俳優の竹野内豊が主演を務める映画『雪風 YUKIKAZE』(公開中)の初日舞台挨拶が実施され、竹野内ら主要キャストとスタッフが登壇した。

今から、80年前、平和な海が戦場だった時代、数々の激戦を最前線で戦い抜いた駆逐艦「雪風」は、僚艦が大破炎上していく中、絶えず不死身ともいえる戦いぶりを見せ、主力である甲型駆逐艦38隻のうち、ほぼ無傷で終戦を迎えたのは「雪風」ただ一艦のみだった。
作品のタイトルは、この「雪風」からとられている。「雪風」は、常に戦場に留まると、沈没する僚艦から海に投げ出された仲間たちを救い、ともに帰還させた。作品は、その知られざる史実を背景に、太平洋戦争の渦中から戦後、さらに現代へと繋がる激動の時代を懸命に生き抜いた人々の姿を描き出す。

8月15日に全国の358館で劇場公開となった本作の初日舞台挨拶がTOHO シネマズ 六本木ヒルズで実施され、キャストの竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、當真あみ、田中麗奈、中井貴一と、脚本家の長谷川康夫氏、山田敏久監督が登壇した。

竹野内は「皆さんの記憶から少しずつ薄れてきてしまうこのタイミングでこのような作品に携われたこと、光栄に思っております」と、玉木は「ただ悲しいだけではない、未来につなぐ作品だと思っています」 と、奥平は「今日8月15日という日に映画公開ができることを嬉しく思います」とそれぞれ挨拶。竹野内は役どころについて聞かれると「私が印象に残っているのは、今まで何気なく使っていた"助け船"という言葉の本当の意味を考えたことです。助け舟が本当の意味で必要とされるこの時代にこの作品が送り出されることは必然だったので はないかと思います」と答えた。共演したエピソードを聞かれると玉木は「奥平くんは泳ぎが苦手ということで。でもすごく頑張ってました」 と撮影中の秘話を明かした。竹野内から「水面に潜るシーンがあるんですけど、何度テイクを重ねても弱音を吐かず、根性あるなと思って」と称賛されると、奥平は「ありがとうございます! 水が怖いので気合を入れて挑戦して良かったと思います」と恐縮。また、竹野内は玉木との共演シーンで「たぶん役者同士にしか分からない、すごくいい空気が流れていた気がするんです。玉木さんのお陰で素晴らしいシーンができたと思います」と心情を吐露すると、玉木も「きっと僕たちの間にしか流れていないその空気感は僕も感じることができて。
すごくリアリティを感じながら演じられたと思います」と返し、艦長と先任伍長がお互いに信頼を寄せる姿をそのまま投影できたと自信をのぞかせた。

一言ずつ登壇者から挨拶する場面では、長谷川氏は「あんな時代があったということをどうか忘れないで。そして、次の世代にも伝えてもらいたいなと、そんな思いがこの映画に少しだけ詰まっています」と、山田監督は「先人たちの想いをどう伝えていくのか考えていく一助になれば幸いです。大切な人と一緒に観ていただきたいと思います」とメッセージを贈った。中井は「結構いい映画になっていると思います。過去からバトンを渡されると良く言いますが、実は未来からもバトンを渡されているんだと。今がそういう時だと思います。世界がいつか平和になるまで皆で努力したいなと思います」と、竹野内が「たくさんの方と初日を迎えられて嬉しく思っております。この80年という節目。たった 80 年ではありますけれども、人々の記憶の中から戦争という現実味が薄れていく中で、『雪風 YUKIKAZE』が世に送り出される。この映画にはたくさんのメッセージが詰まっていると思います。当時の人々の心情を体感していただくことによって多くの方の記憶に刻まれていくと思います」と最後に挨拶し、初日舞台挨拶を締めくくった。


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【編集部MEMO】
山田敏久監督は、『空母いぶき』と『山本五十六』のほか、映画評論家・水野晴郎氏がマイク・ミズノ名義で監督した超名作『シベリア超特急』で助監督を務めていた。長編映画の監督は本作が初となる。また、スーパーバイザーとして、『ローレライ』『戦国自衛隊1549』『亡国のイージス』などの作品で知られる福井晴敏氏が名を連ねている。
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