ヤマハ発動機販売が、ヤマハバイクのオーナーやファンへの感謝を込めて開催する交流イベント「My Yamaha Motorcycle Day 2026」が10月24日、滋賀県・三井アウトレットパーク滋賀竜王にて開催された。

約2,650人が集うバイクの祭典

「My Yamaha Motorcycle Day」は、2018年にスタートして以来、コロナ禍の休止を挟みつつ、今年で7回目の開催。
入場は無料で、ヤマハに限らず、他メーカーのファンも含めて、誰でも参加できるバイクの祭典となっている。会場にはヤマハの現行モデルが多数展示されたほか、実際にまたがることもできるタッチ&トライコーナーも設けられ、多くのファンが集まった。

前述のタッチ&トライのほか、ヤマハや関連メーカーによる多数のブース出展に加え、ステージでのトークショーなども行われ、あいにくの雨模様となった会場に訪れた約2,650人の来場者を楽しませた。

また、XSRが誕生10周年を迎えたこともあり、ステージでは「XSR開発トークショー」が実施された。午前は現行の開発者によるトーク、午後は「エピソード0」と題し、誕生当初の開発者たちによる興味深いトークが繰り広げられた。

XSR開発の「エピソード0」とは?

「XSR開発トークショー(エピソード0)」には、ヤマハ発動機 モビリティ開発本部 モーターサイクル車両開発ユニット ユニット長の山本佳明氏、ヤマハ発動機 カスタマーエクスペリエンス事業部 企画戦略部 ボルトオンアクセサリープランニングSSLの西村慎一郎氏、そして、GKダイナミックス 上席執行役員の清水芳朗氏の3名が登壇。リーマンショック後の市場低迷や環境規制、電動化への流れにより、ヤマハにおいても開発の縮小や中止が相次ぐ中、開発が継続していたMT-09やMT-07をベースに「何を作ったらよいか?」と模索したことが、XSR開発の発火点になったと当時を振り返る。

最初に開発された「XSR700」では、当初は製造が難しいとされたアルミ製タンクカバーを採用するなど、さまざまな挑戦が行われた。それに刺激を受けて、「XSR900」でもアルミ製タンクカバーが採用される流れになったと山本氏は振り返る。その一方で、MT-09をベースとする「XSR900」では、特徴的なダイキャストフレームをクラシカルにまとめ直すことが大きな課題となっていたが、隠すのではなく、生かす方向へと発想を転換。丸いヘッドライトやメーター、穴あけ加工などを組み合わせることで、過去のモデルを直接模倣するのではなく、結果としてRZやSRX、XTなどの歴代ヤマハ車を連想させるネオクラシックな世界観が作り上げられることとなった。

また、走行性能についても、「XSR900」は「MT-09」と基本的な車体構成を共有しつつ、サスペンションやライディングポジションなどを変更することで、「ネイキッドの王道」と呼べる乗り味を追求。
落ち着いた外観に対して、刺激的なエンジン特性や軽快な車体など、見た目を裏切るギャップを「騙し討ち」と表現し、「XSR」ならではの魅力として語られた。

そうして完成した初代の「XSR900」だが、第2世代では、ヒットした初代をそのまま進化させるのではなく、大きく方向性を転換。新しいプラットフォームの性能向上を踏まえ、「クラシック」という枠だけにとらわれず、ヤマハのレーシングDNAを前面に押し出す方向へと舵を切った。欧州で根強いヤマハのレーシングイメージをあらためて認識したことから、レーサーレプリカ世代のモチーフを取り入れることになったという。なお、第2世代ではプロジェクトリーダーではなかったこともあり、「変えてしまうんだ……」と一抹の寂しさを感じたという山本氏だが、一方で、さらに新しい「XSR900」が生まれるチャンスでもあると考え、今では「変えてよかった」と振り返る。

登壇者がそろって強調したのは、過去のモデルの外見を単純にコピーするのではなく、「なぜそのモデルが生まれたのか」という原点や物語を理解することの重要性。XSやSRも現在ではクラシックなモデルとして見られがちだが、その原点は速さや競技性能を追求したモデルであり、そうした根本の思想を現代の製品へどう受け継ぐかが「XSR」の考え方となっているという。
○ヤマハ発動機販売 松岡社長のメッセージ

「雨が降るとわかっていたので、どうなることかとヒヤヒヤしていた」と苦笑いを浮かべるヤマハ発動機販売 代表取締役社長の松岡大司氏。そんな悪天候の中でも多くのファンが集まったことに「ご家族連れも含めて、たくさんの方に来ていただいたことは、ヤマハとしては非常に嬉しい」と感謝を示すとともに、「やはり、こういったお客様に私たちは支えられている」ことをあらためて感じたという。

ヤマハの活動について、「これからバイクに乗る、まだバイクに乗っていないお客様向けの活動と、もうすでにバイクに乗られている方向けの活動の大きく2つに分けている」という松岡社長。

前者に対しては、「やはりバイクをもっと身近に、楽しく、面白い乗り物として認識いただけるような活動」に特化したイベントを開催する一方で、後者に対しては「My Yamaha Motorcycle Day」をはじめとする、もっといろいろな楽しみ方があることを伝えるファンイベントを開催するなど、それぞれの層に応じたイベント展開を心がけているという。イベント開催が販売に直結するかという問題については「そこはやはり甘くない」としながらも、バイクを身近で、楽しく、安全なものとして感じてもらうための取り組みを通じて、「中長期でしっかりと販売に結びつけていきたい」との考えを明かした。


また、10周年を迎えた「XSR」について、「スタイリングの普遍的なカッコよさはもちろん、オンロードだけではなく、オフロードでのキャンプなどのイメージを含め、様々なライフスタイルにあわせられる懐の深いオートバイ」と表現。自身の愛車も「XSR900」ということで、「私もちょっとうれしい」と笑顔を見せつつ、「もっと多くのお客様に知っていただき、買って、乗って、楽しんでいただきたい」と、あらためて「XSR」を強くアピールした。
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