仕事というより「必要とされているところに行くという感じ」

5人の子供を育てる父親でイクメンとして知られるタレント・つるの剛士が、子育てメソッドをまとめた著書『つるのの恩返し』(講談社)を上梓した。つるのにインタビューし、今の活動に対する思いや家族への思いなどを聞いた。

――タレント活動や音楽活動、子育てに関するお仕事など、幅広く活動されていますが、今のお仕事に対する思いをお聞かせください。


俳優と言われることもあれば、タレントと言われることもあれば、昔から仕事を1つに絞ってないんですけど、何を仕事としているのか最近ますますよくわからなくなってきました(笑)。ライブをしたかと思えば、本の告知をしたり、何しているんだろうなと思います。こんな生活を30年続けているので、あまり仕事という感覚はなく、必要とされているところに行くという感じで、その場所がいろいろ変わってきているなと思います。

――自分がこれをやりたいというより、必要とされる場所に行くという感じなのですね。

人のためになることは、結局自分のためにもなるので。人に喜んでもらうとうれしいのと一緒で、その延長という感じでやっています。

――求められたことに応えていたら、道がどんどん開けていったのでしょうか。

そうですね。偶然目の前にやってきたものが楽しくなってやっていたら、今こうなっているというのが多くて、保育の勉強をするなんて思ってなかったし、歌手も全く夢として持ってなかったことなので。皆さんがいろいろ肩書きをつけてくれるのはありがたいですが、僕自身はノーラベルという感じ。何が起こるかわからないという毎日楽しんでいます。

――子育てをきっかけに、短大に通って幼稚園教諭と保育士の資格を取得され、さらに大学に通って認定心理士の資格も取得されましたが、資格を取ろうと思った理由を教えてください。


子育てについて講演させてもらったり、お子さんをお持ちの方から相談を受けたり、そういうことも多くなってきたので、専門的な勉強をしないといけないなと、普通に学びたかっただけです。そこに資格と免許がくっついてきたという感じで、資格取るために勉強したわけではなく、学んだ証です。

――『クイズ! ヘキサゴンII』に出演しおバカタレントとしてブレイクしたつるのさんですが、勉強家なイメージになってきていますね。

皆さんからおバカタレントと言っていただけるのはありがたいし、今でもおバカタレントって言ってほしいんですけどね。その方がハードルが下がるので(笑)。でも、人は変わっていくもので、僕自身も日々成長していると思っています。

――そして5月26日で50歳を迎えられましたが、心境をお聞かせください。

半世紀生かせていただいて、目は老眼になり、声もガラガラになり、年老いている感はありますが、周りの人はこの人こんな感じだよねとわかってくれているので、気が楽です。「僕はこうです!」と主張する必要もなく、ここからより自由になれるのかなと思います 。

――この先どういう風になっていきたいと思い描いていますか?

とにかく楽しみだなと。あまりこうしたいと決めるのではなく、面白いと思うことがきっと現れるので、それを楽しみにしていたいです。

育休取得時に実感した「ありがとう」の言葉の威力

――『つるのの恩返し』では奥様の美紀さんとの素敵な関係についても書かれていますが、改めて奥様に対する思いをお聞かせください。


ようやく子育てが落ち着いてきて、これから夫婦の時間が増えてくると思うので、夫婦的にはこれからが本番という感じがします。美紀ちゃんも子育てが終わったらチャレンジしたいことが出てくるんじゃないかなと思いますが。

――奥様のどんなところに一番惹かれていますか?

僕みたいな人に付き合ってくれていること自体がまずすごいなと思っています。こんなに好きなことができているというのは、美紀ちゃんが土台を作ってくれているからなので、感謝しかないです。これからどうやって恩返ししようかなと考えています。

――「妻に褒められたい」という思いが原動力になっているということも書かれていて、素敵だなと感じました。

付き合い始めた頃からずっとそうですね。何かあったら反応が一番気になりますし、褒められたいという思いがあります。

――最近褒めてもらってうれしかったことは何ですか?

大学を卒業した時に「頑張ったね」と言ってくれてうれしかったです。

――夫婦円満の秘訣も教えてください。

感謝することじゃないですか。それを言葉にするというのが大事なのかなと。


――感謝の思いは結婚した当時からしっかり言葉にされていたのでしょうか。

できてなかったです。育休を取った時に「ありがとう」の言葉の威力をまじまじと感じ、そこからですね。心からの「ありがとう」はすごくうれしいし、言葉にするというのが大切なんだなと、育休を通して思いました。

――育休中にご家族から「ありがとう」と言われた言葉がうれしくて、威力を感じたということでしょうか。

子供たちから「ありがとう」の言葉がなかったから気づいたんです。「パパ朝5時半に起きて弁当作ったんだよ。弁当箱をポンと投げるのではなく、何か一言あるでしょ?」と。そこから子供たちも「ありがとう」と言うようになりましたし、僕も奥さんに対してちゃんと「ありがとう」と言うようになりました。

――奥様とお子さんたちにメッセージをお願いします。

妻には「ありがとう」しかないですね。そして、「これからもよろしくお願いします」という感じです。
夫婦としてはこれからますます楽しみなので、2人で旅行とか行けたらいいなと。子供たちは自分の好きな道に進んでもらえたらと思います。

■つるの剛士
1975年5月26日生まれ、福岡県出身。神奈川県藤沢市在住。1997年『ウルトラマンダイナ』のアスカ隊員役を好演。2008年にはバラエティ番組『クイズ! ヘキサゴンII』でユニット“羞恥心”を結成しブレイク。私生活では2男3女の父親で、芸能界初の男性育休を取得し、ベストファーザー賞を受賞。2022年には短期大学を卒業し、幼稚園教諭二種免許、保育士資格を取得。2025年に大学のこども心理学部を卒業し、認定心理士資格のための単位をすべて取得。非常勤の幼稚園教諭としても働いている。
編集部おすすめ