かつて豊かさとは、「多くを所有すること」でした。大きな家を持ち、自家用車を持ち、別荘を持つ――。
そうした価値観は長い間、成功や豊かさの象徴とされてきました。

しかし、現在その考え方が大きく変わり始めています。

自動車はカーシェアへ、音楽や映像はサブスクリプションへ、オフィスはシェアオフィスへと変化しています。人々は「所有すること」そのものよりも、「必要な時に、必要な価値を使えること」を重視するようになってきています。

そして、この変化は、リゾート不動産にも確実に広がっています。
○「所有」から「最適利用」へ変わる価値観

従来の別荘は、一人あるいは一家族で一棟を所有する形態が一般的でした。しかし現実には、別荘を利用する日数は年間数十日にとどまるケースも少なくありません。

その一方で、維持管理には固定資産税、修繕費、管理費など多くのコストが発生します。利用しない期間でも負担は続きます。さらに建物や設備は年々古くなっていきます。「本当にそこまでの所有が必要なのか」という合理的な視点から見直す人が増えてきています。

これは単なる節約志向ではありません。
“必要以上に持たず、必要な価値を効率よく利用する”という考え方の変化が根底にあります。

実際、カーシェアやサブスクサービスが急速に広がった背景にも「所有しなくても価値を享受できる」という価値観の変化があります。リゾート不動産もまた。同じ流れの中にあると言えるでしょう。
○タイムシェア別荘が時代と合致する理由

こうした時代の変化の中で、タイムシェア別荘は非常に合理的な仕組みとして注目されています。

タイムシェア別荘は、複数の所有者で不動産を共有し、それぞれが必要な日数だけ利用する形態です。これは単に「安く別荘を持つ仕組み」ではありません。本質は、“利用価値を最大化する仕組み”にあります。

従来の別荘では、一年間の大半が未使用となることも珍しくありませんでしたが、タイムシェア別荘は、複数の所有者が利用日を分け合うことで建物の稼働率を高めることができます。

また、維持コストも分散されます。高級別荘を一人で維持する場合、建物管理・修繕や庭木の手入れなど大きな負担が発生しますが、タイムシェアではそれらも共有化できます。日常的な清掃やリネン交換など別荘では自分でやらなければならないことも、タイムシェア別荘では管理会社に任せることにより滞在そのものに集中することができます。


さらに近年では、運営会社による管理体制や予約システムも進化しており、「自分が使いたいときに使えない」というタイムシェア別荘のデメリットも改善されてきています。

つまりタイムシェア別荘は、「所有を縮小する考え方」ではなく、「価値利用を最適化する考え方」と言えるでしょう。これは、前述の価値観の変化と非常に相性が良い考え方です。
○軽井沢が“未来型リゾート”になりやすい理由

こうした変化の中で、軽井沢という場所は特別な価値を持っています。

軽井沢は新幹線で東京から約1時間という距離にあり、単なる観光地ではなく「都市生活の延長線上にあるリゾート」として機能しています。近年は、リモートワークやワーケーションの普及により、「都市と自然を行き来する生活」が現実的になっています。軽井沢では、平日は仕事をしながら滞在し、週末は家族や友人と過ごすといったライフスタイルも珍しくなくなってきています。

また、利用者の目的も多様化しており、三世代での滞在、企業研修、オフサイトミーティング、複数家族での利用など、従来の一家族だけで利用する形態とは異なる使われ方が増えています。こうした多様化した利用形態は、「必要な時に必要な分だけ使う」というタイムシェアの考え方と極めて親和性が高いものです。

さらに軽井沢は、歴史やブランド力、供給制限による希少性も持ち合わせています。単なる“シェア型宿泊施設”ではなく、「資産性の高い共有型リゾート」として成立しやすい土壌があるのです。
○まとめ:「所有」の価値そのものが変わり始めている

別荘を“一人で所有する時代”から“必要な分だけ最適に共有する時代”へ。
リゾート不動産は今、「所有」から「共有」へという大きな変化の中にあり、タイムシェア別荘は、その象徴的な存在となっています。

それは単なる不動産商品ではなく「都市生活と自然」「所有と共有」「資産と体験」を再設計する新しいライフスタイルの提案でもあります。“別荘を持つ”という概念そのものが、今、静かに変わり始めています。

軽井沢で始まったこの変化は、今後全国のリゾート地にも広がっていくかもしれません。

小野博康 おのひろやす 1988年上智大学卒業後、住友銀行に入行。中野、西銀座、新橋、青山、渋谷と都内を中心に営業の最前線で法人顧客を担当し、特に不動産関連の融資で実績を上げる。2006年、法人営業部次長の時に転職し、不動産企業の役員として総務・経理から営業、M&Aの窓口まで経営全般に携わった。2010年には、日本初の「タイムシェア別荘」を企画し、一棟目の開発を担当。 2019年に株式会社アセンドホームへ入社し、2020年に代表取締役社長に就任。 同年、日本初の「複数棟所有型タイムシェア別荘」である『旧軽愛宕Club Orbit』を開発。2023年にはその第2弾となる『Club Orbit PILINA』を販売開始。いずれも軽井沢の自然と調和した高付加価値リゾートとして注目を集めている。
タイムシェア別荘の先駆者として、進化するリゾート市場の潮流を捉え、不動産の新たな価値創出に取り組んでいる。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、2級FP技能士、空き家対策士 この著者の記事一覧はこちら
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