7月に入ると、聞こえてくるのが「今年の夏、帰省どうする?」という声。年末年始より気軽に見える夏の帰省ですが、意外と財布にはズシンと響くものです。
交通費、手土産、地元での飲み会……。家族サービスの名のもとに出費がかさみ、「帰省って、実は贅沢なんじゃ…」と思ったことがある人も多いはず。今回は、大人の帰省に潜むお金のリアルを整理してみましょう。
「帰省費は家計の固定費になりがち」

「毎年のことだから」「親に会いたいし」──そんな思いから、なんとなく続けている夏の帰省。でも改めて計算してみると、なかなかの出費です。

新幹線や飛行機代、家族がいればその人数分の交通費。実家に持参する手土産や、お盆の飲み会、ちょっとしたお礼などを含めれば、合計で数万円~十数万円になることも珍しくありません。

そしてこれが、「今年も帰るから、まあ同じくらいか」と予算なしで決行されがち。つまり、実質的に“見えない固定費”になってしまっているのです。

お金の使い道は自由ですが、帰省=聖域として何も考えずに続けていると、家計への負担がジワジワと積み上がっていきます。一度、立ち止まって考えてみるタイミングかもしれません。
「義務感だけの帰省は、心も財布もすり減る」

帰省は本来、家族や地元とのつながりを感じる大切な時間。
でも、「行かないと怒られる」「行かないと気まずい」といった“義務感ベース”で向かうと、どうしても疲れが先に立ちます。

しかも、お金も時間も体力も使って実家に帰ったのに、親から説教されたり、地元の飲み会で気疲れしたり…。結果、「これ、誰のためだったんだっけ?」とモヤモヤするケースもあります。

もちろん、家族と過ごす時間はかけがえのないもの。でも、気持ちだけで突っ走ると、自分がすり減ってしまいます。必要なのは、“帰省も自分の生活設計の一部”という意識。大人になった今こそ、「帰る・帰らない」だけでなく、「どう帰るか」「どこまでやるか」を決める視点が大切です。
「予算ありきの帰省で、気持ちもラクになる」

帰省の価値を否定するわけではありません。問題は、“無意識にお金を使ってしまう構造”にあります。だからこそ、あらかじめ「帰省にいくら使うか」を決めておくだけで、かなり気持ちはラクになります。たとえば、「手土産は3,000円以内」「交通費は早割・ぷらっとこだま・LCCなどを活用」「地元での飲み会は1回まで」など、ちょっとした“帰省ルール”を決めておくだけでも違います。場合によっては、毎年帰るのではなく“隔年で帰省+旅行を交互にする”などのパターンもアリ。
実家にとっても、自分にとっても、ストレスが減っていい関係が保てることもあります。

帰ることが目的ではなく、気持ちよくつながることが本質。無理なく続けるためには、財布に優しい帰省の設計が重要なのです。
まとめ

帰省は、大人になった今こそ“自分の生活設計に組み込むべきイベント”です。交通費も交際費も、なんとなくで払うのではなく、自分で選んで支払うという感覚を持つこと。大切な人と、気持ちよく会うためには、お金との付き合い方にも少し工夫が必要です。この夏は「帰るかどうか」だけでなく、「どう帰るか」も一度考えてみませんか?

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介


小峰一真(こみねかずま)
所属:マイホームFP株式会社

MILIZE みらいず AIとITと金融工学の力を駆使し、お金の計画・管理・運用まで完結できる次世代の金融ウェブサービスを手掛けている。個人の方向けには、専属FPにオンライン相談・メール相談ができるサービス『TAMARU』や、お金の情報について動画で分かりやすく解説する『MILIZEチャンネル(YouTube)』など、"金融商品を売らない"完全中立的な金融サービスを提供している。 この監修者の記事一覧はこちら
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