効果の目標も提示。2026年度に調整後営業利益で6,000億円以上を目指すとする。改革による収益改善の内訳は次の通り。

本社本部 改革 +470億円……「間接機能およびオペレーションの集約・効率化」や「技術テーマの選択と集中」などによる収益改善
家電事業 改革 +330億円……「分散した営業部門および間接部門の集約・効率化」や「グローバル標準コストの拡大」などによる収益改善
事業部門 改革 +420億円……「赤字事業の撤退・終息や拠点統廃合」や「グループ全社での IT 投資の効率化」、「間接機能の集約」などによる収益改善

これらのうち人員適正化による収益改善が計700億円を見込む。加えて、車載電池など先行投資事業における収益改善などにより、2024年度に対しトータルで1,500億円以上の収益改善を目指す。

一方で人員適正化を含む2025年度の業績影響として、構造改革費用1,300億円の損失を見込む。2026年度以降の業績への影響は精査中とする。

○東大教授・松尾豊氏を社外取締役に

パナソニック ホールディングスは、東京大学大学院工学系研究科 教授の松尾豊氏を社外取締役に迎えると発表した。
6月23日開催予定の定時株主総会において決定される。

松尾豊氏は人工知能や深層学習の研究者として知られる。IT系を中心としたスタートアップ企業の育成にも取り組み、2019年以降はソフトバンクグループの社外取締役も務める。

松尾豊氏を社外取締役へ迎えるにあたり、パナソニック ホールディングスは「AIやデータ利活用の視点を持ち、事業経営に対して監督や助言を行うことができるよう、当該分野に関する豊富な知見、経験を活かし、当社グループの経営の監督を適切に行っていただく」とコメントしている。
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