米Googleは5月20日(現地時間)、年次開発者カンファレンス「Google I/O」において、生成AIを活用した新たな検索機能「AI Mode」を米国で一般提供開始すると発表した。

AI Modeは、従来のキーワード検索を中心とした体験から一歩進んだ、「エンドツーエンドのAI検索体験」を提供する検索モードである。
昨年導入された「AIによる概要(AI Overviews)」(検索結果の上部にAIによる要約を表示する機能)の成功とユーザーからのフィードバックを基に開発された。「AIによる概要」は、米国やインドなどの主要市場で10%以上の利用増をもたらすなど、大きな成功を収めているという。

例えば、メジャーリーグ発でプロ野球でも話題になっている「魚雷バット(トルピードバット)」の影響について、使用しているバッターの成績の変化を調べたい場合、従来のWeb検索では、「魚雷バットを使用している選手」「2024年の打率」「2025年の打率」など複数の検索を行い、ユーザー自身が情報を整理する必要があった。

複数の検索や情報整理をAIが代行するAI Modeでは、「現在トルピードバットを使用している注目選手について、今シーズンおよび昨シーズンの打率と出塁率を表示して」と頼むだけで、魚雷バット使用前後の変化を簡潔に把握できる表形式の回答が提示される。

AI Modeの主な特徴は以下の通りである。

高度なAI機能:高度な推論能力やマルチモーダル対応(テキストだけでなく画像なども活用できる)を備え、AIとの対話を通じてフォローアップの質問を重ねながら情報を深掘りできるインタラクティブな検索体験を提供する。
クエリ・ファン-アウト技術:ユーザーの質問をAIが自動的に複数の関連性の高い小さな質問(サブトピック)に分解し、それらを同時に検索する。これにより、従来の検索よりも広範で深い情報や関連性の高いコンテンツを発見しやすくなり、複雑な質問にも対応できる。
最新のAIモデル:Googleで最も高性能なAIモデル「Gemini 2.5」のカスタムバージョンをAI Modeと「AIによる概要」に導入し、高速かつ的確な応答を提供する。

Googleは生成AIの能力を活用し、多彩な機能をAI Modeに順次追加していく予定であり、今後数週間から数カ月かけて、実験的プラットフォーム「Labs」を通じて以下の機能を導入していく予定だ。

Deep Search:AI Modeのクエリ・ファン-アウト技術をさらに強化し、数百もの検索を同時に実行できる。様々な情報を横断的に推論し、専門家レベルの参考文献付きレポートを数分で作成することで、ユーザーのリサーチ時間を大幅に短縮する。


Search Live:スマートフォンのカメラを通じて目の前の対象物に関する質問をリアルタイムでAIと対話しながら検索できる。Google Lensを発展させ、Project Astraのライブ機能を統合している。

エージェント機能:ユーザーの依頼に基づきAIが実際の操作を代行する機能で、Project Marinerの技術を活用。例えば「今週土曜日のジャイアンツ戦の安価なチケットをグラウンド近くで2枚探して」といった依頼に対し、AIが複数のチケット販売サイトを横断的に検索・分析し、リアルタイムの価格や在庫状況を踏まえた最適な選択肢を提示。ユーザーは提示された選択肢から好みのサイトで購入手続きを行うだけで済むため、手間と時間を節約できる。当初の対応領域は、イベントチケット、レストラン予約、地域のサービス予約などで、まずはTicketmaster、StubHub、Resy、Vagaroとの連携から開始する。

AI Modeとショッピング:GeminiモデルとGoogleのShopping Graphを組み合わせ、インスピレーションの提供から比較検討、商品の絞り込みまで、AIがショッピングのパートナーとしてサポートする。ユーザーが自身の画像を1枚アップロードするだけで、アパレル商品をバーチャル試着できる機能も提供する。

パーソナルコンテクスト:過去の検索履歴に基づいてパーソナライズされた提案を行う。さらに、ユーザーがオプトイン形式でGmailなどの他のGoogleアプリとの連携を許可すると、より個人の状況に合わせた情報提供が可能になる。例えば、旅行のフライトやホテルの予約情報があれば、旅行先で滞在期間中に開催されるイベントや、過去のレストラン予約・検索履歴に基づいた飲食店などを提案してくれる。
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