5人の子供を育てる父親でイクメンとして知られるタレント・つるの剛士が、子育てメソッドをまとめた著書『つるのの恩返し』(講談社)を上梓した。同書で、47歳の時に心の不調「ミッドライフクライシス」(中年の危機)に陥っていたことを明かしたつるのにインタビューし、当時の悩みや、それをどのようにして乗り越えたのか話を聞いた。
――ミッドライフクライシスに陥ったのは、年を取っていくことへの不安からだったのでしょうか。
老いへの不安ではなく、自分の目指している価値観と違うものが出てきてしまったという感じです。例えば、何かに向かっている時、ポジティブでいこうと思ったら、ネガティブな部分は潜在意識の中に抑圧していたんですけど、それが火山のマグマみたいに噴出してきてしまって。ネガティブなんかあり得るかと、なかなか受け入れられなかったんです。
――その葛藤と、どういう風に向き合ったのか教えてください。
抑圧していた自我が出てきているだけなので、それを受け止めてあげるというか、ありのままの自分をちゃんと認めてあげることが大事なのかなと。「今まで前向きすぎたんじゃない? ネガティブな面だってあるんだから、そういう自分を好きでいてあげたらいいじゃん」と思えたのがよかったと思います。奥さんがずっと話を聞いてくれたというのも大きかったです。
――思い悩んでいる時に、自分を変えようと思ってダイエットに挑戦されたそうですね。
自分でトレーニングを始めたら、みるみる変わっていったので、自分の力で自分なんていつでも変えられると思えたこともすごく安心感につながりました。
――3カ月で15キロ減量され、筋肉ムキムキの体に。
面白くなってハマってしまいました(笑)。
体脂肪も24~25%から5%に。
――どれぐらいの頻度で筋トレを?
ハマっていた時は週5くらいやっていました。
――15キロ減量された体を今もキープされていますか?
当時63キロまでいって、今は68~70キロをキープしています。ダイエット中は炭水化物を抜いていましたが、今はラーメンも食べるし、ビールも飲むし、普通の生活に。でも、こういう風にしたら痩せられるというのがわかったので、太ることが怖くなくなりましたし、自分は変われるということが自信になりました。
――ありのままの自分を受け入れるように意識したり、自分自身に自信を持てたりしたことで、ミッドライフクライシスを乗り越えられたと。
そうですね。自分をバージョンアップするいい機会だったと思うし、人はいつまでも「ガンガン行くぜ!」みたいな感じではいられないんだなと。そういうことも感じ取れて、より深く広くいろんなことを見られるようになったので、すごくいい機会をもらったなと思っています。同世代の人に話したら、「実は僕もそうです」と話してくれる人がけっこういて、みんな通る道なんだなと思い、こういうことがあるというのを知れたのもよかったです。
――これから先、また精神的に悩むことがあっても、乗り越えられそうですか?
そうですね。そんなことがないといいですけど、きっとまた来ると思うので。
人生はずっと修行ですから。そうなったらまた、その時の自分を受け入れてあげたいと思います。
■つるの剛士
1975年5月26日生まれ、福岡県出身。神奈川県藤沢市在住。1997年『ウルトラマンダイナ』のアスカ隊員役を好演。2008年にはバラエティ番組『クイズ! ヘキサゴンII』でユニット“羞恥心”を結成しブレイク。私生活では2男3女の父親で、芸能界初の男性育休を取得し、ベストファーザー賞を受賞。2022年には短期大学を卒業し、幼稚園教諭二種免許、保育士資格を取得。2025年に大学のこども心理学部を卒業し、認定心理士資格のための単位をすべて取得。非常勤の幼稚園教諭としても働いている。
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