公開中の映画『キャンドルスティック』の初日舞台挨拶に、主演を務める俳優の阿部寛、菜々緒、サヘル・ローズ、津田健次郎、YOUNG DAIS、米倉強太監督が登壇した。
阿部寛主演の『キャンドルスティック』の舞台となっているのは、令和初日、2019年の5月7日。
公開初日、新宿バルト 9 スクリーン9で初日舞台挨拶が行われ、阿部、菜々緒、杏子の元夫で数学者の功を演じた津田健次郎のほか、東京近郊で移民、難民の子供たちを育てる施設を守る女性・ファラーを演じたサヘル・ローズ、施設のオーナー吉良を演じたYOUNG DAIS、米倉強太監督が登壇した。
阿部と菜々緒は本作が初共演ということで、お互いの印象について質問されると、まずは阿部が「菜々緒さんとはTBSのスタジオですれ違ったことがありましたが、廊下を歩いている姿を見てすごいオーラだなと思って。いずれ共演してみたいなと思っていたんです。そして今回共演してみて、菜々緒さんと一緒にいると、まわりの空気がきれいになるような。キレのいい喋りと、何も格好つけてないというか、すごく気持ちのいい性格の人だなと思いました」とコメント。
一方の菜々緒は「現場では今までどの作品が大変でしたかとか、割と他愛もない話をさせていただいたかな」と語ると、阿部は「あまり覚えてないな」と苦笑い。それを受けた菜々緒は「取材の時も、お互いに(演技についてなど)話し合われたことがありますかと聞かれたりもするんですけど、阿部さんは『忘れちゃった』ってあっけらかんとしてて。テレビに出られている阿部さんそのまんまという印象です」と述懐。
阿部が初代モデルを務めていた雑誌「MEN'S NON-NO」で、自身もモデルをしていた経験がある米倉監督は、阿部に対して全幅の信頼を寄せている様子。「台湾のシーンで、リンネ役のアリッサ・チアさんがひとことだけ日本語を喋るシーンがあったんですが、中国の方が日本語を話すのはなかなか難しくて。
一方、かつてFXセミナーの著名な講師だった吉良役を務めたYOUNG DAISは、「FXの講師という役なので、めちゃくちゃ専門用語が多くて。セミナーを現実世界で行っている人は自分の著書を売って読んでもらったりと、ビジネスの側面があるので、人を心理的に誘導していくようなセリフの言い回しをすごく意識して、人生で1番というくらいに緊張しました」と明かして会場を笑わせつつも、「そうは見えなかった」というサヘルの言葉に「もしそう見えるんだとしたら俺、がんばったなと思います」と笑ってみせた。
そしてサヘルは、イラン、アメリカ、台湾、日本とオンライン上で海外の役者陣と芝居をするという経験に感銘を受けたという。「いわゆるオンライン上で、相手とコミュニケーションを取るわけですが、あれって相手が見えてない状態で撮影をしていて。それぞれどういったリアクションで、どういった感情でセリフを言ってるか、本当に分からないままだったので本当に難しかった。でも完成した映画を見たら、しっかり自然に、皆が繋がっているように監督が編集をしてくださって。今の時代ってすごいなと思いました。イランの撮影も、監督とイランの人たちがディスカッションしながらやったわけですが、今のイランの映像を撮っていること自体が奇跡。その奇跡を切り取れたのも、この現代の技術があるからこそ。
さらに津田は、冒頭で阿部に水をかけるシーンについて明かす。「あれはお会いした初日で。初日で初めてお会いするのに阿部さんに水をかけるのかと。まだお互いどういう人か分からない中で……僕は本当に、芝居を始めた頃に阿部さんの舞台を拝見していたので、『ああ、阿部さんだな』と思っていたんですけど、水をかけるのか……」と振り返る津田の言葉にドッと沸いた会場内。「水かけるって難しいですよね」と慮った阿部の言葉に、津田も「そうなんですよね。リハもできないし、失敗したら、メイクもやり直し、衣装も乾かしてとなるから30分はかかるなとか、色々考えながら。さすがに緊張しましたね」と述懐。
阿部が本作のオファーを受けた理由のひとつとして、「チャレンジングな企画」だったということがあったというが、そのことを踏まえ、「チャレンジしたいことは?」という質問も。まずは菜々緒が「バックパッカーと、自給自足生活はやってみたい」と回答。「世界中どこでも行ってみたいですし、畑を耕したりもやってみたい。わたし、釣りはできるので、釣った自分の魚を自分でさばいて食べるとか、全部自分でやるというのは夢ですね」と回答。
続く津田は「宇宙に行ってみたいですね」と返答。「行けたら嬉しいですけど、ただ三半規管それほど強くないので。そこも含めて、ロケットじゃない移動の技術が開発されるようになったら行きたいです」と語った。さらにサヘルが「無謀かもしれないですが、この映画のヒット祈願と題して、ここの全員で滝行をしたいです」と提案。それには「ええ!」と戸惑う登壇者たちだったが、そんな中、菜々緒が「わたし1回だけ、滝行をしたことあります!」と明かして会場は大笑い。米倉監督も滝行経験があるというが、ただし乗り気でない登壇者もチラホラいたため、 「今回はやめときますか」と笑うサヘルだった。
また、YOUNG DAISは「俺は出身が北海道なんですけども、北海道の函館から⻘森あたりまで。津軽海峡を泳いで渡りきりたいかな」 と壮大な夢をぶちまけ、最後は阿部の回答を、というところで、「楽屋でいろいろと考えていたんですが……忘れてしまいました。また次回にします」と語り、会場を沸かせた。
そして、この日はもう一問。菜々緒演じる杏子が、映画の中で共感覚を持つ、ということにちなみ、「阿部、菜々緒のふたりが手に入れてみたい特殊能力は?」という質問も。それにはまず阿部が「深海に潜れる身体。
大いに盛り上がるイベントもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた阿部は「僕はこの映画、出させていただいたのは、昔、僕が出ていた雑誌に、監督も出ていたということもあって。新進気鋭の監督だから、何か僕に新しいものをくれるんじゃないかと思って。台本読む前から返事したんですけども、今回現場に行ってみて、確かにいろんな悩みや苦労はありましたが、監督は映画に対してすごく誠実に考えている。しかもカメラマンも役者出身だったから、役者の演技の先を見て撮ってくださったので、こういう方たちと仕事ができてすごく楽しかった。そして今回は合作なんですが、今まで観たことがないような合作ができて新鮮な気持ちになりました。
最後に米倉監督も「この映画は90分と、最近の映画の中では短い方の作品になると思うんですけど、スピード感を大事にして、観てくださる方々がいろんなものに感情移入できるような、想像できる余地をたくさん散りばめて作った映画です。これから見てくださる方も、そういうところを楽しんで観ていただければ」とメッセージを送った。
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【編集部MEMO】
『キャンドルスティック』の原作は、自身もトレーダーである川村徹彦氏の小説『損切り:FXシミュレーション・サクセス・ストーリー』。川村氏は、元ヘッジファンドマネージャーの杉田勝氏とともに、2007年、FXスクール事業を行うWin-invest Japanを創業し、代表取締役社長に就任する。同社設立後、FXセミナーの受講生は約1万人にのぼり、金融業界での多数の成功者を輩出している。