レッドブルのホーナー代表も「V10」エンジンの復活を支持したという(C)Getty Images

 F1で今では懐かしい「V10」エンジンの復活論が湧き起こっている。国際自動車連盟のモハメド・ベン・スレイエム会長が2月中旬にロンドンで行ったF1チームの合同車両お披露目イベント後に自身のSNSで「F1は将来のモータースポーツの技術的トレンドで先んじなければいけない。

持続可能な燃料を使って走るV10の轟音を含め、いろいろな方向性を検討すべきだ」と持論を展開し、2005年を最後に姿を消したV型気筒エンジンの回帰を提唱した。

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 現行のパワーユニットはハイブリッドシステムで排気量1600CCのV6型直噴ターボエンジンに運動エネルギー回生装置(MGU―K)と熱エネルギー回生装置(MGU―H)を組み合わせた仕様。新レギュレーションになる2026年からはMGU―Hは廃止となり、従来のV6エンジンとMGU―Kの組み合わせになる。

 V10エンジンについては1989~2005年の16年間にわたってF1に投入されたが、その後は環境問題もあいまって小排気量化となり、06年からV8型にスイッチ。14年からV6型にエネルギー回生装置を組み合わせたハイブリッドエンジンに移行した。

 V10エンジンは甲高いエキゾーストノートでファンらを熱狂したことから現行のエンジンサウンドでは物足りないと感じる人も少なくない。

 『ロイター通信』によると、自身もレーシングドライバーだったレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はバーレーン合同テストの直前に取材に応じた際にV10復活論を強く支持した。

「個人的には、スポーツの観点から、F1の将来のエンジンがどうあるべきか、特に持続可能な燃料の動向を考えると、あらゆる可能性が開かれることになる」と語り、「純粋主義者の私としては、持続可能な燃料が確実にできてグランプリレースのサウンドを再びもたらすことができるのであれば、V10に戻すことを歓待したい」と続けた。

 V10エンジンが復活したとしても導入は早くても2030年。当面はV6ターボのハイブリッドエンジンで戦っていくことになる。ただし、F1に参入する自動車メーカーはモータースポーツでV10エンジンを開発してきた実績があり、ホンダもトヨタもかつてはF1用に2005年まで開発を続けた。将来に向けて温室ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの技術が進み、環境に優しい100%持続可能な燃料も導入されれば、V10のオプションはおのずと生まれてくる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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