年末が近づくと、多くの方が楽しみにしているのが「冬のボーナス」です。まとまった金額が入ると、普段は我慢している買い物をしたり、旅行に行ったりとつい消費に回したくなるものです。
しかし一方で、将来の安心を作る資金として活用できる貴重なタイミングでもあります。特に20~30代は「時間」という最大の武器を持っています。早く始めるほど投資効果が大きくなるため、ボーナスをきっかけに資産形成に踏み出す人とそうでない人の差は、将来大きな違いにつながります。今回のコラムでは、冬のボーナス前に押さえておきたい積立・投資の始め方を、具体的な視点から解説します。
ボーナスを「使う」「貯める」「増やす」に仕分ける

まず意識すべきは、ボーナスを全額“使い切らない”ことです。消費はもちろん必要ですが、家計管理の観点からは次の3つに分けるのがおすすめです。

使う:自分や家族へのご褒美。旅行、外食、欲しかったアイテム購入など
貯める:生活防衛資金(最低3~6か月分の生活費)を補強するための預金
増やす:将来に向けた投資資金。つみたてNISAやiDeCoなどの長期運用に回す

例えばボーナスが50万円なら、「使う15万円」「貯める15万円」「増やす20万円」といった配分も現実的です。消費と資産形成をバランスさせることで、今と未来の両方を満たすお金の使い方が可能になります。
積立投資の王道は「NISA」

20~30代の資産形成において、国が用意している制度を活用するのは欠かせません。特に2024年から始まった新NISAは、年間最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)が非課税で運用できる強力な制度です。
通常、投資信託の利益には20.315%の税金がかかりますが、この非課税メリットにより、長期的なリターンに大きな差が出ます。さらに非課税期間も「無期限」に拡大されたことで、若いうちから始めるほど恩恵を享受しやすい仕組みになっています。

投資先としては、世界株式インデックスや先進国株式インデックスといった、分散性の高い低コストファンドが有力な選択肢です。
ボーナス一括投資より「分散投資」を意識

ボーナスを活用する際も、一度に全額を投資するのではなく、毎月の積立額に上乗せしていく形が効果的です。例えば20万円をボーナスから捻出する場合、「10か月間、月2万円ずつ積立額に追加する」といった方法をとれば、ドルコスト平均法の効果を維持しながら値動きリスクを平準化できます。

一度に大金を投資すると、その後の相場下落で「買った直後に資産が目減りした」と感じやすく、心理的に挫折する原因になりがちです。その点、ドルコスト平均法は一定額を継続的に積み立てることで購入価格を平準化し、リスクを抑える効果があります。ボーナスを分割して積立額に充てるのは、この仕組みをうまく活かした賢い方法といえるでしょう。
iDeCoとの併用で老後資金も万全に

さらに長期目線で考えるなら、個人型確定拠出年金(iDeCo)の利用も検討に値します。掛金は全額所得控除の対象となり、節税効果が高いのが魅力です。20代や30代のうちに始めれば、老後資金を計画的に準備でき、税制メリットを長期で享受できます。ボーナスの一部をiDeCoの拠出資金として確保するのも有効です。

まとめ

冬のボーナスは、単なる消費資金ではなく「資産形成のスタートダッシュ」を切る絶好のチャンスです。「使う」「貯める」「増やす」を意識し、つみたてNISAやiDeCoを上手に活用すれば、20~30代のうちから未来の安心を確実に作れます。今年のボーナスは「楽しみながら増やす」方向にシフトしてみてはいかがでしょうか。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介


小峰一真(こみねかずま)
所属:マイホームFP株式会社

MILIZE みらいず AIとITと金融工学の力を駆使し、お金の計画・管理・運用まで完結できる次世代の金融ウェブサービスを手掛けている。個人の方向けには、専属FPにオンライン相談・メール相談ができるサービス『TAMARU』や、お金の情報について動画で分かりやすく解説する『MILIZEチャンネル(YouTube)』など、"金融商品を売らない"完全中立的な金融サービスを提供している。 この監修者の記事一覧はこちら
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