中盤で試合をコントロールした藤田。ポジショニングとパスの精度は抜群だった(C)Getty Images

 カタールで開催中のU-23アジアカップ(パリ五輪アジア最終予選を兼ねる)は4月29日、準決勝が行われ、日本代表はイラク代表を2-0で下し、8大会連続でのオリンピック出場を決めた。

準決勝のもう1試合では、ウズベキスタンがインドネシアに2-0で勝利しており、決勝のカードは日本対ウズベキスタンに決定。また、3位決定戦でイラクとインドネシアが残り1枚の出場権を懸けて戦う。

【動画】細谷真大が2戦連発!藤田の絶妙パスから生まれたエースの会心先制弾の映像

 グループステージからベスト8まで、苦しい試合展開が続いてきた日本だったが、この試合ではそれぞれが存分にポテンシャルを発揮、難敵イラクを相手に試合を支配し続けた。

 序盤からMF藤田譲瑠チマのパスを起点に何度もシュートチャンスを作っていた日本に28分、この日最初のゴールが生まれる。藤田からの浮き球のパスを相手ゴール前で受けたFW細谷真大のシュートで日本が先制。2戦連発となった細谷のこの得点は、絶妙なタイミングでディフェンスラインから飛び出しや、ディフェンダーをかわした前を向く動きなど、ストライカーとしてのテクニックが発揮された鮮やかなフィニッシュとなった。

 さらに42分、敵陣左サイドでDF大畑歩夢が身体を張りボールをキープし、そこから中央に繋ぐと、これを藤田がワンタッチでMF荒木遼太郎へラストパス。荒木はキーパーの脇を狙うシュートで冷静にゴールに流し込み、日本が2点目をあげた。

 後半は攻めながらも追加点を決められず、また、イラクの攻撃では74分にFWブルンド・アザドのシュートがバーに当たるなど、日本にとってヒヤリとする場面もあったものの、最後までゴールを割らせず2-0ままタイムアップ。完勝でパリ五輪への切符を掴んだ。

 開催国カタールメディアもこの試合の日本の戦いを絶賛している。国内紙『GULF TIMES』は大一番となったイラク戦、大岩剛監督に率いられた若きサムライの勝利を「日本の今大会で最高の内容」と評した。

 また、「2016年のアジア王者である日本が28分にホソヤのゴールで先制し、その14分後にはアラキのゴールでリードを広げた」と得点シーンを振り返っており、「フジタが中心となり日本は圧倒的なパフォーマンスを披露した」と効果的なパスを供給した背番号8のプレーを高く評価。その上で、「日本の高いクオリティのパスや選手の動きにイラクは対処できなかった」と綴っている。

 負けられない重圧の中、本来の実力を示し五輪切符獲得という目標を達成した日本代表。そして、4大会ぶりの頂点というもう一つの目標を成し遂げるべく、5月3日に行われるウズベキスタンとのファイナルにも、強い覚悟で臨む。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]