大谷の給与を不正に利用した水原容疑者。彼が送金したカネもまたギャンブルに消えていた。

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 球界のみならず、お茶の間も騒然とさせたニュースは、いまだに尾を引いている。大谷翔平(ドジャース)の元専属通訳だった水原一平容疑者が違法賭博に関与し、同選手の口座から不正送金を行っていたとされている問題だ。

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 ここにきて衝撃的な事実も明らかになった。米スポーツ専門局『ESPN』のティシャ・トンプソン記者が、水原容疑者がブックメーカーに送金していた資金がカリフォルニアとラスベガスのカジノに転送され、現金化されていたとすっぱ抜いたのである。

 事態は想像以上に深刻だ。この問題は「ギャンブル依存症だった」という水原容疑者が、2018年から専属通訳を務めていた大谷の給与口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上の大金を盗用。

本人や関係者たちがあずかり知らないところで、違法賭博の胴元であるマシュー・ボウヤー氏に送金していたというもの。そもそもからして、問題は根深い。

 そうした状況下で新たに判明したのは、水原容疑者が送金したカネの行方だ。トンプソン記者によれば、ボウヤー氏と妻ニコルさんらからなるグループは資金をリゾートカジノでチップに変換。そこでの賭けに勝った際に現金化していたという。

 ボウヤー氏は「ラスベガスで“クジラ”として知られており、カジノフロアで何百万ドルも失うことを恐れない高額ギャンブラーだった」と伝えたトンプソン記者は、「彼は毎回25万ドル(約3900万円)から100万ドル(約1億5700万円)を持ってくるという風評があった」とも伝えている。

つまり大谷の口座から不正に送金されたカネで胴元たちは豪遊していたというわけだ。

 すでに大谷の潔白は証明されてはいる。だが、次々と明るみになる問題の詳報に海外メディアも驚きを隠せない。スペイン紙『Marca』はボウヤー氏と水原容疑者の一連のやり取りと、カジノで現金化していた実態を伝えたうえで「ギャンブル依存症の危険性と、要人に近い人間による不正な搾取の問題を浮き彫りにした」と断言。「これはいかなるプロのアスリートでも直面しうる危険だ。財務上の監視と詐欺からの保護があらためて重要になっている」と強調した。

 また、英紙『Daily Mail』は「ミズハラが『スターが助けてくれた』と隠蔽しようとしたオオタニのカネもカリフォルニアとラスベガスでギャンブルに消えていた」と指摘。水原容疑者が陥っていた違法賭博がいかに根深い問題なのかを訴えた。

 去る4月12日にロサンゼルス市内の地裁に出廷した水原氏。マイケル・フリードマン弁護士を通じて、「大谷氏、ドジャース、メジャーリーグ、そして彼の家族に謝罪したいと望んでいる」とされたが、彼の謝罪が関係者たちに受け入れられる日は来るのだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]