昨年12月にはタパレスを圧倒した井上。その勝利を目にしていた海外の識者からも称賛が相次いでいる。

(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 ボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)と、元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)が激突する東京ドーム決戦が、いよいよ明日に迫った。

【動画】戦慄の45秒間 世界を震撼させた井上尚弥の圧倒的KOシーンをチェック

 最大収容人数5万人の東京ドームでボクシングの世界戦が実施されるのは、1990年2月11日にマイク・タイソンとジェームス・ダグラス(ともに米国)がヘビー級王座戦を繰り広げて以来の出来事だ。5日に実施される前日計量で、バンタム級時代に体重超過の過ちを犯しているネリが無事にクリアさえすれば、日本ボクシング界の歴史を塗り替えると言っても過言ではないビッグマッチがついに実現する。

 ここまでの大興行は歴史的に見ても稀有だ。ゆえに海外メディアや識者からの注目も高いのだが、大半の関係者は井上の勝利を予測する。ボクシング大国フィリピンの敏腕トレーナーであるティン・アリオサ氏も“怪物”の勝利を断言する。

 国内で「シュガー」の異名を持つアリオサ氏は、昨年12月に井上とタイトルマッチを繰り広げたマーロン・タパレス(フィリピン)を指導したほか、同国の“悪童”ジョン・リエル・カシメロのトレーナーも務めていた経験があり、数多の激闘を目撃してきた。

 そんな敏腕トレーナーはフィリピンの日刊紙『Daily Tribune』で「イノウエはボクシングの技術、ホームアドバンテージから来る精神的な快適さやサポートなどありとあらゆる面でネリよりも有利だ」と分析。「ナオヤは序盤から相手を痛めつけ、ダメージを与え、最後まで主導権を握るだろう」と論じている。

 一方でネリに対しても「非常にタフで、スタミナと持久力はある」と評価するアリオサ氏だが、「最初から最後まで全力で戦い、全てのラウンドで極限状態を維持しないといけない」と指摘。そして、やはり井上の図抜けた才覚を評している。

「中途半端な技術や実力では、誰もナオヤ・イノウエには勝てない。

ネリは、最初から最後まで自分のボクシングのすべてを出し切らなければ、到底、勝ち目はないだろう。現実を考えれば、ハッキリ言って、KOでのイノウエの勝利を支持せざるを得ない」

 KO決着を示唆するネリは「勝ち目はない」とまで言われた中で、どう怪物と対峙するのか。その出だしは、興味深く見守りたいところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]