『ラヴィット!』5年目「楽しみながら仕事ができるように」
TBSの田村真子アナウンサーが、自身初のエッセイ『陽がのぼるほうへ』(太田出版)を27日に発売する。『クイック・ジャパン』での連載をベースに、番組や仕事だけでなく私生活や内面までを綴った一冊だ。入社7年、バラエティ番組『ラヴィット!』のMCとして5年目を迎えた田村アナは、執筆を通じて過去を振り返り、これまでの葛藤や変化を改めて見つめ直したという。――エッセイ出版のオファーを受けたときの心境からお聞かせください。
もともと『クイック・ジャパン』さんで連載を書かせていただいていましたが、今回は番組や仕事面だけでなく、私生活や個人的な部分も書いてほしいと言われて……。連載はネットで無料で読めますが、本はお金を出して手に取っていただくものじゃないですか。満足していただける内容にできるのか、自分の文章がお金を払うに値するのか、プレッシャーを感じました。
――執筆中、特に大変だったことは何でしょうか?
「面白い」と思ってもらえる文章や、読み進めやすい文章とはどういうものかを考える作業ですね。あと、毎回締め切りを決めてもらっていたんですが、どうやら私はギリギリにならないと筆が進まないタイプで……(笑)。締め切り前日に一気に書き上げることが多く、ハラハラしながら進めていました。
――今回の本に込めた思いや、届けたいメッセージはありますか?
自分自身や頭の中を素直に出した文章です。仕事中は明るく振る舞っていますが、誰しも葛藤や悩みを抱えているはず。同世代や社会人になりたての方に「自分だけじゃないんだ」と思ってもらえたらうれしいです。
――同作の執筆では、ご自身について見つめ直すことが多かったと思います。
執筆期間中、友人に「私はどんな人に見えていた?」と尋ねたりもしました。職場では悩みがなさそうに見えると言われますが、実際はよく考え込むタイプなんです。日常生活のちょっとした出来事に対しても考えますし、仕事が終わって帰宅してから内省したり、オンエア中に考えてしまうこともあります。この本を読んでいただけたら、めっちゃ考えて自分のことを分析していることがわかっていただけると思います!
――帯コメントは『ラヴィット!』でともにMCを務める川島明さんが担当されています。どう受け止められましたか?
「開き直ったときの田村さんはただただおもしろい」とコメントをいただきましたが、正直少し恥ずかしかったです。開き直ったつもりはないんですけど(笑)、皆さんとご一緒している時のスタジオ外の私を見たうえでのコメントなのかなって。(帯コメントの)真意を聞きたい気もするんですけど、文章のニュアンスがあるので聞くのも無粋かなと思い……。機会があれば、何年後かに聞きたいです。
――『ラヴィット!』MCは今年で5年目になります。これまでを振り返ってみていかがですか?
番組初期は進行に必死で余裕がありませんでした。徐々に慣れてきたと思ったらオープニングが長くなり、ゲームも増えて再び大変な時期がきましたが、それにも慣れてきて楽しみながら仕事ができるようになりました。ただ、ゲームが多かった時期は毎日ビリビリ椅子をかけてやっていたので、高頻度だと本当に嫌になってきて……。
――そんなに嫌だったんですね(笑)。そういった新たな経験も含め、番組を通じてご自身の新しい一面を見つけることはありましたか?
『ラヴィット!』では、芸人さんと一緒にわちゃわちゃしていられるので、私って根本的にそういう人間なんだなって気づきました。もちろん、アナウンサーとして『ラヴィット!』に入っているからには、私がしっかりして番組が安定していると思ってもらう。そういったバランス感覚で仕事をしていますが、根本的にはそっち(芸人)よりの人間なんだなって。芸人さんほど面白くはないですけどね。それに、エッセイの執筆で過去を振り返って思い出しましたが、学生時代は、よく芸人さんのモノマネやったり、教室の後ろではんにゃ.さんのズクダンズンブングンゲームをやっていたなって(笑)。
駆け抜けてきた20代「30歳になったらもう少し長い目で…」
――お話を聞いていて感じましたが、アナウンサーとしての大きな転機はやはり『ラヴィット!』ですか?そうですね。エッセイを出させていただく最初のきっかけとなったのも「ラヴィット!日誌」ですし。もちろん「成長したな」っていうポイントは『ラヴィット!』より前のお仕事でもありますが、やっぱりガラッと自分の方向性が変わったタイミングは『ラヴィット!』です。アナウンサー生活の半分以上MCを務めていることもあり、とても大きい存在です。
――『ラヴィット!』含め、さまざまなご活躍により2024年には「好きな女性アナウンサーランキング」1位に選出されていましたね。
『ラヴィット!』のスタッフさんはもちろん、会社ですれ違う方みんなが喜んでくださって、人生でこんなに「おめでとう」って言われることあるのかなってくらい。1位をいただけたことはもちろんうれしかったですが、やることは変わりません。でも、皆さんが喜んでいる姿が何よりうれしくて、そのスタッフさんたちといいものを作っていきたい。『ラヴィット!』じゃない他の番組も同じく、自覚を持ってTBSの中で頑張らないといけないって思い始めました。『次は2連覇だね!』ってお声をいただくこともあるので、周りの方が喜んでくださるなら、期待に応えたい気持ちは増しました。
――今後、挑戦したいことは?
『ラヴィット!』はTBSになかった特殊な番組なので、それを経験した私にしかできない何かをやりたいと漠然と思っています。何にどう活かせるかやってみないとわかりませんが、こんなにいろいろな経験をしてきているアナウンサーTBSにはいないんじゃないかなって思うので、活かして仕事していきたいです。
――最後に、20代の振り返りと、まもなく迎える30代をどのように過ごしたいかを教えてください。
あっという間でした。特にこの2、3年は早くて、マラソンの後半3分の1を永遠に走っているみたいな感覚です。20代はちょっとくらい大変でも「頑張っておいたほうがいいな」って思いがあったので、駆け抜けてきました。
■田村真子
1996年2月3日生まれ、三重県出身。上智大学文学部新聞学科を卒業後、2018年にTBSテレビへ入社。『はやドキ!』『ひるおび』などの情報・報道番組を経て、2021年3月より情報バラエティ番組『ラヴィット!』のMCに就任。2024年には「好きな女性アナウンサーランキング」で1位を獲得し、幅広い層から支持を集めている。