家を建てるときや引っ越し先を選ぶとき、つい「収納は多ければ多いほど便利!」と思ってしまいませんか? でも、片づけのプロの視点から見ると、実は収納の多さ=片づく家ではないのです。
むしろ収納が多すぎるからこそ「片付かない」と悩む人も!
この記事では片付きやすい「収納」の考え方と、収納計画の立て方をご紹介いたします。
○1.収納が多い家の落とし穴
家が狭かったり、収納が少なかったりするわけではなく、むしろたっぷりと収納があるお家なのに「片付かない」と悩む人は少なくありません。
そういうお家の共通点は収納が多いが故に「とりあえず置いておこう」というモノの溜め込み癖がついてしまっていることです。
収納場所があることで「手放す」ことに意識が向きにくくなり、結果的にモノを溜め込み、家が片付かないことに悩んでしまう。そんな悪循環に陥ってしまっているお家も少なくありません。
実は収納は「多さ重視」ではなく、「必要な場所に、必要な分だけ」あるほうが定期的なお片づけ習慣の維持には好都合なのです。
○2.大切なのは「どの部屋に、どんな収納が必要か」
収納はあればあるほどいいというわけではない。
では、どこに、どれくらいの収納があれば暮らしやすい家になるのでしょうか? それにはまず、自分がその部屋をどんな目的で使いたいのかを明確にする必要があります。
例えばリビングと個人の私室では、保管するモノが違うので欲しい収納システムも変わってきますよね。リビングならば書類やリモコン、文房具のように細かい道具が多いので棚や引き出しのような収納が欲しいですし、私室ならば洋服を管理するのにクローゼットが必要です。
でも、もしも衣類はファミリークローゼットで一括管理するということであれば、個室のクローゼットはなくても良いかもしれません。このように「この部屋をどのようなテーマ、目的で使いたいか」を先に決めるとその部屋で必要な「モノ」が見えてきます。そして「モノ」が決まるとそれに合う収納が見えてくる。
この順番が片付けの鉄則です。
逆に「なんとなく空いている場所」をとりあえず収納空間にしたり、「とにかく収納があればいい」と無計画に沢山の収納を作ったりすると何を入れたら良いのか悩んだ末に「なんでも突っ込んでしまうブラックボックス」化してしまうことがあります。
ただモノを溜め込むだけの収納を作るくらいならば、収納を無くして居住スペースを増やしたほうが毎日の生活はずっと心地よく豊かになります。
収納計画を立てる際にはまず「自分はこのエリアで何をしたいのか」を明確にすることが大切です。
○3.長期的なライフプランを考えて収納計画を立てる
収納プランを考える時にもう一つ考えて欲しい軸があります。それは自分たちの未来の姿です。
家は10年、20年、30年と暮らし続ける場所です。その間に子どもは成長し、家族構成や生活スタイルは変化していきます。ですから、収納や部屋の使い方は「今だけ」ではなく、「将来」も考えた計画が必要です。
例として、一般的な住宅に多い「リビング続きの和室」と「子ども部屋」の活用法で考えてみましょう。
子どもが小さいうちは個室を使わないため、リビング隣の和室を子どもの遊び場や着替えスペースとして使います。子ども部屋は空いている状態なので一時的に洗濯物干し部屋や、大人のワークスペースとして活用することができます。
子どもが成長して個室を使うようになったら、キッズスペースとして使っていた和室を洗濯物干しやアイロンがけの部屋に役割変更。子どもが独立した後は、その部屋を大人の趣味部屋やゲストルームに再活用。
例えばこのようなお部屋の役割変更について考えた時、和室の収納は大容量な押入れ収納の形にこだわる必要はないかもしれません。押入れは奥行きが深く、布団以外の「モノ」の出し入れがしにくいと感じることがあるからです。
あえて和室に収納は作らずに空間を広く取っておき、おもちゃや洗濯関係のモノを収納しやすい棚をライフステージに合わせて購入、設置した方がよいかもしれません。
子ども部屋の収納については洋服を収納したりモノの収納に変更したりできるようハンガー掛けと棚板両方が設置できるタイプのクローゼットにしておくと便利です。
こうして部屋の役割をライフステージごとに変えていくことは心地いい家を保つために大切なことです。そして、そのステージごとのモノに対応できるような収納を考えておくと長く快適な空間作りができるようになります。
○5.まとめ
収納は多ければ良い、というわけではありません。大切なのは、使う場所に必要な分だけの収納を設けること、そして家族の成長に合わせて部屋と収納の使い方を変えることです。
家の空間は、ライフステージとともに変化します。その変化に合わせて収納の配置や量を見直すことで、長く住んでも快適な家を保つことができます。
あなたの家も、いま一度「収納の量」ではなく「収納の場所と役割」に目を向けてみませんか? 片づけやすく、心地よい暮らしが手に入ります。
Fujinao(フジナオ) 「片づけが苦手…でも変わりたい」そんな女性の味方。整理収納アドバイザーとして延べ400軒以上をサポートし、「片づけは心の整理から」を提唱。元・汚部屋出身だからこそ寄り添える実践的アドバイスが好評。著書『片づけの力』(KADOKAWA)では、心と空間を整えるヒントを紹介。講座や訪問、オンライン配信を通じ、多忙な女性が自分らしく暮らせる環境づくりを応援している。 【Instagram:@fujinao08140814】 https://www.instagram.com/fujinao08140814/ この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ