フォスター電機(フォステクスカンパニー)は、漆仕上げを採用し、独自のバイオダイナドライバーを搭載した、プレミアム・ヘッドホン「TH910」「TH919」を発表した。ともに2025年9月上旬の発売を予定しており、市場想定売価は「TH910」が32万円前後、「TH919」は38万円前後を予定している。
2012年の発売以来、TH900シリーズはフォステクスのフラッグシップモデルとして展開してきたが、この度発表された「TH910」と「TH919」は、TH900シリーズの魅力を引き継ぎながらドライバーやハウジングから構造まで全面的に一新し次世代へと進化している。
独自開発の50mmバイオダイナドライバーは、新開発のエッジにより振幅の安定性を向上することで、低域を余分に膨らませることなくタイトで引き締まった表現を可能としており、さらには不要共振を抑制することで余計な付帯音による濁りを解消し自然で滑らかな中音域を実現。量感と深みを保ちながらタイトな低域と透明度が高く見通しの良い中域から艶やかな高域まで、音楽の情報を余すことない高密度でクリアかつ滑らかな音質を提供するという。
ハウジングのベースプレートやハンガーなどの機構部品にはマグネシウム合金を採用し、アルミ比で20%軽量化するだけでなく、回転機構部にゴム製パッキンを使用し余分な振動を極力排除。各部品の細部まで配慮する設計思想で改善を図り、使用感を一層向上させている。
ハウジングは、ハードメイプルの無垢材を使用し、日本の伝統工芸を工業製品に活かす創業1900年(明治33年)の坂本乙造商店が独自に開発した漆工芸で仕上げている。黒漆を基層とし、硫黄でいぶした色銀箔をちぎり絵の様に貼りこんだ「箔地文様」は、格調高い奥行き感を表現。硬質で比重が高いハードメイプルは漆仕上げの硬い塗膜と相まって音に不要な色付けをせず、しっかりとした深みのある低音域からクリアで伸びのある高音域を楽しめる。オープン型の「TH919」は 、ハウジング開口部に組子細工の幾何学模様をモチーフにした艶消しアルマイトで仕上げたアルミ材を採用、レーザーカットによるメッシュ加工の2層構造とし、開口率と各内部パーツを綿密に調整することで、オープン型に相応しい解像度が高く聴き疲れしにくい自然な音場を再現するという。
新形状のイヤーパッドは顔に当たる面を傾斜させた形状で装着感を最適化。内部の低反発ウレタンは2層構造となっており、顔の形状にフィットするよう柔らかいタイプを表側、高弾力タイプを内側に配置したことに加え、従来比3倍に耐久性を高めたシルクプロテイン製合皮の採用により、長時間にわたるリスニングでも快適な掛け心地で使用できる。ヘッドパッドとヘッドバンドには天然素材のシープスキンを採用、しなやかで良好なフィット感で使い込むほどに変化する風合いを味わえる。
また、不純物を極限まで排除し伝送能力を高めた7N(99.99999%)グレードの高純度OFC(Oxygen Free Copper:無酸素銅)ケーブルを内部配線材と付属のアンバランス・ケーブルに採用。さらには4.4.mmバランスケーブルを同時発売予定(ET-TH4.4BL2Y)としている。
主な仕様は以下の通り。
型式:TH910=密閉ダイナミック型、TH919=オープンダイナミック型
ドライバー:Φ50mmネオジムマグネット/バイオダイナ振動板
インピーダンス:25Ω
感度:TTH910=100dB/mW(暫定)、TH919=96dB/mW(暫定)
最大入力:1,800mW
再生周波数帯域:12.5~45,000Hz
本体質量:約385g(ケーブル含まず)
ケーブル: Φ3.5mm(2極)ミニプラグ×2(L,R))⇔ Φ6.3mm金メッキステレオプラグ/高純度OFC2m×1
本体のほか、前述のアンバランス・ケーブルとレザー調ポーチなどが付属する。