ポイント枠の拡大は、F1への注目度を高める意味でも面白いアイデアと言えそうだ(C)Getty images

 F1世界選手権で新たなポイントシステムの採用が検討されている。ただし、4月に行われた全10チームなどで構成されるF1委員会では決定に至らず、次回以降に先送りされた。

29日までに欧州のメディアが伝えた。

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 現行ルールでは1位から10位までが入賞でポイントは「25-18-15-12-10-8-6-4-2-1点」となっているが、入賞を12位までに広げ、8位以下を「5―4―3―2―1点」に変更する案が議論されている。

 変更案が持ち上がった経緯は明快だ。レッドブル、メルセデス、フェラーリ、マクラーレン、アストマーティンの製造者部門上位5チームに対し、角田裕毅が所属するRBなど下位の5チームとの間でパフォーマンス差に大きな開きがあり、下位5チームにもポイント争いができるように入賞枠を拡大させたい狙いがあるという。

 10位までが入賞となったのは2010年から。世界選手権が誕生した当初は1~5位が入賞でで、優勝者には8点が与えられていた。

その後は時代によって入賞対象が6位、8位に変わり、2009年時点で優勝者は10点を得ていた。

 そのため歴代の日本人ドライバーでも入賞未経験者が見られ、ティレルなどに在籍した高木虎之介は最高位7位、アロウズでフルシーズンを戦った井上隆智穂も最高位が8位ながら当時のルールに基づいて入賞とはならなかった。このほかシングルフィニッシュを果たすも入賞とはならなかった選手に高原敬武(1976年日本GP・9位)、高橋国光(1977年日本GP・9位)がいる。

 『ロイター通信』によると、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「現時点でF1には2つのグループが存在する。6位から10位のチームが5強と競り合うのは難しい」と現状を説明。ハースの小松礼雄代表は「現在、ノーポイントは3チーム。

この競技にとっては良いことではないと思う」と入賞枠の拡大案を支持している。

 決定が先送りとなった理由についてポイントシステム変更による影響を分析する時間が必要なためとしている。F1は出場台数が20台に限られており、安易に入賞枠を拡大することでポイントを得るありがたみ、価値が薄れることにつながるとの指摘もある。

 米国系のNASCARやインディカーは出場者にはポイントが与えられる仕組みになっており、ルマン24時間レースを主軸に置く世界耐久選手権でもかつて各クラス11位以降のマシンにも一律で最低限の点数が与えられていた。

 スポーツ性、エンターテインメント性の観点からも拙速に結論を出すより慎重に議論を進めるべきだとの判断に至ったとみられている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]