ダイハツが新たな歩行領域モビリティ「e-SNEAKER」(eスニーカー)を発売した。電動車いす的な使い方が可能な4輪の車両で、価格は41.8万円。
eスニーカーってどんな乗り物?
eスニーカーは電気で(ゆっくり)走る乗り物。いわゆる「シニアカー」だ。ハンドル右側の持ち手部分(アクセルグリップ)をひねれば前進する。最高速度は6km/hで、基本は歩道を走る。フル充電での走行距離は12km。乗るのに運転免許は不要で、買うのに駐車場を確保する必要もない。
かなりの都市部でもない限り、日本で生活するうえで移動手段としての自動車は不可欠、とまでは言えないかもしれないが、クルマがないとスーパーマーケットにも行けない、自転車に乗れないとコンビニエンスストアに行くのも厳しいという人は、けっこういるはずだ。そんな中で、地域によっては人手不足などにより公共交通機関が減ってきている。eスニーカーのように近距離移動をサポートするモビリティの必要性は、ますます高まりそうだ。
ダイハツは軽自動車・小型車が中心の自動車メーカーであり、顧客には「エントリー層」も多い。
シニアカーの市場環境は?
eスニーカー発売の社会的意義は納得できた。ただ、ダイハツもビジネスでeスニーカーを売るわけなので、事業性も気になる。この手の乗り物の市場はどうなっているのだろうか?
北野さんによれば、「シニアカー」の市場規模は介護保険法が始まった2000年がピークで年間3万台ほどだった。その後はピークアウトして、最近はWHILLの参入により若干の盛り返しがあったものの、コロナ禍で相殺された部分もあり、年間3万台のレベルには戻っていないという。25年前に比べれば高齢化率が上がっているのに、シニアカーの販売台数が増えていないのは、考えてみればおかしな話だ。
eスニーカーを担当するダイハツの鐘堂信吾さんは、シニアカー分野について「まだまだ裾野を広げていかなければならない領域です。『最小単位を極める』を掲げるダイハツとして、この分野への参入は使命だったのですが、数はまだまだ少ない市場です」とする。北野さんは「今は『社会的意義』の側面の方が軸としては強いのですが、市場を作っていけば採算性も出てくると思います」との見方を示した。