第一三共ヘルスケアは10月31日、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野と共同で実施している健康関連データ解析研究の成果を、9月10~13日にブラジル・サンパウロで開催された国際頭痛学会議および10月29~31日に静岡県で開催された日本公衆衛生学会総会にて発表したことを明らかにした。

○研究の概要

同社は東北大学と2024年11月に共同研究契約を締結し、大規模生活者調査「JACSIS/JASTIS研究」の調査データを活用した研究を進めている。
同研究では睡眠、口腔ヘルス、疾病予防行動、生活習慣病などの健康指標に着目し、喫煙や労働生産性などとの関連性について研究を進めているという。

今回の発表では、JACSIS/JASTIS研究の大規模調査データを用いて、分布確認、仮説検定、ロジスティック回帰などの手法で解析を実施した。

国際頭痛学会議では頭痛と喫煙の関連性について報告され、日本公衆衛生学会総会では睡眠休養感と労働生産性の関連性について解析結果が示された。また、過去の文献を収集し、テキストマイニングの手法を用いて解析したところ、歯周病による労働生産性への影響が十分に検討されていない現状を確認したとのことだ。
○研究の背景

近年、従業員の健康状態が企業の労働生産性に与える影響への関心が高まっており、頭痛や睡眠といった身近な健康課題が職場のパフォーマンスにおよぼす影響の解明が求められている。今回の研究は、こうした課題の実態を科学的に明らかにし、効果的な健康経営戦略の構築につなげることを目的のひとつとしている。

同社はこの研究を通じて、専門家の知見とAIなどの最新技術を組み合わせた「正しい健康情報の見極めと発信」が可能となる次世代型の健康情報プラットフォームの構築を目指すとしている。今後は、AI解析や身体への負担が少ないセンサー技術、スマートフォンやウェアラブル端末などのデジタル技術を活用した研究展開も視野に入れ、検討を進める方針だ。
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