NordVPNは6月10日、日本国内における生体認証技術の利用実態と意識に関する調査レポートを発表した。この調査では、対象となった日本人成年の約31%が生体認証データのサイバー犯罪者による悪用を懸念していることが明らかになった。


このレポートは、18~74歳の日本人成人1,004名を対象に、2024年11月18日~28日に実施した生体認証の利用に関する調査結果に基づく。

生体情報は一度流出してしまうと長期的な悪用リスクがある


調査の結果、回答者の約4割(38%)が週1回以上、生体認証を使用していることが判明した。スマートフォンのロック解除や決済など、日常的な利便性の向上に役立つ生体認証だが、その一方で約3割(31%)の回答者が「サイバー犯罪者による生体データの悪用」に懸念を抱いていることも明らかとなった。

懸念の背景には、生体情報は一度流出すると変更できず、指紋や顔、虹彩などの生体情報が漏洩した場合、なりすましやダークウェブでの売買といった長期的な悪用リスクがあることが挙げられている。

NordVPNのサイバーセキュリティ専門家、アドリアヌス・ワーメンホーフェン氏は「生体情報はパスワードよりも安全とされるが、一度漏洩すれば継続的に悪用されるリスクが高い。SNSなどの画像や音声を利用したディープフェイクによるなりすましも増加している」と指摘する。

同氏は、生体認証使用時にプライバシーを守るための具体的な対策として、生体情報が写る画像のSNS投稿に注意すること、画像や動画の解像度を調整して個人情報を隠すこと、第三者が取得しにくい認証手段を選ぶこと、インターネット上の自分の画像の使用状況を定期的に確認すること、多要素認証(MFA)を利用すること、ハードウェア認証デバイスを併用すること、生体情報の代わりに強力なパスワードを使うこと、新サービスへの生体情報登録は慎重に行うこと──という8点を推奨している。
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