敵地で異彩を放つオオタニ。そのパフォーマンスに大きな話題を呼んでいる。

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 大谷翔平(ドジャース)に浴びせられた割れんばかりのブーイングは、ともすれば、彼のスター性を示してもいた。

 現地時間4月26日から始まった敵地トロントでのブルージェイズ3連戦で、大谷に向かっては地元ファンからの野次が飛んだ。試合前の選手紹介から続いたそれは、ドジャースの背番号17が打席に入るたびに続いた。

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 ブルージェイズ・ファンが大谷を野次る理由は至ってシンプルだ。

 昨年12月に大谷がドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)という大型契約を結ぶ直前、米記者がSNSに「大谷がトロント行きの飛行機に搭乗した」という情報を発信。これを目にしたブルージェイズを愛する人々の胸を高鳴らせた。

しかし、ほどなくして当該ニュースは誤報であると判明。ドジャースとの巨額契約が発表され、二刀流スターに「裏切られた」と心象を悪くしたファンは少なくない。

 無論、ブーイングをしている人々の表情には笑顔も見られ、面白半分に野次を飛ばすファンも目立った。そうした状況は、彼の認知度の高さを如実に物語った。誰もが知るメガスターだからこそ、「憎き相手」となったのだ。

 地元紙のコラムニストであるロージー・ディマンノ記者は、今回の大谷に対するブーイングを「まさに求婚者から拒絶された人々による予想された恨み節だった」と指摘。

「ブルージェイズファンたちはオオタニに嫉妬をし、その深みにハマっているのだ」とし、そこから垣間見える大谷のスター性を論じている。

「オオタニは野球の次元において完璧なパフォーマーであり、エキゾチックな存在であり、日本のアイコンであり、間違いなく北米でも今最も有名なアスリートである。彼はこの週末に、プロポーズを断られたブルージェイズ・ファンからブーイングを浴びることになったが、ホームランを打った際には観客は静まり返るどころか、熱狂的に沸き上がっていた」

 もっとも、大谷は観衆の野次を意に介さず、出色の活躍を続けた。「ブーイングされるかは結果的な話なので。これだけ多くの人に入ってもらって、自分のチームが好きだからこそ相手のチームの選手にブーイングすると思う。そういう熱量はドジャースファンでもブルージェイズファンでも野球好きなんだなと逆にリスペクトに感じるところ」と語る表情は、どこかブーイングをされる状況を楽しんでいるようにも見えた。

 そして、大谷はしびれるシチュエーションで真価を発揮した。初戦に特大のホームランを放った大谷は、続く第2戦ではブルージェイズ先発マウンドに立った菊池雄星から今季のMLBで最速となる119.2マイル(約191.8キロ)の適時打を記録。目に見える「結果」でもって、ブルージェイズファンに“応えた”。

 おそらく今後も大谷は敵地で目の敵にされる可能性は小さくないが、そのたびに圧倒的なパフォーマンスを見せつける姿を期待せずにはいられない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]